2014年11月10日更新 エボラ対応に関するロードマップ (更新18)

11月7日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますとエボラウイルス病の発生状況は以下のとおりです。

●要約
2014年11月4日までに報告されたエボラウイルス病の疑い例から確定例までの患者数は13,268症例、死亡者数は4,960症例となっています。報告は、感染の影響を受けている6か国(ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国)と過去に影響を受けた2か国(ナイジェリア、セネガル)からです。

ロードマップの体系に基づくカテゴリーに従って(リンク)、(1)広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)、(2)初期の症例が生じた国、あるいは局所的な感染が発生している、または発生していた国(マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国)について報告しています。エボラウイルス病が独自に、関連なく発生しているコンゴ民主共和国の状況についての概要は補足にて記載しています。

1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
リベリアとシエラレオネの各保健省から11月4日付けで、ギニアの保健省から11月3日付けで報告されたエボラウイルス病の発生状況によれば、患者数が13,241症例(確定症例、可能性の高い症例、疑い症例を含む)と死亡者数が4,950症例となっています(表1)。リベリアとシエラレオネでは流行が始まって以来、全ての行政区域で少なくとも1例のエボラウイルス病患者の報告がありました(図1)。コートジボワールと国境を接するギニアおよびリベリアの8つの区域のうち、ギニアの1区域を除く全ての行政区域でエボラウイルス病の確定症例もしくは可能性の高い症例の報告がみられています。

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の症例および死亡者数

図.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数および死亡者数

注釈:データは、リベリアとシエラレオネの保健省から11月4日付けで、ギニアの保健省から11月3日付けで報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続されている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。

11月4日現在、549名の医療従事者がエボラウイルス病に感染しました(ギニア88名、リベリア318名、ナイジェリア11名、シエラレオネ128名、スペイン1名、アメリカ合衆国3名)。うち311名が死亡しています。

WHOはそれぞれの医療従事者症例における感染状況を決定するために広範囲にわたる調査を実施しています。その最初の指摘は、感染のかなりの割合がエボラの治療と看護の状況以外の場所で発生したということです。感染予防と管理体制の質を担保するために、流行が深刻な3か国のエボラ治療センターで点検が継続的に実行されています。同時に、すべてのエボラ治療施設に対して、確実に最適な個人用防護具(PPE)が充分量補給されるように、また、すべての医療従事者の暴露リスクを最小限にとどめる訓練が行われるためのガイドラインが提供されるように、多大な努力が注がれています。WHOは個人用防護具100万セット以上をギニア、リベリアおよびシエラレオネには運び、各国保健省とその支援者とともに防護具調達の作業を続け、もっとも必要とされる処へ防護具を配備させています。

2.初期の症例が生じた国、あるいは限局的な伝播が生じている国
現在までに、マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国の5か国では、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。

セネガルとナイジェリアでは対策が功を奏し、それぞれ2014年10月17日および 19日に終息が宣言されました。

10月23日に、マリで初めてエボラウイルス病の確診症例が報告されました(表2)。症例は2歳の女児で、ギニアから祖母に連れられてマリにやってきました。10月22日にKayes(カイ)にあるFousseyni Daou病院に収容されましたが、24日に亡くなりました。確認のための検査診断を行うために検体がBamako(バマコ)にあるSERAFOに送られ、結果はエボラウイルス病陽性でした。この結果は、アトランタのアメリカ疾病対策センターによって行われた検査でも確認されました。現在、108名の接触者が確認されており、健康監視下にあります。

図1:ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の累積患者数と過去21日間の新規患者数の地理上の分布図

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※データは、各国による状況報告に基づいています。この地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

スペインでは、マドリードでエボラウイルス病陽性の患者を介助している間に感染した医療従事者が10月19日に検査陰性となり、21日に2回目の陰性結果を得ました。医療従事者の接触者83名は、全員21日間の経過観察期間を終了しました。これを受けて、スペインでは、もし新たな発生がでなければ、2回目の陰性検査が得られた日から42日後に終息が宣言されます。

アメリカ合衆国では4例の症例が発生し、うち1例が死亡しています。直近の症例はギニアでボランティアとして医療援助に参加していた患者で、10月17日にニューヨークに帰国しました。この患者は到着時にスクリーニングを受け、無症状でしたが、10月23日に発熱し、エボラウイルス病検査で陽性でした。この患者は、現在ニューヨーク市のベルビュー(Bellevue)病院で隔離されています。ここはニューヨークでエボラウイルス病患者を治療するために指定された8つの病院のうちのひとつです。

テキサス州ダラスのプレスビテリアン(Presbyterian)病院でエボラウイルス病陽性の患者の看護に当たった後に感染した2名の医療従事者は、検査で2度の陰性が確認され退院しました。テキサスで発生した3症例に関連して監視を受けていた最後の接触者は、11月7日に21日間の経過観察を終える予定です。

感染の可能性が考えられるアメリカ合衆国内の177名の接触者のうち、16名が健康監視下にあり、161名が21日間の観察期間を完了しました。

表2 マリ、スペイン、米国におけるエボラウイルス病症例の患者数および死亡者数

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* 合衆国における患者は、リベリアから帰国したエボラウイルス病陽性患者を治療する間に感染した2例の医療従事者、およびギニアで感染した1例の医療従事者が含まれています。データは保健省により報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続して行われている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。

補足
コンゴ民主共和国でのエボラ流行
2014年11月3日現在、コンゴ民主共和国(DRC)で医療従事者8例を含む66例のエボラウイルス疾患(確定診断例38例、可能性の高い症例28例)が報告されています。全体で49例の死亡が報告されました。この中には8人の医療関係者の中での死亡も含まれています。疑いありとされていた症例は全例除外されました。経過観察を受けている新規接触者の報告はありません。

最後の症例が2回目の検査で陰性が確認され、病院を退院したと公表された日から27日が経ちました。新規症例の報告がなく、2度目の検査陰性の日付から42日が経てば、この国は終息を宣言することができます。この流行は、西アフリカを起源とする流行との関連はありません。

参考情報1
診断の定義については、エボラ対応に関するロードマップ(更新6 添付2)を参照してください。

出典

WHO, Situation reports:Ebola response roadmap,
Situation report,7November2014
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/137592/1/roadmapsitrep_7Nov2014_eng.pdf?ua=1[PDF形式:626KB]