2014年06月12日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況について (更新32)

 6月11日付けのWHOから公表された情報によりますと、5月26日にイランの国立IHRフォーカルポイント(NFP)はWHOへ初めて確定診断されたMERS-CoV患者2人について報告しました。2人はケルマーン州在住の姉妹です。

 WHOへ報告された詳細は以下の通りです。

 ・52歳の女性は5月11日に発症し、同日入院しました。現在の状態は重篤です。患者には基礎疾患
 がありました。渡航歴はありませんでした。しかし、サウジアラビアへウムラ(小巡礼)のために渡航し
 てインフルエンザ様症状(ILI)のあった女性との接触歴がありました。患者は発症する14日以内に動
 物との接触歴はなく、ラクダの生(乳)製品の摂食歴もありませんでした。

 ・50歳の女性は5月11日に発症し、5月17日に入院しました。現在の状態は安定しています。患者に
 は基礎疾患がありました。渡航歴はありませんでした。患者は上述の姉との緊密な接触歴がありま
 した。患者は発症する14日以内に動物との接触歴はなく、ラクダの生(乳)製品の摂食歴もありませ
 んでした。

 上述の患者への接触者は現在、家族、病院の他の患者、ヘルスケアワーカーを含め全員が州の保健担当部門とイラン疾病対策センターの健康監視下にあります。2人の患者の入院中の病院では制御対策がいくつか取られています。関連する情報と指示が空港職員やウムラから帰国した巡礼者や渡航者などの関連者へ配布されました。

 全体として、これまでに、WHOに公式に報告されたMERS-CoVに感染した確定患者は死亡者204人を含み683人になりました。この合計数には今回更新の症例報告を含み、サウジアラビアから5月19日から6月2日までに報告された44人の確定患者が含まれています。WHOはこれらの症例の情報についてサウジアラビアと協力し、さらにできるだけ速やかに更新していきます。

WHOのアドバイス
 現在の状況と利用可能な情報に基づいて、WHOはすべての加盟国へ、重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを継続し、通常と異なる傾向がみられた場合には慎重に検討するよう推奨しています。

 感染予防制御対策は、医療施設でのMERS-CoVの拡散の可能性を防止するために必須です。MERSコロナウイルスに感染した患者の中には、軽症の患者や、所見が非典型的である患者がおり、患者を常に早期に発見できるわけではありません。そのため、MERSコロナウイルスや他の病原体に感染した疑いがある患者や確定患者の有無にかかわらず、常に、どの場所でも、すべての患者に対して標準予防策を実施することが重要です。急性呼吸器感染症の症状のある患者に医療を提供する際には、飛沫予防策を追加すべきです。また、MERSコロナウイルスに感染した可能性がある患者や確定患者に医療を提供する際には、眼の防護を加えた接触予防策を追加すべきです。エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気予防策を行う必要があります。

 MERS-CoVについてもっと詳細がわかるまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫機能不全のある人々はMERS-CoV感染で重症化するリスクの高いヒトと見なされます。それ故、このような人々がウイルスの存在する可能性がある農場や市場、飼育小屋を訪れる際には動物特にラクダとの密接な接触を避けるべきです。農場を訪れる際に、動物を触る前と触った後の定期的な手洗いを行う、病気の動物との接触を避ける等の一般的な衛生対策をしっかりと実施すべきです。

 食品衛生対策を実施する等の一般的な衛生対策をしっかりと実施すべきです。ラクダの生ミルクや尿、適切に調理されていない肉を摂食するのは避けるべきです。

 WHOは、この事例に関して、入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限することを推奨していません。

 海外渡航時には、手洗いの励行や動物との接触を避けるなど、一般的な衛生対策を心がけていただくとともに、MERSコロナウイルスの患者が発生している国に滞在した後に、発熱や咳などの呼吸器症状が現れた場合には、検疫所にご相談ください。

出典

WHO Global Alert and Response,
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)-update, 11 June 2014
http://www.who.int/csr/don/2014_06_11_mers/en/