2014年07月24日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況について (更新39)

 7月23日付けのWHOから公表された情報によりますと、2014年7月12日に、イラン・イスラム共和国の国立IHRフォーカルポイント(NFP)はWHOに中東呼吸器症候群(MERS-CoV)に感染した新規確定症例を報告しました。

 患者はケルマーン(Kerman)州67歳の女性です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)があり、COPDの増悪のため2014年6月6日に病院に入院しました。2014年6月14日に退院し、自宅療養を継続していました。その後安定した状態でしたが重症急性呼吸器症状を発症し、2014年6月25日に病院に再入院しました。2014年7月5日に検査でMERS-CoVと確定診断され、同日に死亡しました。患者には発症するまでの14日以内に旅行歴はなく、はっきりした動物との接触歴や生のラクダ製品の摂食歴はないと報告されていました。以前にMERS-CoV感染を検査で確定診断された患者との接触の有無は不明です。しかし、最初の入院中、患者は他の重症呼吸器感染症患者と濃厚接触がありました。

 医療施設と患者家族内の接触者調査が継続中です。

 さらに、サウジアラビアは以前に報告されたMERS-CoV症例のうち3名の死亡者を報告しました。

 全体として、これまでに、WHOに公式に報告されたMERS-CoVに感染した確定患者は、少なくとも291人の死亡者を含み837人になりました。

WHOのアドバイス
 現在の状況と利用可能な情報に基づいて、WHOはすべての加盟国へ、重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを継続し、通常と異なる傾向がみられた場合には慎重に検討するよう推奨しています。

 感染予防制御対策は、医療施設でのMERS-CoVの拡散の可能性を防止するために必須です。MERSコロナウイルスに感染した患者の中には、軽症の患者や、所見が非典型的である患者がおり、患者を常に早期に発見できるわけではありません。そのため、医療従事者は診断に関係なく、すべての患者に対し一貫して常に標準予防策を実施することが重要です。急性呼吸器感染症の症状のある患者に医療を提供する際には、飛沫予防策を追加すべきです。また、MERSコロナウイルスに感染した可能性がある患者や確定患者に医療を提供する際には、眼の防護を加えた接触予防策を追加すべきです。エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気予防策を行う必要があります。

 MERS-CoVについてもっと詳細がわかるまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫機能不全のある人々はMERS-CoV感染で重症化するリスクの高いヒトと見なされます。そのため、このような人々がウイルスの存在する可能性がある農場や市場、飼育小屋を訪れる際には動物、特にラクダとの密接な接触を避けるべきです。農場を訪れる際に、動物を触る前と触った後の定期的な手洗いを行う、病気の動物との接触を避ける等の一般的な衛生対策をしっかりと実施すべきです。

 食品衛生対策を実施する等の一般的な衛生対策をしっかりと実施すべきです。ラクダの生ミルクや尿、適切に調理されていない肉を摂食するのは避けるべきです。

 WHOは、この事例に関して、入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限することを推奨していません。

出典

WHO Global Alert and Response (GAR)
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) -Update
http://www.who.int/csr/don/2014_07_23_mers/en/