2013年06月27日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況について (更新30)

 6月26日付で公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、サウジアラビア保健省は、MERS(マーズ)コロナウイルスに感染した確定患者が新たに7人発生し、以前の確定患者1人が死亡したと公表しました。

 新たな確定患者のうち4人はリヤド(Riyadh)と東部地域の確定患者の接触者で、年齢は7歳から15歳で、無症状です。他に、無症状の患者が2人報告されており、これらの患者は東部地域とアル・アフサ(Al-Ahsa)の女性で医療従事者です。7人目の患者は東部地域の50歳の女性で、現在、肺疾患で入院していますが、容態は安定していると考えられています。

 また、保健省は、以前に報告された東部地域の確定患者(6月23日付で報告された32歳の男性)が死亡したと公表しました。

 全体として、昨年9月からこれまでに、WHOに報告されたMERSコロナウイルスに感染したと確定された患者は77人で、このうち40人が死亡しました。

 WHOは、中東のヨルダン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦から確定患者の報告を受けました。また、フランス、ドイツ、イタリア、チュニジア、英国からも確定患者の報告があり、中東から治療のために搬送された患者や、中東から帰国した後に発症した患者です。フランス、イタリア、チュニジア、英国では、中東への渡航歴がなく、確定患者や疑い患者の濃厚接触者に限定的な地域内感染がみられました。

 現在の状況と利用可能な情報に基づいて、WHOはすべての加盟国へ、重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを継続し、通常でないパターンの症例を慎重に検討するよう推奨しています。

 医療従事者は、引き続き、警戒するよう勧められます。最近、中東から帰国し、SARIを発症した患者には、現在のサーベイランスに関する推奨に示されている通り、MERSコロナウイルスの検査をすべきです。可能であれば、診断のために患者の下気道からの検体を採取すべきです。また、臨床医は、免疫不全患者では、下痢のような非特異的な症状・所見がみられた場合でも、MERSコロナウイルスの感染を考慮すべきです。

 医療機関では、感染予防・制御を総合的に実施する重要性を再認識すべきです。MERSコロナウイルスの感染が疑われる患者や確定患者に医療を提供する施設では、他の患者や医療従事者、医療機関を訪れる人にウイルスが感染するリスクを減らすために適切な対策を行うべきです。

 WHOは、すべての加盟国に対し、MERSコロナウイルスの新たな感染者が発生した際には、考えられる感染源と臨床経過の情報を合わせて、速やかに評価して報告するよう呼びかけています。感染様式を確認するための感染源調査は速やかに実施されるべきで、それにより、ウイルスの更なる伝播を防ぐことができます。

 WHOは、この事例に関して入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限することを推奨していません。

 WHOは引き続き、状況を注視しています。

 海外渡航時には、手洗いの励行や動物との接触を避けるなど、一般的な衛生対策を心がけていただくとともに、MERSコロナウイルスの患者が発生している国に滞在した後に、発熱や咳などの呼吸器症状が現れた場合には、検疫所にご相談ください。

出典

WHO(GAR): Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) - update
http://www.who.int/csr/don/2013_06_26/en/index.html

参考

FORTH 新着情報
中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況について (更新29) (2013年6月25日)http://www.forth.go.jp/topics/2013/06251406.html