2016年のニュース

風しんについて (ファクトシート)

2016年3月 WHO (原文〔英語〕へのリンク

要点

風しんは、一般的には、子どもおよび若い成人に発生する、症状の軽いウイルス感染症です。強い感染力をもっています。
妊娠女性の風しんへの感染は、胎児死亡や先天性障害を起こすことがあります。それは、先天性風しん症候群(CRS)として知られています。
世界では、先天性風しん症候群を伴った赤ちゃんが毎年10万人以上も生まれています。
風しんに対する特別な治療法はありません。しかし、この疾患はワクチンで予防することができます。

概要

 風しんは、感染力のある急性ウイルス性感染症です。一般的に、この病気の症状は軽く、子どもが罹ります。一方、妊娠女性では胎児の死亡や先天性障害を起こし、悲惨な結果をもたらします。先天性風しん症候群(CRS)として知られています。

 風しんは、感染者がくしゃみや咳をしたときに出す飛沫によって感染します。人間だけが宿主です。

症状

 子どもでは、この疾患は症状が軽く、発疹、発熱(39度未満)、嘔気、軽い結膜炎などを起こします。患者の50-80%で起こる発疹は、通常、顔、首回りから始まり、体幹へと下がり、1-3日で治まります。頸部、耳下のリンパ節腫脹は、最も特徴をよく現わす臨床症状です。感染が成立した成人では、女性に生じることがより多くみられますが、通常、3-10日続く関節炎や関節痛を起こします。

 一旦、感染すると、ウイルスは5-7日程で全身に広がります。通常、症状は曝露機会の後、2-3週間で現れます。もっとも人への感染力の高い期間は、通常発疹の出現後1-5日程です。

 女性が妊娠初期に風しんウイルスに感染すると、90%の確率で胎児は死亡します。これは、流産、死産、先天性風しん症候群として知られる重度の出生異常を起こします。先天性風しん症候群を伴った新生児は1年以上もウイルスを排出し続けることがあります。

先天性風しん症候群(CRS

 先天性風しん症候群を伴った子どもは、聴力障害、視力障害、心臓障害、その他にも、自閉症、糖尿病、甲状腺機能不全など生命に関わる身体障害に苦しむ可能性があります。これらの治療には、高額の投薬、手術、医療支援などを必要とします。

 出産可能年齢の女性がこの疾患に対する抗体(予防接種もしくは風しんの既往)をもっていない国では、先天性風しん症候群のリスクが極めて高い状態にあります。ワクチンが導入される以前には、出生1000人あたり4人に上る赤ちゃんが先天性風しん症候群を伴って生まれました。この10年間に大規模な風しんの予防接種が行われ、実質的に、多くの先進国と数々の発展途上国で風しんと風しん症候群が撲滅されました。2015年4月には、WHOアメリカ大陸事務局が世界で初めて風しんの国内感染が終息したことを宣言しました。

 先天性風しん症候群の発生率は、予防接種率が最低であるアフリカと東南アジアで、最高となっています。

ワクチンの予防接種

 風しんワクチンは40年以上も使用されている弱毒性生ワクチンです。1回の接種で95%以上の人に長期間の持続免疫を与えます。これは、自然感染により誘発されるものと同等です。 

 風しんワクチンは、1価の製剤(1種類だけの病原に対するワクチン)、より一般的には他のワクチンとの組み合わせ(麻しんとのMRワクチン、麻しんと流行性耳下腺炎[おたふくかぜ]に対するMMRワクチン、これに水痘を含めたMMRVワクチン)によるワクチンが使用されます。

 ワクチン接種後の副作用は一般に軽度です。注射部位の痛みや発赤、微熱、発疹、筋肉痛などが起こる可能性があります。2億5,000万人以上の青年および成人を対象としたアメリカ大陸地域での集団予防接種キャンペーンからは、ワクチンに関連する重篤な副作用を特定できませんでした。

WHOの取り組み

 WHOは、まだ風しんワクチンを導入していない全ての国が既に十分に確立された麻しんの予防接種プログラムを利用して、導入することの検討を勧めています。現在までに、 WHOの3つの地域区分で、この予防可能な先天性障害の原因を排除する目標を達成しました。

 2012年4月には、麻しんイニシアチブ(現在は、麻しん・風しんイニシアチブとして知られている)が、新しく世界の麻しん・風しん撲滅対策の戦略計画(2012-2020)として始まりました。この計画では、2015年から2020年までの、世界の新しい目標が書かれています。

2015年末までに
麻しんの死亡者を2000年の水準に比べて、少なくとも95%減少すること
地域的な麻しんと風しん、および先天性風しん症候群(CRS)の撲滅目標を達成すること

2020年末までに

少なくともWHOの5つの地域で麻しんと風しんの撲滅を達成すること

 この戦略は、5つの中核的な内容の実施に焦点を合わせています。
1. 麻しん・風しん含有ワクチンの2回接種の接種率を向上させ、高い接種率を維持する。
2. 効果的なサーベイランスによって疾患を監視し、予防接種活動の振興と良い影響を確実にするために、計画に沿った努力を適正に評価する。
3. 集団発生への備え、迅速な対応、効果的な患者の治療の発展と維持をはかる。
4. 予防接種に対する信頼と需要を築くために、地域と連携をとり、かかわっていく。
5. 費用対効果の高い取り組みとワクチン接種や診断方法の向上を支援するために研究や開発を行う。

 この戦略計画の実行で、迅速かつ持続的に、世界各地の子どもとその母親の生活を護り、向上させることができます。この計画では、2015年から2020年の間に麻しんと風しんの感染制御と撲滅の目標を達成するために、国内及び国際支援組織と協力して、国としての予防接種管理のための明確な戦略が立てられています。これには、予防接種プログラムの実行における長年の経験に基づいて構築され、加速された麻しんの感染制御とポリオの撲滅に対する取り組みからの教訓が含まれています。

 麻しん・風しんイニシアチブ創設メンバーのひとつの組織として、WHOは行政に対しては技術支援を、地域住民に対しては定期予防接種計画の向上を行い、対象者を絞り込んだ予防接種キャンペーンを開いています。また、WHOの世界麻しん・風しん検査ネットワークが、風しんと先天性風しん症候群の診断および風しんウイルスの拡散の追跡を支援しています。

出典

WHO. Fact sheet, Media centre. Reviewed March 2016
Rubella
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs367/en/