2011年05月26日更新 ドイツで病原性大腸菌による溶血性尿毒症症候群(HUS)が流行しています。

病原性大腸菌による食中毒は主に、汚染された食物を食べることによって感染する病気です。いまドイツで流行しているものは、志賀毒素という強力な毒素を産生する危険な大腸菌で、血便を伴う下痢を起こします。重症になると腎不全、貧血、痙攣や意識障害が起こり、さらに死亡する可能性があります(溶血性尿毒症症候群(HUS)と呼ばれます)。

フランス公衆衛生院等からの情報によるとドイツで血便を伴う下痢症やHUSの患者が増加しています。5月の第2週以降140人がHUSを発症し、3人が死亡しました。発症が多いのはドイツ北部ですが、南部や東部などでも患者が出ています。

本年5月に北ドイツに旅行した旅行者17人がこの病原性大腸菌が原因とみられる食中毒にかかり、そのうち9人がHUSを発症しました。ドイツ国内の患者の多くが成人女性であることがわかっていますが、男性や小児も発症することがあります。

原因は汚染された食品であると推定されていますが、どの食品が汚染されているのかはまだわかっていません。ドイツで滞在している方またはドイツから帰国された方で下痢(特に血便を伴う下痢)を起こした方は、ただちに医療機関にかかってください。