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世界におけるインフルエンザの流行状況

2015年1月12日 WHO (原文[英語]へのリンク

要約

 地球全体でみると、今シーズンはこれまでのところ、北半球でインフルエンザA(H3N2)ウイルスを主体とする活動の高まりが続いています。最近のインフルエンザA(H3N2)の抗原性の特徴は、2014-2015年の北半球に対して用意されたワクチンで使用しているA(H3N2)ワクチンのウイルスとは異なることが示されています。確認されたところでは、検査されたインフルエンザA(H3N2)ウイルスはノイラミニラーゼ阻害薬(抗インフルエンザ薬)に感受性を示しています。

北米では、インフルエンザの活動レベルがほとんどの地域で増加し続けています。ほとんどがインフルエンザA(H3N2)です。
ヨーロッパ全体では、インフルエンザの活動は低い水準でとどまっていますが、流行の兆しが見え始めたようです。
東アジアでは、インフルエンザの活動が高まっています。ほとんどがインフルエンザA(H3N2)です。
北部及び西部アフリカでは、インフルエンザBによる活動が高まっています。
アメリカ熱帯地域では、カリブ海のいくつかの国で活動が高まりを示し、中央アメリカでは減少傾向、南アメリカの熱帯地域の国々では低くなっています。
アジア熱帯地域では、インフルエンザの活動はやや増加の兆しはみえますが、低いレベルにあります。主体はインフルエンザBです。
南半球では、インフルエンザの活動は低い状態ですが、大洋州のいくつかの島々ではインフルエンザ様疾患(ILI)の活動が高いままです。
51週から52週(2014年12月14日から2014年12月27日)のFluNetの報告(協定世界時間2015年1月9日 13:00)によりますと、49の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs) とその他の国立インフルエンザ研究施設から、データが報告されています。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、96,535本を越える検体を検査しました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は23,421で、このうち22,129検体(94.5%)がインフルエンザA型、1,292検体(5.5%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、163検体(1.7%)がインフルエンザA(H1N1) pdm09、9,211検体(98.3%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、423検体(97.2%)がB-山形系統で、9検体(2.1%)がB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北米
 北米の各国では、インフルエンザA(H3N2)を主体として、ほとんどの国で急激な活動の増加が続いています。

 カナダでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が予想されたよりは低い状態にあるものの、インフルエンザ検出の割合が前数週間で29.1%まで急激に増加し、インフルエンザ様疾患(ILI)インフルエンザの流行が8地域で報告されました。抗ウイルス薬の処方割合が前週と比べて2倍以上になっています。インフルエンザ・ウイルス検出で確認された検査結果のうち、インフルエンザAが97%、そのうち99.8%がインフルエンザA(H3N2)でした。また、報告された患者のうち、56%は65歳以上でした。インフルエンザによる入院が増え、今回も原因はインフルエンザA(H3N2)によるものです。成人の入院の大半(85%)が65歳以上で占められています。また、RSウイルスの検出数も増加しています。RSウイルスはインフルエンザの後にしばしば検出される二次感染ウイルスです。

 アメリカ合衆国では、インフルエンザの検出率が増加してきました(陽性率30.4%)。インフルエンザ様疾患(ILI)は5.9%となり、2012-2013年におけるILIの活動ピーク時のレベルに達しています。10地域すべてで、ILIの高いレベルの活動または地域の特別警戒レベルを上回るレベルの活動が報告され、29州でILIの活動レベルが高くなっています。122都市からの報告体制における肺炎およびインフルエンザによる死亡率は6.8%でした。これは、疫学的な閾値である6.9%を僅かに下回っています。人口10万人あたりの入院者数は12.6人で、65歳以上の成人での割合が高くなっています。入院した成人のうち94%は何らかの疾患の治療中であることが報告されています。インフルエンザ陽性7,289検体のうち、96.6%はインフルエンザA、3.4%がインフルエンザBでした。インフルエンザA型ウイルスの亜型では、99%がインフルエンザA(H3N2)でした。インフルエンザ・ウイルスの特性情報では、10月1日から12月27日までに米国内で集められ、分析されたインフルエンザA(H3N2)の68.3%が2014-2015年のインフルエンザA(H3N2)ワクチン成分とは異なる(ドリフトタイプの)抗原性を示していました。しかし、2015年の南半球で選ばれたウイルスの配列とは類似していました。RSウイルスの検出率も増加していました。合衆国では、最近流行しているインフルエンザ・ウイルスは、検査されたものでは、ノイラミニラーゼ阻害薬(抗インフルエンザ薬)に感受性を示していました。

 メキシコでは、例年の予測範囲内ですが、急性呼吸器感染症(ARI)が少しずつ増えてきています。インフルエンザの活動も僅かに上昇傾向です。

ヨーロッパ
 ヨーロッパでは、第52週に25か国のインフルエンザ様疾患(ILI)および急性呼吸器感染症(ARI)患者から採取された649検体のうち、15か国85検体(13%)からインフルエンザ・ウイルス陽性の結果を得ました。インフルエンザの活動は主に北西部の国々で高くなっています。主なインフルエンザ流行の亜型はA(H3N2)でした。合衆国の知見と同様に、ヨーロッパでのウイルスの特性情報もA(H3N2)の一定の割合がワクチンのA(H3N2)とは異なっていました。今シーズンに検査されたA(H3N2)の75検体およびA(H1N1) pdm09の17検体すべてが、ノイラミニラーゼ阻害薬(抗インフルエンザ薬)であるオセルタミビルとザナビビルに感受性がありました。

北アフリカ
 北アフリカでは、インフルエンザの検出がアルジェリア、モロッコ、チュニジアで増えていました。主なウイルスはインフルエンザBでした。リビアでは、インフルエンザA(H1N1) pdm09でいくつかの重症例が報告されました。

西アジアおよび中央アジア地域
 中央アジア地域では、ウズベキスタンでインフルエンザA(H3N2)の活動の増加が報告されていますが、それ以外はインフルエンザの検出は低い状態にとどまっています。西アジアでは、バーレーンとカタールで数例のインフルエンザA(H1N1) pdm09が報告されました。

東アジア
 東アジア地域では、インフルエンザの活動が高まってきました。中国北部では、インフルエンザの活動が高まりつづけています。ほとんどはインフルエンザA(H3N2)でした。インフルエンザ様疾患(ILI)が4.1%に増加しており、季節の傾向を追っています。2010-2013年の同じ週(2.7%-3.9%)に似ていますが、(その発生率を)僅かに上回っていました。日本では、インフルエンザの活動が増加してきました。ほとんどはインフルエンザA(H3N2)でした。モンゴルでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が高まり、警戒レベルを越えました。しかし、インフルエンザ検査で確認される(インフルエンザの)検出数が増える兆候はみられません。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
 全体として、インフルエンザの活動は低くなっています。

 キューバでは、この数週間でインフルエンザA(H3N2)の検出が減り始めました。中央アメリカでは、インフルエンザA(H3N2)の流行の波は終息に向かってきました。しかし、RSウイルスの活動は高いレベルでとどまっています。

 南米の熱帯諸国では、インフルエンザ様疾患(ILI)、SARI、検査で確認されたインフルエンザの活動ともに低いことが報告されています。

中央アフリカ熱帯地域
 アフリカでは、いくつかの国からインフルエンザの検出が報告されました。コートジボアールでは主にインフルエンザBの検出が報告されました。一方、タンザニア共和国では主にインフルエンザA(H3N2)の検出が報告されました。インフルエンザAと同B両方の流行が起こっていたマダガスカルとザンビアでは、流行は治まる傾向となりました。

アジア熱帯地域
 南アジアと東南アジアのほとんどの国では、インフルエンザの活動は低下しているか、低いレベルにとどまりました。 

南半球の温帯地域諸国

 インフルエンザの活動は南半球のオフ・シーズンのレベルにあります。例外的に、太平洋のいくつかの島々であるアメリカ領サモア、ニウエ、ソロモン諸島、バヌアツでは、インフルエンザの活動の高まりが報告されています。

出典

WHO Influenza update, 12 January 2015 - Update number 228,
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2015_01_12_surveillance_update_228.pdf?ua=1