2014年11月17日更新 南スーダンおよびマダガスカルにおけるポリオ発生状況について

 11月14日付けで世界保健機関(WHO)から公表された情報によりますと、南スーダンおよびマダガスカルにおいて、それぞれに個別の事例としてワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV)の流行が確認されました。詳細は以下のとおりです。

南スーダンおよびマダガスカルにおいて別々に確認されたワクチン由来のポリオウイルスの流行

南スーダン
 南スーダンでは、2型cVDPV(cVDPV2)による症例2例が確認されました。ウイルス株は、2014年9月9日および2014年9月12日に麻痺の生じたUnity(ユニティ)州の急性弛緩性麻痺(AFP)症例2例からそれぞれに分離されました。ユニティ州では、33%もの小児がポリオウイルスに対する予防接種を受けていない不十分な状態が続いています。両症例ともユニティ州の国内難民キャンプからのものです。ユニティ州は内紛状態の影響を受け、人口の移動が生じており、この結果、ほとんどの地域で予防接種の接種率が低下しています。

 2014年、南スーダンは、いわゆるアフリカの角の地域で流行が続いている野生型ポリオウイルス1型(2014年にはソマリアとエチオピアの数地域で症例が生じている)からのリスクがあることから、アフリカの角地域でのポリオ流行の対策に参加してきました。2回の全国予防接種デー(NID)が、4月(3価の経口ポリオ生ワクチンOPVを使用)および5月(2価のOPVを使用)に実施されました。cVDPV2が確認されたことに対応して、2014年11月4日に3価のOPVを用いた NIDが実施されました。また、内紛が生じている3つの州(ユニティ州、上ナイル州、ジョングレイ州)を対象に、さらに国の地方単位での3価のOPVを用いた予防接種デー(SNID)が、2014年12月2日および2015年1月に計画されています。目的は国内避難民キャンプでのcVDPV2の流行を直ちに止め、さらなる拡大を予防し、一方で1型ポリオ株への免疫力をさらに高め、アフリカの角でポリオが発生している他の地域から再感染のリスクを最小にすることです。

マダガスカル
 マダガスカルでは、1型cVDPVウイルス(cVDPV1)が、2014年9月29日に麻痺が生じたAFP症例1例とその無症状の接触者3例から分離された後、確定されました。マダガスカルで、最近で追加予防接種活動が実施されたのは、2011年12月と2012年1月でした。SNIDが12月に計画されており、2015年1月にもNIDが実施される予定です。この国では、小児の25%以上がポリオウイルスに対する予防接種を受けておらず免疫不十分であると見積もられています。マダガスカルはかつて、2001年から2002年にかけて(5症例が発生)および2005年(5症例が発生)にcVDPV2ウイルスの流行が発生しました。2011年にもToliara I研究での健康小児の調査研究中に、VDPVが1例分離されました。発生に対する対策が(直ぐに)協調してとられたことから、それぞれの事例からの流行を阻止することができました。しかし、別個にcVDPVの事例が反復して発生していることは、十分に免疫力が付いていない集団にこのような事例が発生するリスクがあり、予防接種を高レベルで維持することが重要であることを強く示唆しています。

WHOのリスク評価
 流行するVDPVは、稀ではあるが予防接種が不十分な集団で出現する可能性のあるポリオウイルスで、これまでに度々報告されてきたワクチン株です。(可能性は)小さいもののcVDPV(による発症)のリスクがあるため、確実にポリオのない世界を持続させるためにはOPV(生ワクチン)の使用を止めなければなりません。OPVは段階を踏んで中止され、まず2型株を含むOPVを除去する予定です。3価のOPVに含まれている2型の成分は、すべてのcVDPV事例の90%を占めています。

 南スーダンで検出された症例が予防接種を実施できている国内避難民キャンプで発生したものであれば、WHOは国際的に南スーダンからcVDPV2が拡大するリスクは低いと見ています。しかし、他の地域で起こっているcVDPV2株による感染ならば、国際的な拡大のリスクが上昇するかもしれません。マダガスカルに関しては過去にcVDPVsが関係した(流行の)歴史があるので、WHOはマダガスカルから国際的なリスクが拡大する可能性は低いと考えています。

WHOの助言
 すべての国、特にポリオによる感染の影響を受けている国や地域へ頻繁に旅行する人およびその接触者がいる国では、新たなウイルスの輸入例すべてを直ちに検出し、迅速に対応できるように、AFP症例に対するサーベイランスを強化することが重要です。国、領域および地域では、新たにウイルスが持ち込まれたときに生じる経過を最小限にとどめるため、定期的な予防接種の接種率を一様に高く保つ必要もあります。

 WHO海外旅行および健康情報(International Travel and Health)では、ポリオによる感染の影響を受けた地域への旅行者すべてがポリオの予防注射を完全な形で受けることを勧めます。ポリオ流行地域から来た住民(あるいは4週以上滞在した渡航者)は、国際渡航の12か月前から4週間前までに1回のOPVあるいは不活性化ポリオワクチン(IPV)の追加接種をすべきです。

出典

WHO, Global Alert and Response (GAR)
Poliovirus in South Sudan and Madagascar,
Separate circulating vaccine-derived polioviruses confirmed in South Sudan and Madagascar,
14 November 2014
http://www.who.int/csr/don/14-november-2014-polio/en/