2014年09月17日更新 エボラ対応に関するロードマップ (更新1)

 9月12日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。

 エボラ対応ロードマップ(リンク)に関する定期状況報告の第3報です。報告書には、疫学的な状況の要約および利用可能な場合には中心となるロードマップの指標を比較した対応の評価が含まれています。データが整理・統合されるときには追加の指標が報告されます。

 この報告に含まれるデータは利用が可能な最も質の高い情報に基づいています。疫学的な状況と対応の履行の両方に対して情報の利便性と正確性を向上させるためにかなりの努力が続けられています。

 ロードマップの体系に沿って、国別の報告は3つのカテゴリーに分類されます。3つのカテゴリーとは、広範囲に及ぶ深刻な伝播が生じている国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)、初期の症例が生じた国、あるいは局所的な伝播が生じている国(ナイジェリア、セネガル)、活発な伝播力をもつ地域に隣接する国(ベナン、ブルキナファソ、コートジボワール、ギニアビサウ、マリ、セネガル)です。

概観
 西アフリカのエボラウイルス病の現在の流行は、2014年9月7日の時点で診断例4,366症例(可能性の高い症例、確定症例、疑い症例を含む)と死亡例2,218症例となっています。(表1)、影響を受けている国は、ギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネです。下に示す図1は2013年12月30日(疫学的な第1週)に始まり2014年9月7日(同第36週)までに報告された国による総症例数を示しています。

図1 感染の影響を受けた国における症例数分布図

120912_WHO_Ebloa_fig1.jpg

1.広範囲に及び深刻な伝播が生じている国
 広範囲に及ぶ深刻な伝播が生じている3国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)の疫学において流行のいかなる沈静化の兆候もみられてきていません。特に、リベリアでの新規症例 の急増は根拠のある懸念を示しています(表1参照)。伝播は都市部で続いています。リベリアでの症例の急増は、主に首都モンロビアで報告された症例数の急 激な増加によってもたらされています。

表1 ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数(2014年9月7日現在)120912_WHO_Ebloa_table1.jpg

 下図(図2~図4)は広範囲に及ぶ深刻な伝播が生じている各国での確定症例と可能性の高い症例の新規症例数の経時変化を示したもので、各々の国の首都で生じた症例数の経時変化が付されています。リベリアでは、死に至る疑い症例の割合が高くなっています(疑い症例453例中211例、47%)。これはたくさんの疑い症例が実際には真のエボラ症例であることを示しています。

ギニア
 過去2週間の傾向では、新たに9月7日までの7日間(図2:疫学第36週)に報告された症例がちょうど100例を越えており、新たに診断が確定された症例が引き続き多く存在しています。新しい症例のほとんどはマセンタ(Macenta)から報告されています。また、持続的な感染の伝播がゲケドゥ(Gueckedou)でも続いています。ゲケドゥはマセンタに隣接し、流行の発端となった地域でもあります。さらに、首都コナクリ(Conakry)市内および周辺でも持続的な感染の伝播が続いています。しかし、いくつかの地区では疫学第36週の時点で全く症例が報告されていないか、あるいは新たな症例の発生が報告されていません。これは、リベリアやシエラレオネとは対照的です。

図2 ギアナおよび首都コナクリにおける疫学のヒストグラム及び曲線120912_WHO_Ebloa_fig2.jpg

リベリア
 リベリアではすべての流行が生じた国の中で、最も多数の発症例と死亡例が報告されてきました。さらに、疫学第36週(図3)の期間に症例の著しい増加が報告されています。先週はほとんど400例近い確定症例または可能性の高い症例の報告が見られました。それは以前に新しく報告された症例のほぼ2倍に相当します。この著しい増加は主に首都モンロビア(Monrovia)の症例の急増によってもたらされました。しかも、症例と死亡例の大幅な過小報告の証拠が判明し、現在、調査中です。ロファ(Lofa)郡では依然として新規症例の多数の報告が続いています。ロファ郡はギニアのマセンタとゲケドゥ地方に接する地域にあります。新しい症例の増加はボン(Bong)、ボミ(Bomi)、グランドバッサ(Grand Bassa)、マルギビ(Margibi)やニンバ(Nimba)を含む国家全体で報告されています。

図3 リベリアおよび首都モンロビアにおける疫学のヒストグラム及び曲線120912_WHO_Ebloa_fig3.jpg

シエラレオネ
 シエラレオネのエボラウイルス病(EVD)の発生率は非常に高いままで、先週、200例近い新規の症例が報告されました(図4)。感染の伝播は、首都フリータウン(Freetown)で高くとどまっており、カイラフン(Kailahun)とケネマ(Kenema)でも依然高いままです。ボー(Bo)、ボンバリ(Bombali)、およびポート・ロコ(Port Loko)の各地区で新たに報告される症例の数が増加しています。

図4 シエラレオネおよび首都フリータウンにおける疫学のヒストグラム及び曲線120912_WHO_Ebloa_fig4.jpg

地理的分布
 下の図5は広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国における症例の位置を示しています(表1も参照)。これまでのそれぞれの地域での累積症例数がグレー色の円で、過去21日以内に発生した症例数が赤の円で示されています。以前に症例が確認された8つの地区(ギニアの4地区、シエラレオネの3地区、リベリアの1地区)では9月7日以前の過去21日間に症例は報告されていません。以前感染のみられていなかった2地域で、9月7日以前の過去21日間に最初の症例が報告されました。リベリアでは疑い症例が6例と可能性の高い症例が3例、River Gee地域で報告されました。ギニアでは、確定症例が5例、疑い症例が1例、コイヤ(Coyah)地域で報告されました。

図5:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける新規症例数および総数の地理的分布120912_WHO_Ebloa_fig5.jpg

広範囲に及ぶ深刻な伝播が生じている国々での対応
 エボラ治療センター(ETC)のベッドおよび紹介できる病棟の場所の確保に対する要求は増え続け、ギニア、リベリア、シエラレオネの受容能力を越えています。ギニアではマセンタ(N'Zerekoré 県)とフォレカリア (Kindia県)で追加支援が必要とされています。リベリアでは新しい治療と紹介先のセンターの必要性が、首都モンロビア、ニンバおよびマルギビ郡で不可欠な状況にあります(図6)。シエラレオネでは首都フリータウンやポート・ロコで追加支援が依然として必要です。WHOはこれらの必要性に答えるべく協力者を動員し続けています。

 医療従事者での感染は、依然としてこの流行で懸念事項となっています(表2参照)。これまでに301名の医療従事者がこの疾患を発症し、ほぼ半数が死亡しました。感染防御予防(IPC)を主導する立場の国のスタッフが、拠点エボラ治療センターへの追加スタッフとともに、現在ギニア、リベリア、シエラレオネで配置されました。感染の影響を受けた国およびその周辺国で、IPCのための包括的な訓練計画を開始するための調整が現在行われています。

表2 ギニア、リベリア、シエラレオネにおける医療従事者での可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数120912_WHO_Ebloa_table2.jpg

 全ての症例は現在WHOと共同して運営されている検査センターもしくは、そのセンターに指導を受けている検査室で確認検査が行われています。ヨーロッパ・ユニオン・移動検査チームはリベリアのホヤ(Foya:ロファ郡)に派遣され、この週末までに運用されることになるでしょう。シエラレオネではカナダの衛生行政機関の移動検査室がカイラフン(Kailahun)で運用を再開する予定です。

 ギニア、リベリア、シエラレオネでは、特に症例が急増している地域において、接触者を追跡する能力は極端な重圧の下にあり、さらなる評価が必要です。埋葬チーム数および安全な埋葬を行っている地方の数は増え続けています。けれども、感染の影響を受けている国で、増え続ける需要に対応する埋葬チームの受容能力については、さらなる評価がなされなければなりません。

 戦略を見直し、戦略をすべてのレベルで増加している必要性に沿ったものにするため、省庁間の調整が強化されています。世界食糧計画は、エボラ患者の治療を支援し、ウイルスが新たな地域に移動するリスクを下げるために、食品、日常サービスおよび物流支援の提供を通じてエボラへの対応の強化を続けています。

 世界食糧計画は、ギニア、リベリア、シエラレオネにおける130万人を対象にしています。世界食糧計画は3つの流行国に入るスタッフをさらに50人追加で配置しています。一方、世界食糧計画によって運営される国連の人道支援エアサービス(United Nations Humanitarian Air Service)は、感染の影響を受けた3か国に対する、人道支援の隊員および物資の搬送にきわめて重要な交通手段を確保するために、座席19席の航空機1機とヘリコプター1機の配備を行いました。国連の人道支援対策本部(UNHRD)は対策の努力を支援し続けています。

図6:ギニア、リベリア、シエラレオネに対する対策の監視体制120912_WHO_Ebloa_fig6.jpg

 リベリアでは、新しい治療および紹介できるセンターの必要性がモントセラド(Montserrado)郡で重要度を増しています。モントセラド郡は首都モンロビアを含む地域です。新しい症例の増加が見られるニンバおよびマルギビ郡も早急に対策がとられなければなりません。

2. 初期の症例が生じた国、あるいは局所的な伝播が生じている国
 2つの国(ナイジェリアとセネガル)では広範囲に及ぶ深刻な伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています(表3参照)。ナイジェリアでは、感染が伝播している系統の全ての患者が7月20日にリベリアからラゴス(Lagos)に旅行した一人の人物につながります。この症例との接触者の間で、一人の者がポートハーコート(Port Harcourt)に旅行し、さらなる地域伝播の感染源となりました。この伝播は目下のところ4症例に限られています。最優先事項として、最上位にある規制当局によって支援されるところの接触者追跡がラゴスとポートハーコートで実施されてきました。ラゴスでは324人が21日間の観察期間を終え、29人が今も観察下にあります。ポートハーコートでは5人の接触者が21日間の観察期間を終え、446人が今も観察下にあります。ポートハーコートでは新たに医療従事者の感染疑い例が1例報告されています。目下、調査中です。

 セネガルでは、8月20日に陸路でギニアからダカールへと旅行していた1名が、8月27日に検査でエボラ陽性となりました。67名の接触者が経過観察を受けていますが、現在までのところ誰も検査で陽性とはなっていません。

表3 ナイジェリア、セネガルにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例および死亡例の総数(2014年9月7日現在)120912_WHO_Ebloa_table3.jpg

3. エボラへの暴露を迅速に検出し対応するための各国の準備状況
 WHOアフリカ地域の41か国のうち40か国が、現在まで準備状況の評価に対して回答を寄せています(エボラ感染の影響を受けた6か国はこの調査から除かれており、モザンビークはまだ回答していません。)。接触者の追跡調査と監視のために、また主要な国境通過点に到着した旅行客が発熱性疾患を呈している際に旅行客を管理するために、完全に機能するプロトコールを実施することが、取り組まなければならない優先領域であると思われます。

 調査された40か国の中、23か国58%がサーベイランス体制を実施し、主要な国境通過地点や首都の主要拠点(空港、海港があれば海港、主要病院)で機能させています。16か国40%ではサーベイランス体制を準備していますが、いまだ機能していません。40か国の中12か国33%では、主要な国境通過地点に説明できない熱性疾患を持った状態で到着した旅行客の管理について、プロトコールが実施されており機能しています。17か国43%はプロトコールが準備されていますが、まだ機能していません。

 39か国(南スーダンに関しては、質問に対するデータがありません。)中14か国35%は、必要となった場合にエボラ症例の調査と管理のために隔離ユニットとして稼働させることのできる、機能を有した施設があることを認めました。21か国51%は施設があることは認めていますが、まだ機能していません。40か国中27か国68%はWHOによる認証を受けた検査室にアクセスできる状態で、検体の扱いおよび輸送手順についての準備があり、機能させることができます。8か国20%では診断プロトコールを準備していますが、まだ機能していません。

 40か国中14か国35%は、すべてのエボラ疑い症例の同定と監視のため、完全に機能するプロトコールを準備しています。11か国28%ではプロトコールは準備されているものの、まだ機能していません。

出典

WHO, Situation reports: Ebola response roadmap,
Situation report - 12 September 2014
http://who.int/iris/bitstream/10665/133073/1/roadmapsitrep3_eng.pdf?ua=1