2014年10月27日更新 エボラ対応に関するロードマップ (更新14)

10月25日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますとエボラウイルス病の発生状況は以下のとおりです。

要約

  • 2014年10月23日現在、エボラウイルス病の発生状況は、診断例10,141例、死亡例4,922例です。
  • マリで初めてエボラウイルス病の確定症例が報告されました。
  • アメリカのニューヨークで確定症例が報告されました。

2014年10月23日までに報告されたエボラウイルス病の疑い例から確定例までの患者数は診断例10,141症例と死亡例4,922症例となっています。報告は、感染の影響を受けている6か国(ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国)と過去に影響を受けた2か国(ナイジェリア、セネガル)からです。

エボラ対応ロードマップ(リンク)に関する定期状況報告です。ロードマップの体系では、報告は3つのカテゴリーに分類されます。3つのカテゴリーとは、広範囲に及ぶ深刻な伝播が生じている国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)、初期の症例が生じた国、あるいは局所的な伝染が生じている国(マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国)、流行が蔓延する地域に隣接する、または物資交流が盛んな国(ベナン、ブルキナファソ、コートジボワール、ギニアビサウ)です。この流行からは独立して発生が起きているコンゴ民主共和国の状況についての概要は補足にて記載しています。

本サイトでは、最初の2つのカテゴリーについて報告しています。

1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

ギニア、リベリア、シエラレオネでは流行の増加傾向が続いています。リベリアの保健省から10月18日付けで、ギニアの保健省から10月21日付けで、シエラレオネの保健省から10月22日付けで報告されたエボラウイルス病の発生状況は、診断例が10,114症例(可能性の高い症例、確定症例、疑い症例を含む:更新6 添付2 参照)と死亡例が4,912症例となっています(表1)。リベリアの1行政区を除く全ての区域とシエラレオネの全区域では、流行が始まって以来、少なくとも1例の可能性の高い症例もしくは確定診断例が報告されています。コートジボアールと国境を接するギニア及びリベリアの8つの区域のうち、いまも2つの区域ではエボラウイルス病の確定例もしくは可能性の高い症例が報告されています。

10月23日現在、450名(ギニア80名、リベリア228名、ナイジェリア11名、シエラレオネ127名、スペイン1名、アメリカ合衆国3名)の医療従事者がエボラウイルス病に感染し、244名が死亡しています。

WHOはそれぞれの症例における感染の原因を追跡するために広範囲にわたる調査を実施しています。その最初の指摘は、感染のかなりの割合がエボラの治療と看護の状況以外の場所で発生したということです。感染予防と管理体制の維持と点検は流行が深刻な3国すべてのエボラ治療病棟で実行され続けています。同時に、全ての医療従事者が暴露リスクを最小限にとどめることを確実に実行するための訓練の準備および関連するガイドラインに沿って、全てのエボラ治療施設に対する最適の個人用防護具の十分な供給の確保するための徹底的な努力が続けられています。

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数および死亡者数

図.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数および死亡者数

注釈:*リベリアでは確定診断死亡例が確定診断例を276例上回っています。**シエラレオネでは可能性の高い症例おける死亡数が患者数よりも127例多くなっています。データは、各国保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続されている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。

2.初期の症例が生じた国、あるいは限局的な伝播が生じている国

マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国の5か国では広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。

ナイジェリアでは、20例の感染例と8例の死亡例がありました。セネガルでは1例の入国がありました。両国ともにその後の対策に成功し、セネガルとナイジェリアのエボラウイルス病発生は、それぞれ10月17日および19日に終息が宣言されました。

10月23日に、マリで初めてエボラウイルス病の確定症例が報告されました。症例は2歳の女児で、ギニアのKissidougou(キシドゥグ)地方から祖母に連れられてマリ西部のKayes(カイ)にやってきました。ここはマリの首都(バマコ)から約600km離れ、セネガルとの国境に隣接した街です。症例は長旅の間に症状を現しました10月22日にカイにあるFousseyni Daou病院に連れて来られて、24日になくなりました。WHOのチームは、初めての症例に対処する国家の準備状態を見極めるために既にマリに来ています。即応チームも数日中には到着します。

スペインの唯ひとりのエボラウイルス病患者が10月19日に検査陰性となり、19日に二回目の陰性結果を得ました。もし新たな発生がでなければ、二回目の検査から42日後に終息が宣言されます。現在、83名の接触者が監視下にあります。

図1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の累積症例数と新規症例数の地理上の分布図

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※データは、各保健省から報告された公式情報に基づいています。この地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域の統治との関係についてWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

アメリカ合衆国では4例の診断例が発生し、うち1例が死亡しています(表2)。最も新しい症例はボランティアでギニアに行き、10月17日にニューヨークに戻った医療支援職員です。患者は帰国時には検査を受けましたが、症状はありませんでした。しかし、10月23日に発熱の報告があり、エボラウイルス病の検査で陽性であることが分かりました。患者は現在、ニューヨークのBellevue(ベルビュー) 病院で隔離されています。ここはニューヨークでエボラウイルス病患者を治療するために指定された8つの病院のうちのひとつです。接触の可能性のある人が確認され、追跡調査されているところです。

テキサス、ダラスのPresbyterian(プレスビテリアン)病院でエボラ陽性患者に対処した後に感染した2名の医療従事者は、現在はエボラ検査が陰性となりました。総計176名の接触の可能性のある者があり、109名が現在健康監視下におり、67名が21日の観察期間を完了しました。また、リスクは低いと考えられるものの、感染した医療従事者の1名と(その患者が症状を発現する前に)飛行機を乗り合わせた添乗員と乗員153人はオハイオで観察が続けられています。

表2 マリ、スペイン、米国におけるエボラウイルス病症例の患者数および死亡者数

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※データは保健省により報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続して行われている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。

補足
コンゴ民主共和国でのエボラ流行
2014年10月21日現在、コンゴ民主共和国(DRC)で医療従事者8例を含む67例のエボラウイルス疾患(確定診断例38例、可能性の高い症例28例、疑い例1例)が報告されています。また、49例が死亡と報告されました。この中には8人の医療関係者の中での死亡も含まれています。

1,121名の接触者のうち、1,116名が21日間の観察期間を完了しました。10月21日現在、接触者5名が現在健康監視下にいます。10月10日に、二度目の検査で陰性を確認した最後の症例が退院しました。コンゴ民主共和国(DRC)はこのまま新しい症例が報告されることがなければ、二度目の検査が陰性であった日から42日後に終息が宣言されることになります。この流行は、西アフリカを発生地とする流行との関連はありません。

参考情報1
診断の定義については、エボラ対応に関するロードマップ(更新6 添付2)を参照してください。

出典

WHO, Situation reports:Ebola response roadmap,
Situation report,25 October 2014
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/137185/1/roadmapupdate25Oct14_eng.pdf?ua=1[PDF形式:844KB]