2016年のニュース

ジカウイルス感染症について (ファクトシート)(更新7)

2016年9月 WHO (原文[英語]へのリンク

要点

ジカウイルス感染症は、主にシマカ属の蚊によって媒介されるウイルスを原因として引き起こされます。
ジカウイルス感染症に罹った人には、通常、軽度の発熱、皮疹、結膜炎、筋痛や関節痛、倦怠感、頭痛などが現れます。通常、これらの症状は2-7日間続きます。
ジカウイルスは小頭症およびギラン・バレー症候群の原因であることは科学的に一致する見解となっています。その他の神経学的な合併症についても調査が行われています。

概要

 ジカウイルスは、蚊によって媒介されるフラビウイルスで、最初は1947年にウガンダで、黄熱を監視するネットワークにおいてサルから発見されました。その後、1952年にウガンダとタンザニア連合共和国で人からも発見されました。ジカウイルス感染症の発生は、アフリカ、アメリカ大陸、アジアおよび大洋州で記録されています。1960年代から1980年代にかけて、人での感染は、通常、軽度の症状を伴いながら、アフリカやアジアで確認されました。ジカウイルス感染症が起こした最初の大流行は、2007年にヤップ島(ミクロネシア連邦)から報告されました。(その後)ブラジルでは、2015年7月にジカウイルス感染とギラン・バレー症候群と関連が報告されました。2015年10月には、ブラジルでジカウイルス感染と小頭症との関連が報告されました。

症状

 ジカウイルス感染症の潜伏期間(接触から発症までの時間)は明らかではありませんが、数日のようです。ジカウイルス感染症の症状は、デング熱など他のアルボウイルス感染症の症状と類似しており、発熱、発疹、結膜炎、筋痛や関節痛、倦怠感、頭痛などを起こします。通常、これらの症状は軽く、2-7日続いて治まります。

ジカウイルス感染症に潜在する合併症

 科学的な証拠が総合的に検討された後、ジカウイルスが小頭症やギラン・バレー症候群の原因であることは科学的に一致する見解となっています。厳格な研究の枠組みの中で、ジカウイルスといくつかの神経障害との関連性を調査することに、多大な努力が続けられています。

感染経路

 ジカウイルスは、ほとんどの場合、主に熱帯地域に生息するシマカ属の蚊に刺されることで人に伝播します。シマカ属の蚊は、通常、日中に刺し、早朝と夕方/夜に(活動が)ピークに達します。媒介する蚊は、デング熱、チクングニヤ熱、黄熱病を伝播する蚊と同じです。この他に、ジカウイルスは性交渉によっても感染します。輸血など他の形態の感染経路についても調査されています。

診断

 ジカウイルスへの感染は、症状と最近の生活状況(例、ジカウイルスが現在も感染伝播している地域での居住や地域への渡航)を基に疑います。ジカウイルスの診断は、血液の他に、尿、唾液、精液などの体液でも検査によって確かめることができます。

治療

 ジカウイルス感染症は、通常は比較的症状が軽く、特別な治療を必要としません。ジカウイルスに罹った人は、十分な休養と、十分な水分を取り、市販の鎮痛解熱薬を使うことで対処できます。症状が悪化したときには、医療機関を受診し指示を受ける必要があります。現在、適応できるワクチンはありません。

予防

媒介する蚊に対する予防
 蚊刺しからの防御は、ジカウイルス感染症を防ぐ対策の鍵となります。できるだけ体の多くの部分を覆う(できれば明るい色の)服を着ることが鍵のひとつです。また、蚊帳の中で睡眠をとること、虫除け剤には、DEET(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド)、IR3535(3-[N-アセチル-N-ブチル]アミノプロピオン酸エチルエステル)、icaridin(1-ピペリジンカルボン酸、2-(2-ヒドロキシエチル)-1-メチルプロピルエステル)などを製品の指示書に従って使用することも鍵となります。幼児、病人、高齢者など、自分自身で十分に自分自身を守ることができない人たちには、特別な注意と介助が行われるべきです。旅行者も感染が発生する地域にする人々も、蚊刺しから自身の身を守るために、これらの基本的な予防対策を行う必要があります。

 バケツ、タライ、植木鉢、側溝、使用済みタイヤなど、蚊が繁殖できる場所には、覆いを掛け、空にし、掃除しておかなければなりません。地域の住民は、自分たちの地域の蚊を減らすために地元の行政活動を支援することが必要です。また、保健当局は殺虫剤の散布を実施することも勧められます。

性交渉に伴う感染に対する予防
 ジカウイルスは性行為を介しても感染伝播します。これは、ジカウイルス感染および妊婦と胎児に対する有害な事象の間の関連性への懸念を示します。

 ジカウイルスが活発に伝播している地域では、ジカウイルスに感染した全ての人とその性交渉パートナー(特に、妊娠女性)は、性交渉によるジカウイルスの感染経路についての情報を得ておくべきです。WHOは、ジカウイルスの感染伝播が活発な地域では、妊婦と胎児に対する有害な事象が起こる可能性を回避するために、妊娠の有無やいつ妊娠したかについての情報の判別ができるように、性的に活動性の高い男女は全ての避妊の方法について、正確に指導を受け、情報の提供を受けることを勧めています。ジカウイルスへの感染の懸念がありながらも、安全でない性交渉を行い、妊娠を希望していない女性は、直ちに、緊急避妊サービスや医療相談を受ける環境を整えるべきです。妊娠女性は、妊娠全期間を通して、少なくとも(コンドームの一貫した正しい使用を含め)安全性の高い性生活を行うか、性交渉を控えるかをするべきです。WHOは、ジカウイルスが感染伝播していない地域でも、感染伝播が活発な地域から戻ってきた男女には、性交渉によるジカウイルスの感染を防ぐために、6か月間は性生活を控えるか、より安全な性生活を送ることを勧めています。地域の中でジカウイルスの伝播が発生している地域に住んでいる、又は、(そこから)戻ってきた妊娠女性の性交渉パートナーは、妊娠全期間を通じて、安全性の高い性生活を行うか、性交渉を控えるかをするべきです。

WHOの取り組み

 WHOは、以下のことを通してジカウイルス感染症の制御を実施している国々を支援しています。
・専門家とその専門助手を招集し、ジカウイルス感染症を明確に定義づけ、研究の優先順位を付けます。
・ジカウイルスと潜在する合併症の調査活動を強化します
・ジカウイルスに関連するリスクへのより高い理解をもって地域の人々が参加できるように、リスクの情報伝達における能力を高めます
・検査施設でウイルスを検出するための処理能力を高めます
・媒介蚊であるシマカ属の蚊の棲息を減らすための媒介蚊の制御戦略を実施することを支援します
・専門家やその他の保健行政機関と連携して、ジカウイルスに関連する合併症をもつ人への治療と、その後に継続する診療への助言事項を準備します

出典

WHO. Fact sheet, Media centre. Updated 6 September 2016
Zika virus.
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/zika/en/