2014年06月27日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況について (更新36)

 6月26日付けのWHOから公表された情報によりますと、6月3日、19日、20日、22日、23日にサウジアラビア国立IHRフォーカルポイント(NFP)はWHOへ34人の死亡者を含む新たな113人の患者と、さらに新たな4人のMERS-CoV患者を確認したと報告しました。

 死亡者を含む113人の患者は病院の記録の遡及的調査で2013年5月5日から2014年5月6日までに確認されたものです。

 そのほとんどの症例(84人)が2014年3月1日以降に発生しており、残りの症例(29人)は2013年5月5日から2014年2月28日に発生していました。

 113症例は以下の地域の住民でした:49人はマッカ州(ジッダ市44人、メッカ市2人、タイフ2人、シャミア1人)、47人がリヤード州(リヤド市21人、カルジKharj12人、ダラムDelam9人、Wadi Addawaseer2人、Aflaj2人、Hanakiyah1人)、9人がマディーナMadinah州(マディーナ市8人、ヤンブYanbu1人)、東部州Ash Sharqiyahが4人(ハッサ市2人、ダンマームDamman市1人、ハフル アル バティンHafr Al Batin1人)、Asir2人(Khamis Mshet1人、Bisha1人)、タブークTabuk1人(タブーク市)、Jawf1人です。

 113人のうち69人はサウジ国籍、44人はサウジ以外の国籍です。

 症例の年齢の中央値は41歳(生後3か月から89歳までの幅があります)で57%(64人)は男性でした。

 113人のうち111人の症状について情報があります。32人は無症状で、79人に症状がありました。症状のあった症例の70人は入院しました。基礎疾患の有無についての情報はありません。

 113人の予後については以下のとおりです:76人が回復し、3人が入院中、34人が死亡しました。

 可能性のある感染源に関する情報は113人のうち72人について報告されました。18人はコミュニティ内のヒト以外からの感染で、54人が他のヒトからの感染でした。他のヒトからの感染のうち:ヘルスケア感染が41人、家庭内感染が13人と報告されました。

 37%(113人のうち42人)がヘルスケアワーカーでした。このうち19人は無症状で、23人は症状がありました。この症状の重症度については報告されていません。ヘルスケアワーカーの予後は以下のとおりです:39人が回復し、1人が入院中、2人が死亡しました。

 113人の特徴はこれまでに報告された症例と同様です。疫学的なパターンと動向、リスク評価には変更はありません。

 また新たな4人の患者の詳細は以下のとおりです。

・リヤード州リヤド市在住の38歳女性。この患者は別の疾患で4月20日に入院しました。6月11日に呼吸器症状があり6月18日にMERS-CoVに感染していることが検査で確定診断されました。現在の容態は安定しています。感染源の調査が続けられています。

・リヤード州リヤド市在住の45歳男性。6月6日に発症し6月19日に入院、6月20日に検査でMERS-CoVが確定診断されました。この患者はこれまでにMERS-CoVと診断された患者との接触歴はありませんでした。渡航歴や動物との接触歴もありません。現在の状態は安定しています。

・タブーク州Umluj市から50km離れた村に居住する57歳の男性。患者は6月16日に入院し、6月22日にMERS-CoVと確定診断されました。患者は6月24日にジッダへ航空搬送され、現在重篤です。患者は毎日ラクダとの接触がありました。また基礎疾患もあると報告されています。

・マッカ(Makkah)州ジッダ(Jeddah)市在住の85歳男性。この患者は、6月15日に発症し、6月21日に入院、6月22日にMERS-CoVと確定診断されました。患者には基礎疾患があります。現在の状態は安定しています。動物との接触歴はなかったと報告されています。

 さらに以前報告された確定患者の中で2人が死亡したと報告されました。

 全体として、これまでに、WHOに公式に報告されたMERS-CoVに感染した確定患者は少なくとも286人の死亡者を含み820人になりました。

WHOのアドバイス
 現在の状況と利用可能な情報に基づいて、WHOはすべての加盟国へ、重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを継続し、通常と異なる傾向がみられた場合には慎重に検討するよう推奨しています。

 感染予防制御対策は、医療施設でのMERS-CoVの拡散の可能性を防止するために必須です。MERSコロナウイルスに感染した患者の中には、軽症の患者や、所見が非典型的である患者がおり、患者を常に早期に発見できるわけではありません。そのため、MERSコロナウイルスや他の病原体に感染した疑いがある患者や確定患者の有無にかかわらず、常に、どの場所でも、すべての患者に対して標準予防策を実施することが重要です。急性呼吸器感染症の症状のある患者に医療を提供する際には、飛沫予防策を追加すべきです。また、MERSコロナウイルスに感染した可能性がある患者や確定患者に医療を提供する際には、眼の防護を加えた接触予防策を追加すべきです。エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気予防策を行う必要があります。

 MERS-CoVについてもっと詳細がわかるまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫機能不全のある人々はMERS-CoV感染で重症化するリスクの高いヒトと見なされます。それ故、このような人々がウイルスの存在する可能性がある農場や市場、飼育小屋を訪れる際には動物特にラクダとの密接な接触を避けるべきです。

 農場を訪れる際に、動物を触る前と触った後の定期的な手洗いを行う、病気の動物との接触を避ける等の一般的な衛生対策をしっかりと実施すべきです。

 食品衛生対策を実施する等の一般的な衛生対策をしっかりと実施すべきです。ラクダの生ミルクや尿、適切に調理されていない肉を摂食するのは避けるべきです。

 WHOは、この事例に関して、入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限することを推奨していません。

 海外渡航時には、手洗いの励行や動物との接触を避けるなど、一般的な衛生対策を心がけていただくとともに、MERSコロナウイルスの患者が発生している国に滞在した後に、発熱や咳などの呼吸器症状が現れた場合には、検疫所にご相談ください。

出典

WHO Global Alert and Response,
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)-update, 26 June 2014
http://www.who.int/csr/don/2014_06_26/en/

Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)-update, 26 June 2014
http://www.who.int/csr/don/2014_06_26_mers/en/