2014年11月04日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況について (更新44)

 2014年11月3日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、WHOは10月18日と26日に、サウジアラビアの国立国際保健規約(IHR)担当者から中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)の症例12例の発生について報告を受けました。このうち5例は死亡しています。

症例の詳細情報:
 症例はTaif(ターイフ)から6例、Riyadh(リャド)から4例、Medinah(メディナ)とSkaka(サカーカ)から各1例です。患者の年齢中央値は54歳です(15-75歳)。9例(75%)が男性、10例(83%)がサウジ国籍です。10例(83%)は1つ以上の合併症を持っていました。症例の中で、ラクダと接触した者またはラクダの生の精製品を摂った者はいませんでした。しかし、2例(17%)はラグダが近いところに生息する地域に住んでいました。症状が始まるまでの14日間に巡礼(Umrah/Hajj)を行った症例はなく、居住地を離れて旅行したのは2例だけでした。8例(67%)は検査で確認されたいくつかのMERS-CoV症例との接触がありました。

 これらの症例に対して、家族内および医療従事者での接触者の追跡が行われています。

 サウジアラビアの国立国際保健規約(IHR)担当者は、10月6日を皮切りに症例の死亡についても報告しました。

 WHOは、全世界で少なくとも325例のMERS-CoV関連の死亡例を含む897例のMERS-CoV検査確定症例の通報を受けています。

WHOからのアドバイス
 WHOは、現状および利用可能な情報に基づいて、加盟国すべてに対して、急性呼吸器感染症に関するサーベイランスを継続し、また、あらゆる異常を示す症例についても注意深く調査することを勧めています。

 医療施設でMERS-CoVが拡がる可能性を押さえるには、感染予防および管理方法が重要です。他の呼吸器感染症と同様に、MERS-CoVの初期症状は非特異的なため、早い時期に患者をMERS-CoVであると診断することは常にできるものではありません。したがって、医療従事者は、診断にかかわらず、すべての患者に対して常に一貫した標準予防策を適用する必要があります。急性呼吸器感染症の兆候を呈している患者を世話する場合には、標準予防策に加えて飛沫予防策を行うべきです。また、MERS-CoV感染の可能性がある症例、あるいは確診症例を世話する場合には、接触予防策および目の防護策を追加すべきです。さらに、エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気感染の予防策を行う必要があります。

 今後、MERS-CoVに関して解明が進むまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫不全のある人は、MERS‐CoV感染で重篤化するリスクが高いと考えられます。したがって、これらの人は、ウイルスの存在する可能性がある農場、市場あるいは家畜小屋のある地域を訪れる場合、動物に近づくこと、特にラクダと濃厚接触することを避けなければなりません。動物に触れた後には必ず手洗いを行い、病気の動物との接触を避けるという、一般的な衛生手順を厳守すべきです。

 食品衛生の習慣は遵守しなければなりません。ラクダの生乳あるいは尿を飲まないように、また、調理不十分の肉を食べることは避けるべきです。

 WHOは、このことに関連して入国時に特別な検査を行うことを推奨してはいません。また、現在、旅行あるいは貿易を規制することも推奨していません。

出典

WHO, Global Alert and Response (GAR)
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)-Saudi Arabia, 3 November 2014
http://www.who.int/csr/don/03-november-2014-mers/en/