2013年07月30日更新 ヨーロッパでウエストナイル熱の患者が発生しました (更新1)

ウエストナイル熱はウエストナイルウイルスによる感染症です。このウイルスは蚊によってうつり、感染した人のおよそ20%に発熱、頭痛、筋肉痛などの症状を起こします。また、1%未満と低い割合ですが、重症の脳炎などを起こすこともあります。50歳以上の人が重症になる可能性が高いとされています。有効なワクチンはなく、流行地域では蚊に刺されないことが非常に重要です。
このウイルスは世界の広い範囲で発生しており、北米、ヨーロッパ、地中海地域でも、夏から秋にかけて流行がみられるようになっています。

欧州疾病予防管理センター(ECDC)によりますと、7月25日までにギリシャで4人のウエストナイル熱の患者が発生しました。アッティカ(Attiki)東部で2人(確定患者1人、疑い患者1人)、テッサロニキ(Thessaloniki)で2人(確定患者1人、疑い患者1人)が報告されました。

なお、欧州連合加盟国の近隣では、ロシアで12人、イスラエルで4人、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国で1人の患者が報告されました。

昨年は、欧州連合加盟国全体で237人の患者(確定患者と疑い患者の合計)が報告され、欧州連合加盟国の近隣では670人の患者が報告されました。

蚊はウエストナイルウイルス以外にも多くの病気を人にうつします。蚊に刺されないように十分に注意してください。また、死んだ鳥をみつけた場合、素手で処理しないようにしてください。

蚊に刺されないための対策

可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。

  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
  • 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

海外で熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。

また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が良くならない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご連絡ください。

医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

FORTH感染症情報:ウエストナイル熱

出典