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肺炎について (ファクトシート)

2014年11月 WHO (原文〔英語〕へのリンク )

要点

肺炎は、世界の小児における大きな死亡原因で、5歳未満の小児の死因の15%を占めています。
2013年には、推定で93.5万人に上る5歳未満の小児が肺炎で死亡しています。
肺炎は、ウイルス、細菌、真菌によって起こされます。
肺炎は、予防接種や十分な栄養摂取、環境要因への対処によって予防することができます。
細菌を原因とする肺炎は抗菌薬によって治療することができます。しかし、彼らに必要な抗菌薬が投与されているのは肺炎にかかった小児のうち1/3だけです。

 肺炎は、肺に影響を及ぼす急性呼吸器感染症です。肺は、肺胞と呼ばれる小嚢(袋)からできており、健康な人が呼吸する時の肺胞は空気で満たされています。肺炎にかかると、肺胞は膿や液体で埋まり、その状態は呼吸を苦しくし、酸素の摂取量を制限してしまいます。

 肺炎は、世界の小児において単一の死因としては最大です。2013年には、推定で93.5万人に上る5歳未満の小児が肺炎で死亡しており、5歳未満の小児の死因の15%を占めています。肺炎は、世界中どこでも、子どももその家族もが罹る病気です。しかし現在は、ほとんどが南アジアとサハラ以南のアフリカで流行しています。肺炎は小児から守ることができる病気です。簡単な介入で予防することができます。そして、僅かな費用で、高度な技術の要らない医療と看護で治療することができます。 

原因

 肺炎は、ウイルス、細菌、真菌などのさまざまな病原体によって起こります。以下に、主な病原体を示します。

肺炎球菌-小児の細菌性肺炎のうち、最も多い原因です
ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)-細菌性肺炎のうち、2番目に多い原因です
RSウイルス-ウイルス性肺炎のうち、最も多い原因です
HIVに感染した小児では、ニューモシスチス(Pneumocystis jiroveci)が肺炎の主な原因の1つです。HIVに感染した小児の肺炎による死亡のうち、少なくとも4分の1を占めています。

感染経路

 肺炎には、さまざまな感染経路があります。小児の鼻や喉によくみられるウイルスや細菌は、吸い込んでしまうと肺に感染します。また、咳やくしゃみによって生じる飛沫も感染の原因となります。さらに、肺炎は血液を通して感染することもあります。特に、出産時や生後間もない時にその感染機会があります。感染経路は肺炎を治療し、予防するための決定的な要因です。肺炎を起こすさまざまな病原体及びそれらの感染経路について、さらなる研究が必要です。

症状

 ウイルス性肺炎と細菌性肺炎は症状がよく似ています。しかし、ウイルス性肺炎は、細菌性肺炎よりも症状が多彩です。咳や呼吸困難の症状がある5歳未満の小児では、発熱の有無にかかわらず、呼吸促迫や、息を吸っているときに胸が内側に動き、引き込まれる動きとなる胸壁下部の引き込みがみられること(健康な人の場合、息を吸っている間、胸は広がります)によって肺炎と診断されます。喘鳴はウイルス性肺炎でより一般的に現れます。

 乳児は、肺炎が非常に重症になると、食べたり、飲んだりすることができなくなります。意識障害、低体温、痙攣を起こすこともあります。

リスクのある人

 ほとんどの健康な小児は自らの免疫力で感染症に立ち向かうことができます。しかし、免疫抑制状態にある小児では肺炎を進行させてしまう危険性が高くなります。小児の免疫系は、栄養失調もしくは栄養不良、特に、全く母乳育児で育てられていない場合に弱くなります。

 また、症状のあるHIV感染や麻しんなどの病気も、小児が肺炎にかかる危険性を高くします。

 以下の環境要因も小児が肺炎に罹りやすくすることを助長します。

木材や動物の糞のような生物系の燃料を使って料理や暖房を行うことによる室内の大気汚染
混み合った状態の家での生活
両親の喫煙

治療

 肺炎は、抗菌薬で治療されるべき病気です。選択される抗菌薬はアモキシシリンの分包錠剤です。ほとんどの肺炎には経口の抗菌薬が使われ、これらは保健センターで容易に処方できます。これらの患者は、地域社会の中で訓練を受けたコミュニティ・ヘルス・ワーカーによって診断でき、安価な経口抗菌薬で治療が可能です。重症の肺炎小児と2か月未満の肺炎乳児にはすべて入院が勧められます。

予防

 小児の肺炎の予防は、小児の死亡率を減らす戦略の必須項目です。ヘモフィルスインフルエンザ菌、肺炎球菌、麻しん、百日咳に対する予防接種は、肺炎を予防する最も効果的な方法です。

 生後6か月間を完全母乳で育児し、十分な栄養摂取を行うことは、小児自らの免疫力を向上させる鍵となります。これは、肺炎を予防する効果に加えて、小児が肺炎になった時にも、その病気の日数を減らすことにもつながります。

 (例えば、手頃な価格の空気を汚さない室内ストーブを提供することによって)室内の空気汚染などの環境要因へ対応することや、狭い家庭環境でも良好な衛生環境を維持することも、肺炎に罹る小児の患者数を減らします。

HIVに感染している小児には、肺炎にかかる危険性を減らすために、抗菌薬コトリモキサゾールが毎日投与されます。

経済的費用

 新生児、小児、そして母親を肺炎から守るために、2015年に向けて66か国が最終段階にあります。これらの国において、肺炎小児を抗菌薬で治療するために必要な費用は、年間約1億900万米ドルと見積もられています。この費用は、抗菌薬のほかに、診断、管理に必要な費用も含まれています。

WHOの対応

 WHOとUNICEFはGAPPD(肺炎と下痢症に対する世界行動計画)において、小児を肺炎から守り、予防し、治療するための行動を組み合わせ、さらに肺炎の制御を押し進めに以下の目的を統合しました。

完全母乳と十分な栄養補食の推進を含む、小児の肺炎からの保護
予防接種の実施、手洗いの励行、室内空気汚染の減少、HIVの感染予防、HIVに感染している小児やウイルス暴露した小児に対するコトリモキサゾールの予防投与で肺炎の予防
病気になったすべての小児が適切な医療を受けられるようにすることに焦点を当てた肺炎の治療―治療とは、地域社会でのく医療従事者からの治療、重症化したときには医療施設で治療を受ける治療、回復に必要となる抗菌薬や酸素投与が受けられる治療を含みます。

 バングラデシュ、インド、ウガンダ、ザンビアなど、多くの国では、肺炎と下痢症を制御する行動を強化するために、地区、地方、そして国レベルで計画を展開しています。

出典

WHO. Pneumonia. Fact sheet N°331. Updated November 2014.
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs331/en/index.html