2013年12月11日更新 タンザニアでE型肝炎の患者が発生しています

12月5日付けで公表された世界保健機関(WHO)アフリカ地域事務局(AFRO)の情報によりますと、以前にタンザニアのキゴマ州で報告された原因不明の疾患はE型肝炎ウイルスによるものであることが確認されました。ケニアのナイロビにあるケニア医学研究所・疾病対策センター(KEMRI/CDC)で検査された46検体のうち15検体がE型肝炎陽性でした。9検体はELISA IgM(酵素免疫測定)法、4検体はPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法、2検体はELISA IgM法及びPCR法で陽性となりました。遺伝子型や分子特性を解析する検査を行うための準備が進められています。

8月20日から10月29日までに合計690人の急性発熱性疾患の患者が報告されましたが、死亡者は報告されていません。治療を受けた患者の大部分は、頭痛、発熱、腹痛、全身倦怠感(だるさ)、食欲不振、嘔吐がみられました。非常に少数ですが、黄疸と下痢がみられた患者も報告されました。この集団発生の探知と確定診断の遅れは、主に、最初に発生した患者の大部分が、似たような臨床症状を示すマラリアとして治療されたことが原因でした。報告された患者の約61%は15歳未満(5歳未満は41%、5歳から14歳までは20%)でした。 女性の割合は54%で、男性より若干多くの患者が報告されました。

タンザニア保健社会福祉省は、10月に原因不明の疾患が集団発生したとの報告を受けて、ムエラ保健センターに備品を供給し、診療所の敷地内に治療をするためのテントを設置して、患者管理を強化しました。また、一般市民に対し、環境衛生、個人衛生等に関する注意喚起を行いました。そのほか、最初に報告された患者のほとんどが住む村の貯水タンクの清掃やサーベイランスの強化も行われました。

E型肝炎の集団発生が確定した後、タンザニア保健社会福祉省は、この集団発生の実際の規模、感染源、リスクファクターの確認するため、実地疫学と検査のトレーニングプログラムによる更なる疫学調査を実施しています。開始された予防と制御のための措置は継続されています。

WHOは、この事例に関して、渡航や貿易を制限することを推奨していません。

FORTH 感染症情報 :E型肝炎

出典

AFRO Epidemic & Pandemic alert and Response (EPR)
Hepatitis E in Tanzania
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response
/outbreak-news/3954-hepatitis-e-in-tanzania.html