2014年10月20日更新 エボラ対応に関するロードマップ (更新12)

10月17日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、西アフリカで流行しているエボラウイルス病の発生状況は以下のとおりです。

2014年10月14日までに報告されたエボラウイルス病の疑い例から確定例までの総計は診断例9,216症例と死亡例4,555症例となっています。感染の影響を受けている国はギニア、リベリア、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国です。セネガルでは、9月5日に唯一の確定症例から2度のEVD検体の陰性が確認されてから42日が経過しました。WHOは公式にセネガルでのエボラ流行が終息したと宣言しました。

この報告では、広範囲に及ぶ深刻な伝播が生じている国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)、および初期の症例が生じた国あるいは局所的な伝播が生じている国(ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国)の2つのカテゴリ-について報告しています。この流行とは別に独立してエボラウイルス病の発生がみられているコンゴ民主共和国における流行状況は補足に記載しています(補足参照)。

1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
リベリア保健省から10月13日付けで、ギニアおよびシエラレオネの各保健省から10月14日付けで報告されたエボラウイルス病の流行状況は、診断例が9,191症例(可能性の高い症例、確定症例、疑い症例を含む:更新6 添付2 参照)と死亡例が4,546症例となっています(表1)。

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の総患者数および死亡者数

図.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数および死亡者数

注釈:*シエラレオネでは可能性の高い症例における死亡者数が患者数よりも124例多くなっています。データは、ギニアおよびシエラレオネについては2014年10月14日までの、リベリアについては2014年10月13日までの、各国保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続されている再分類、遡って行われる調査、利用可能な検査の結果の検討によって変わることがあります。

図1は広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国で発生した症例規模を地理分布で示しています。ギニアのMamou(マムー)地区では、最近、初めての確定症例が1例報告されました。しかし、その後に矛盾するデータがみられたことによって、この症例は除外されています。今後の検討によって結果が明らかになる予定です。

図1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の症例規模の地理分布

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※データは、リベリアの保健省から10月13日までに、ギニアとシエラレオネの各保健省から10月14日までに報告された公式情報に基づいています。この地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域の統治との関係についてWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

ギニアおよびシエラレオネについては2014年10月14日の時点で、リベリアについては10月13日の時点でのデータに基づき、423例の医療従事者のエボラウイルス病発症が報告されています(ギニア76例、リベリア209例、ナイジェリア11例、シエラレオネ124例、スペイン1例、アメリカ合衆国2例)。このうち239例の医療従事者がエボラウイルス病で果死亡しています(ギニアで40例、リベリアで96例、ナイジェリアで5例、シエラレオネで98例)。現在、医療従事者の暴露状況についての調査が行われているところです。

2.初期の症例が生じた国、あるいは限局的な伝播が生じている国
現在までに、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国の4か国で広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から入国してきた症例が報告されています。ナイジェリアでは、20例の感染例と8例の死亡例がありました。セネガルでは1例の症例がありました(表2)。

表2:ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国におけるエボラウイルス病の患者数

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※データは、各国保健省から報告された公式情報に基づくものです。これらの数値は継続されている再分類、遡って行われる調査、利用可能な検査の結果の検討によって変わることがあります。

ナイジェリアでは、全ての接触者891例(ラゴス:362名、ポート・ハーコート:529名)が21日の観察期間を終えています。最後の確定症例から2度目のエボラウイルス病陰性が9月8日に確認されてから39日が経過しています。セネガルでは、9月5日に唯一の確定症例から2度のEVD検体の陰性が確認されてから42日が経過しました。WHOは公式にセネガルでのエボラ流行が終息したと宣言しました。スペインでは、ハイリスクの接触者13名を含む72名が監視下にあります。アメリカ合衆国では、125名の接触者が監視下に置かれています。

補足
コンゴ民主共和国でのエボラ流行
2014年10月9日現在、また症例について遡っての検査評価を行った結果、コンゴ民主共和国で医療従事者8例を含む68例のエボラウイルス病(確定診断例38例、可能性の高い症例28例、疑い症例2例)が報告されています。また、医療関係者の死亡を含む49例の死亡が報告されています。

852名の接触者が現在21日間の観察期間を完了しました。現在、接触者269名が監視下に置かれており、全員(100%)が10月9日(この日がデータ報告がされた最終日です。)の段階で健康であると確認されています。最後の確定症例は10月4日に隔離されました。この流行は、ギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国での流行との関連はありません。

参考情報
診断の定義については、エボラ対応に関するロードマップ(更新6 添付2)を参照してください。

出典

WHO, Situation reports:Ebola response roadmap,
Situation report,17 October 2014
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/136645/1/roadmapupdate17Oct14_eng.pdf?ua=1[PDF形式:3.5MB]