西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況について (更新13)

8月8日付けの世界保健機関(WHO)の情報による西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況です。

流行状況とサーベイランス

2014年8月5日と8月6日の間に、エボラウイルス疾患(EVD)に関して、68例の新規症例(確定症例、可能性の高い症例、疑い症例)と29例の死亡例が、ギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネから報告されました。

保健部門の対応

8月6日水曜日と8月7日木曜日に、今回の流行が国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)かどうか決める緊急会合がテレビ会議として開催されました。提供された情報に関して議論、熟慮の後、以下のことを助言しました。

  • 西アフリカのエボラ流行は「異常事象」で他の国々への公衆衛生上のリスクになる。
  • さらなる国際的な広がりからおこりうることは、ウイルスの病原性や人が多い地域社会、医療機関での伝染パターンの観点から、また現在の感染国や最もリスクの高い国々の脆弱な医療制度の点から、とても深刻である。
  • 国際的対応の協調は、エボラの国際的な広がりを止めて減らすために不可欠であると考えられる。

国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)の状態の条件が満たされていることは、委員会の全会一致の見解でした。声明の全文や、暫定的な勧告のリストは、以下でみつかります。
http://who.int/mediacentre/news/statements/2014/ebola-20140808/en/

8月8日、金曜日に事務局長マーガレットチャン医師はWHOの本部から国際メディアに記者会見をしました。8月12日、火曜日にチャン医師は、流行の状態とこの地域で行われている対策について、追加の記者会見を国際連合の加盟国の代表団や他の国際機関に対して行う予定です。影響のある国々の代表団はエボラに対する対応や優先事項に関してそれぞれの国のために発言するよう招待されます。

8月11日、月曜日に、西アフリカにおける現在の流行に実験的な治療を行うかを考え始めるため、医療倫理学の専門家達を送る予定です。現在、この致死的なウイルスに対する登録された治療薬やワクチンはありませんが、いくつかの実験的なものが開発途上です。アメリカの宗教を土台とした援助機関からの2人のヘルスワーカーの最近の治療は、人でテストされず安全だと示されていない治療薬が、病気の流行の状態で使われるべきかの疑問を呈しました。エボラの件では、治療薬の供給はとても限られており、もし使用するのであれば、だれがその治療薬を使うのかという疑問がでました。

統計の概要

EVDに起因する新規症例と死亡例はギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネの保健省により引き続き報告されています。2014年8月5日と8月6日の間で、エボラの68例の新規症例(確定症例、可能性の高い症例、疑い症例)と29例の死亡例が、ギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネから以下のように報告されました。

ギニア:新規症例が0例、死亡例が4例
リベリア:新規症例が38例、死亡例が12例
ナイジェリア:新規症例が4例、死亡例が1例
シエラレオネ:新規症例が26例、死亡例が12例

2014年8月6日の時点で、4か国のEVDに起因する累積症例数は、961の死亡例を含む1,779例となっています。症例の分布および分類は以下のとおりです。

ギニア:495症例(確定症例355例、可能性の高い症例133例、疑い症例7例)および死亡例367例
リベリア:554症例(確定症例148例、可能性の高い症例274例、疑い症例132例)および死亡例294例
ナイジェリア:13症例(可能性の高い症例0例、疑い症例7例、疑い症例6例)および死亡例2例
シエラレオネ:717症例(確定症例631例、可能性の高い症例38例、疑い症例48例)および死亡例298例

ギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネにおけるエボラウイルスの確定症例、可能性の高い症例、死亡例(2014年8月6日時点)

図.エボラ出血熱の発生状況

症例の総数には、再分類や後向き調査、症例と検査結果の統合の結果により変更が加えられることがあります。疾患流行ニュースで報告されたデータは、保健省によって報告された現在入手可能な最良の情報に基づきます。

出典

WHO Global Alert and Response(GAR)
Ebola virus disease update- West Africa, 8 August 2014
http://www.who.int/csr/don/2014_08_08_ebola/en/