2014年11月17日更新 エボラ対応に関するロードマップ (更新20)

11月14日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますとエボラウイルス病の発生状況は以下のとおりです。

要点(ハイライト)
●エボラウイルス病の患者数は流行が始まって以来、8か国で14,413人、死亡者は5,177人になりました。
●シエラレオネでは未だに発生率が上昇しており、ギニア、リベリアでも流行は依然として深刻です。
●マリでは総数で3例の死亡例を含む4症例が報告されました。

要約
2014年11月11日までに報告されたエボラウイルス病の疑い例から確定例までの患者数は14,413症例、死亡者数は5,177症例となっています。報告は、感染の影響を受けている6か国(ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国)と過去に影響を受けた2か国(ナイジェリア、セネガル)からです。

WHOのロードマップの体系(リンク)では、報告は3つのカテゴリーに分類されます。今回は、このうち2つのカテゴリー、(1)広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)、(2)初期の症例が生じた国、あるいは局所的な感染が発生している国(マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国)についての報告です。エボラウイルス病が独自に、関連なく発生しているコンゴ民主共和国の状況についての概要は補足にて記載しています。

マリでは、3例の死亡例を含む4症例が報告されました。11月12日の状況報告では、マリで4症例(2例の確定診断と2例の可能性の高い症例)と4例の死亡例とされていました。1例の可能性の高い症例とその死亡は再分類され、マリの症例数から除外されました。

1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
ギニアとシエラレオネの保健省から11月11日付けで、リベリアの保健省から11月10日付けで報告されたエボラウイルス病の発生状況は、可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数14,383症例と死亡者数が5,165症例となっています(表1)。

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の症例および死亡者数

図.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数および死亡者数

注釈:データは、ギニアとシエラレオネの保健省から11月11日付けで、リベリアの保健省から11月10日付けで報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続されている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。*リベリアは、再分類の結果、前回の状況報告よりも死亡者数が減少しています。

総計570名の医療従事者がエボラウイルス病に感染したことがわかっています(ギニアで93名、リベリアで332名、マリで2名、ナイジェリアで11名、シエラレオネで128名、スペインで1名、アメリカ合衆国で3名(うち2名が国内で感染、1名はギニアで感染))。このうち324名が死亡しています。

WHOは、それぞれの医療従事者がどのように感染したかを確かめるために、広範囲にわたる調査を実施しています。その最初の指摘は、感染のかなりの割合がエボラの治療と看護の状況以外の場所で発生していたということです。深刻な感染の伝播が生じている3か国のエボラ治療センターでは、現在、質の高い感染予防および制御が担保されているかについて検証が行われています。これと同時に、最適な個人用防護具(PPE)が確実にすべてのエボラ関連施設に十分に供給されるように、かつ、すべての医療従事者の暴露リスクを確実に可能な限り低いレベルにできるように、訓練と関連するガイドラインが提供されるように、多大な努力が注がれているところです。

2.初期の症例が生じた国、あるいは限局的な伝播が生じている国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国の5か国では、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています(表2)。

マリでは、11月13日の時点で、3例の死亡例を含む4例が報告されています。最も新しい報告例はバマコ(Bamako)からの症例で、彼らは10月24日にカイ(Kayes)で死亡したこの国最初の症例とは関係がありません。バマコでは251名の接触者が、またクレマレ(Kourémalé)では5名の接触者が健康監視下に置かれています。第1例に関連した12名の接触者が、現在もカイで健康監視を受けています。

アメリカ合衆国では、1名の死亡を含む4例の感染がありました。既にすべての患者が退院しており、この国での接触者は全員が21日間の健康監視期間を完了しました。

スペインでは、マドリードで患者の治療中に感染した医療従事者が2度の検査陰性を経て、病院から退院してから24日が経ちました。83名の医療従事者の接触者全員が21日間の経過観察を終了しました。

ナイジェリアでは20症例が発生し、8例が死亡しました。セネガルでは1例が発生しましたが死亡例はありませんでした。この両国での対応が成功を収めた結果、セネガルおよびナイジェリアでのEVDの流行は、それぞれ2014年10月17日および10月19日に終息したと宣言されました。

図1 ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおける累積患者数と過去21日間の新規患者数の地理上の分布図

図.ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

※リベリアの過去21日間の症例に関するデータには、10月26日の確定症例がデータとして利用できないため含まれていません。この地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

表2 マリ、スペイン、アメリカ合衆国におけるエボラウイルス病症例の患者数および死亡者数

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*アメリカ合衆国でのデータはリベリアからのエボラ患者の治療にあたっている間に国内で感染し医療従事者2名とギニアで感染した1名を含んでいます。データは保健省により報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続して行われている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。

補足
コンゴ民主共和国でのエボラ流行
コンゴ民主共和国で医療従事者8例を含む66例のエボラウイルス病(確定診断例38例、可能性の高い症例28例)が報告されています。全部で49例が死亡と報告されました。この中には8名の医療関係者の中の死亡が含まれています。すべての接触者が21日間の経過観察期間を終了しました。

2014年11月11日現在、最後に2回目の検査で陰性を確認した症例が病院を退院した日から33日が経ちました。これにより、コンゴ民主共和国は、2回目の検査で陰性を確認された日から42日が経ち、新規症例が発生しなければ、終息を宣言することになります。この流行は、西アフリカを起源とする流行との関連はありません。

参考情報1
診断の定義については、エボラ対応に関するロードマップ(更新6 添付2)を参照してください。

出典

WHO, Ebola response roadmap,
Situation report update,14November2014
http://who.int/csr/disease/ebola/situation-reports/en/