2014年06月26日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況について (更新35)

 6月25日付けのWHOから公表された情報によりますと、6月17日、サウジアラビア国立IHRフォーカルポイント(NFP)はWHOへ新たに2人のMERS-CoV患者を確認したと報告しました。

 患者の詳細は以下のとおりです。

 ・マッカ(Makkah)州ジッダ(Jeddah)市在住の42歳男性。この患者は、臨床症状をみとめジッダ市内
 の病院に5月26日に入院し、6月4日に退院しました。6月11日、同じ病院でのフォローアップとして受
 診しました。6月13日、呼吸器症状がみとめられ肺炎との診断で、再入院しました。そして6月16日、
 MERS-CoVに感染していることが検査で確定診断されました。この患者の容態は悪化し、6月18日に
 死亡しました。この患者には、MERS-CoVの確定患者との接触はなかったと報告されています。最
 近の渡航歴や動物との接触歴もありませんでした。予備調査では、この患者が最初に入院した病棟
 で勤務する職員には、MERS-CoV感染の定義に合うような疾患はなかったことを示しています。

 ・リヤード州リヤド市在住の58歳男性。この患者は6月4日に発症し、6月12日に入院となり、6月15日
 にMERS-CoVに感染していることが検査で確定診断されました。現在の容態は安定しています。こ
 の患者は、5月31日にウムラ(小巡礼)でメッカ市、ジッダ市を訪れており、6月3日にはそこからエジ
 プトへ渡航しました。6月9日にエジプトからリヤドへ帰国しました。この患者は、MERS-CoV確定患者
 との接触や動物との接触はなく、基礎疾患もないとの報告です。

 患者の接触者調査と経過観察が続いています。

 全体として、これまでに、WHOに公式に報告されたMERS-CoVに感染した確定患者は少なくとも250人の死亡者を含み703人になりました。

WHOのアドバイス
 現在の状況と利用可能な情報に基づいて、WHOはすべての加盟国へ、重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを継続し、通常と異なる傾向がみられた場合には慎重に検討するよう推奨しています。

 感染予防制御対策は、医療施設でのMERS-CoVの拡散の可能性を防止するために必須です。MERSコロナウイルスに感染した患者の中には、軽症の患者や、所見が非典型的である患者がおり、患者を常に早期に発見できるわけではありません。そのため、MERSコロナウイルスや他の病原体に感染した疑いがある患者や確定患者の有無にかかわらず、常に、どの場所でも、すべての患者に対して標準予防策を実施することが重要です。急性呼吸器感染症の症状のある患者に医療を提供する際には、飛沫予防策を追加すべきです。また、MERSコロナウイルスに感染した可能性がある患者や確定患者に医療を提供する際には、眼の防護を加えた接触予防策を追加すべきです。エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気予防策を行う必要があります。

 MERS-CoVについてもっと詳細がわかるまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫機能不全のある人々はMERS-CoV感染で重症化するリスクの高いヒトと見なされます。それ故、このような人々がウイルスの存在する可能性がある農場や市場、飼育小屋を訪れる際には動物特にラクダとの密接な接触を避けるべきです。

 農場を訪れる際に、動物を触る前と触った後の定期的な手洗いを行う、病気の動物との接触を避ける等の一般的な衛生対策をしっかりと実施すべきです。

 食品衛生対策を実施する等の一般的な衛生対策をしっかりと実施すべきです。ラクダの生ミルクや尿、適切に調理されていない肉を摂食するのは避けるべきです。

 WHOは、この事例に関して、入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限することを推奨していません。

 海外渡航時には、手洗いの励行や動物との接触を避けるなど、一般的な衛生対策を心がけていただくとともに、MERSコロナウイルスの患者が発生している国に滞在した後に、発熱や咳などの呼吸器症状が現れた場合には、検疫所にご相談ください。

出典

WHO Global Alert and Response,
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)-update, 25 June 2014
http://www.who.int/csr/don/2014_06_25_mers/en/