2014年06月17日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況について (更新34)

 6月16日付けのWHOから公表された情報によりますと、6月12日、13日にサウジアラビア国立IHRフォーカルポイント(NFP)はWHOへ新たに2人のMERS-CoV患者を確認したと報告しました。

 患者の詳細は以下のとおりです。

 ・36歳男性でバーハ(Baha)州Almakhwah市在住のトラック運転手。2014年6月4日に発症し軽度肺
 炎との診断で2014年6月9日に入院しました。現在の容態は安定しています。この患者には基礎疾患
 があり、6月11日、MERS-CoV検査の結果は陽性でした。この患者は頻繁にクンフダー(Qunfudah)
 地域のクンフダー市とリヤード(Riyadh)州のAddawaser市へ通勤していました。それ以外、渡航歴は
 ありません。この患者は、動物市場へ干し草を配送する際に、動物と接触した可能性があったと報
 告されています。MERS-CoV確定患者との接触はありません。

 ・33歳男性クンフダー地域クンフダー市在住の国家警備員。この患者は無症状であり、2014年6月9
 日から11日の期間に報告されたMERS-CoV確定患者の接触者スクリーニングを通じて判明しまし
 た。基礎疾患はなく、2014年6月13日にMERS-CoV検査の結果で陽性でした。この患者は頻繁に
 ジッダ(Jeddah)を訪れていました。動物との接触歴はありません。

 患者の接触者調査と経過観察が続いています。

 全体として、これまでに、WHOに公式に報告されたMERS-CoVに感染した確定患者は、少なくとも249人の死亡者を含み701人になりました。

WHOのアドバイス
 現在の状況と利用可能な情報に基づいて、WHOはすべての加盟国へ、重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを継続し、通常と異なる傾向がみられた場合には慎重に検討するよう推奨しています。

 感染予防制御対策は、医療施設でのMERS-CoVの拡散の可能性を防止するために必須です。MERSコロナウイルスに感染した患者の中には、軽症の患者や、所見が非典型的である患者がおり、患者を常に早期に発見できるわけではありません。そのため、MERSコロナウイルスや他の病原体に感染した疑いがある患者や確定患者の有無にかかわらず、常に、どの場所でも、すべての患者に対して標準予防策を実施することが重要です。急性呼吸器感染症の症状のある患者に医療を提供する際には、飛沫予防策を追加すべきです。また、MERSコロナウイルスに感染した可能性がある患者や確定患者に医療を提供する際には、眼の防護を加えた接触予防策を追加すべきです。エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気予防策を行う必要があります。

 MERS-CoVについてもっと詳細がわかるまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫機能不全のある人々はMERS-CoV感染で重症化するリスクの高いヒトと見なされます。それ故、このような人々がウイルスの存在する可能性がある農場や市場、飼育小屋を訪れる際には動物特にラクダとの密接な接触を避けるべきです。

 農場を訪れる際に、動物を触る前と触った後の定期的な手洗いを行う、病気の動物との接触を避ける等の一般的な衛生対策をしっかりと実施すべきです。

 食品衛生対策を実施する等の一般的な衛生対策をしっかりと実施すべきです。ラクダの生ミルクや尿、適切に調理されていない肉を摂食するのは避けるべきです。

 WHOは、この事例に関して、入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限することを推奨していません。

 海外渡航時には、手洗いの励行や動物との接触を避けるなど、一般的な衛生対策を心がけていただくとともに、MERSコロナウイルスの患者が発生している国に滞在した後に、発熱や咳などの呼吸器症状が現れた場合には、検疫所にご相談ください。

出典

WHO Global Alert and Response,
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)-update, 16 June 2014
http://www.who.int/csr/don/2014_06_16_mers/en/