2014年11月27日更新 エボラ対応に関するロードマップ (更新23)

 11月26日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますとエボラウイルス病の発生状況は以下のとおりです。

要点(ハイライト)
エボラウイルス病の患者数は15,935人、死亡者は5,689人になりました。
先週は、最も流行が深刻である3か国から600人の患者が報告されました。
患者発生率は、ギニアでは横ばいで安定、リベリアでは安定もしくは減少傾向、しかし、シエラレオネでは未だに増加しています。
進捗状況はUNMEERが目指すゴールに向かっているとはっきりと結論づけるには、まだデータの信頼性が足りません。
ギニアではエボラウイルス病患者の70%以上が隔離され、感染対策に必要とされる安全かつ威厳を祓われた埋葬チームが80%以上で配置されています。リベリアとシエラレオネでは、地域によって大きな差がありますが、隔離されている患者は70%に達していません。両国では、軍隊の埋葬チームの数をここに加えてはいませんが、必要とされる安全かつ威厳を祓われた埋葬チームの配置はおよそ25%に過ぎません。

要約
 2014年11月23日までに報告されたエボラウイルス病の疑い例から確定例までの患者数は15,935症例、死亡者数は5,689症例となっています。報告は、感染の影響を受けている6か国(ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国)と過去に影響を受けた2か国(ナイジェリア、セネガル)からです。この流行では、患者数および死亡者数は過小報告の状態が続いています。報告されている患者発生率は、ギニアでは安定した横ばいの状態です(11月23日の週の診断確定患者数 148人)。リベリアでは横ばいか減少の傾向でした(11月23日の週の診断確定患者数 67人)。しかし、シエラレオネでは増加傾向が続いています(11月23日の週の診断確定患者数 385人)。シエラレオネでの流行発生からの累積患者数は、まもなく、リベリアから報告された患者数を上回ります。最も流行が深刻である3か国を通しての患者死亡率(致死率)は、信頼のある報告の中では、およそ60%です。今週も、ギニアで3人の医療従事者の感染が報告されています。

 対応活動では、UNMEER(国連エボラ緊急対応ミッション)が掲げた到達目標、12月1日までにエボラウイルス病患者の隔離70%とエボラ関連死に対する安全な埋葬70%というラインが強調され続けています。ギニアでは報告されているエボラウイルス病患者の70%以上が隔離され、必要とされる安全な埋葬チームの数も80%を越えました。リベリアとシエラレオネの一部では、情報が不確かなので結論づけることはできませんが、患者隔離と安全な埋葬の進捗状況は明らかに遅れています。両国からの患者隔離のデータは3週間前のものですが、国家単位では明らかに70%の患者を隔離することができません。感染が深刻な3国で、エボラが発生している全ての地域では、集められた検査検体を24時間以内に検査確認できる体制が整備されてきています。いずれの国でも、患者ひとりあたりに登録される接触者数は少なく、依然として深刻な感染が続く地域での課題ではあるものの、エボラウイルス病が確認された患者との接触者においては登録された80%以上が追跡されている、と報告されています。

 WHOのロードマップの体系(リンク)では、報告は3つのカテゴリーに分類されます。今回は、このうち2つのカテゴリー、(1)広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)、(2)初期の症例が生じた国、あるいは局所的な感染が発生している国(マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国)についての報告です。

 コンゴ民主共和国で、独立に関連なく発生していたエボラウイルス病は、終息が宣言されました。

1. 広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
 ギニアとシエラレオネの各保健省から11月23日付けで、リベリアの保健省から11月22日付けで報告されたエボラウイルス病の発生状況によれば、患者数が15,901症例(確定症例、可能性の高い症例、疑い症例を含む)、死亡者数が5,674症例となっています(表1)。

 表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の症例数および死亡者数141127_WHO_ebola_roadmap_table1.jpg

注釈:データは、WHOの各国事務局を通して、各国の保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続されている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。*は再分類された疑い症例と可能性の高い症例の割合が高いために報告が見送られています。**過去20日分のデータだけが使用されています。

※今回の報告では国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の推移が図で示されており、横ばい、又は、減少していることをみることができます。詳細については原文をお確かめください。

 図4:ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図141127_WHO_Ebola response roadmap_Fig.jpg

 データは各国からの状況報告に基づいています。この地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。リベリアにおける11/23のデータは欠損です。ギニア、シエラレオネ、マリからのデータは過去21日間の診断確定症例によるものです。リベリアからのデータは11/16以前に確認された症例に基づく地方レベルでのデータ収集体制が利用できないために感染の可能性の症例によるものです。

医療従事者の感染
 11月23日までに、合計592名の医療従事者がエボラウイルス病に感染しました。合計数には、マリでの2名、ナイジェリアでの11名、スペインでの1名、アメリカ合衆国での3名(うち2名が国内、1名はギニア)が含まれています。このうち340名の医療従事者が亡くなっています。

 表5:医療従事者の患者数および死亡者数141127_WHO_ebola_roadmap_table5.jpg

 データは保健省により報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続して行われている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国における対応(概要)
 西アフリカでのエボラ流行を制御し、封じ込めるために、90日間の総合計画が実行されてきました。この計画の鍵には、12月1日までにエボラウイルス病患者の少なくとも70%を隔離し、安全で敬意の祓われたエボラウイルス病の死者70%を少なくとも埋葬するという目標があります。この先の究極の目標は、2015年1月1日までにこれら2つを100%達成することです。

患者の管理
 エボラウイルス病の更なる拡大を防ぐためには、エボラ治療センターや地域医療センターでの患者の隔離が必要となります。地域医療センターは、エボラ治療センターの対応能力が不十分な地域、遠く離れた地域、センターを利用できない地域での代替施設の役割を果たします。エボラ治療センターと比べて、地域医療センターは規模が小さく、ベッド数が8~15しかありません。このことは、これらの施設ではエボラ対応の担当者がより迅速かつ柔軟に、より広い地域で対応の範囲を広げる環境を整備できることを意味します。

 11月26日までに、3国を通してエボラ治療センターに1,188床が設さられ、患者の受け容れが可能となりました。最近のデータでは、3国で毎週およそ600人の新規患者が報告されています。

 11月5日までに、リベリアとシエラレオネでは60カ所の地域医療センターが対応可能となりました。この数は増える傾向にあります。

致死率
 11月23日時点で、記録の信頼性のある情報において流行の発生以来の病院を受診した患者の致死率は、ギニアとシエラレオネで60%、リベリアで61%となっています。医療従事者282人から得られた結果では、致死率は63%です。

安全で威厳を祓った埋葬
 エボラウイルス病で死亡した患者の体には強い感染性があります。そのため、安全かつ威厳を祓った方法で埋葬を行うことが、病気の感染を封じ込めるための努力の重要な要素になります。

 3か国間で十分な対応を行うためには、推定で訓練を受けた370の埋葬チームが必要とされます。11月9日の時点で、131の訓練を受けたチーム(ギニア50チーム、リベリア57チーム、シエラレオネ24チーム)が新たに活動を行っています。

 11月18日の週には、ギニアで151、リベリアで40、シエラレオネで365の埋葬が行われました。エボラ以外でなくなった方の埋葬数はデータからはわかりません。エボラが疑われた症例では、その後に検査結果が陰性であったものがいくつか含まれています。この数には軍隊チームによって行われた埋葬も含まれています。

感染の確認と調査
 エボラウイルス病の迅速かつ正確な診断の対応能力の供給が、エボラ流行への対応の必須項目となっています。感染が確認された53の地域で検査施設を利用するための整備が進められています。整備の基準は、24時間以内に検体を収集するための輸送力をもつことです。

 14の検査施設(ギニア3、リベリア6、シエラレオネ5)がエボラ確認検査に対する対応能力を整備しました。これらの施設では現在、ギニアの24の地域、リベリアの15地域、シエラレオネの14の感染地域からの検査を行っています。

 3国で1日あたり1,150から1,170の検体が検査されています。それぞれの施設での対応能力は1日あたり50から100検体となっています。

 効果的な接触者の追跡は、確定診断された患者への接触者にエボラウイルスの潜伏期間である21日間、症状の発現を監視するために毎日連絡をとることによって保証されます。症状を発現した接触者は直ちに隔離され、エボラの検査が行われ、必要とされれば治療が行われます。これによって、さらなる感染の拡大を防ぐことになります。

 11月23日の週に、新たに4,559人の接触者が確認されました。前週は、5301人でした。全体として89%の接触者が、この週に毎日の連絡と症状の確認を受けています。毎日の報告者数は、ギニアでは96%(25,926/26,963人)、リベリアでは94%(35,183/37,539人)、シエラレオネでは86%(104,454/122,108人)に達しています。しかし、まだ接触者の割合は多くの地域では低い状態であり、それぞれの地域には少なくともひとつの接触者追跡チームが配置されています。

 新たな感染者に対して、平均して、ギニアで6人、リベリアで21人、シエラレオネで6人の接触者が登録されました。この数はかなり低く、新たな患者との接触が登録された数は発生率が高い地域では現在も正確に感染の連鎖を監視することが必要とされる接触者数よりも少ないことを示唆しています。

 各地には、発症者を発見するチームが患者発見を補間する戦略として動員されています。

感染原因の検証と対策
 それぞれの医療従事者症例における感染状況を決定するために広範囲にわたる調査が実施されています。その最初の指摘は、感染のかなりの割合がエボラの治療および看護のためのセンター以外の場所で発生したということです。これは、エボラに関連する施設だけではなく、全ての診療施設で感染の予防と管理の対策に十分な注意を払うことの必要性を強調するものです。WHOは患者を直接介助する医療従事者に対する個人用防護具のガイドラインの検証を行ってきました。現在のエボラ流行の状況に合わせてガイドラインを更新しています。個人用防護具を使用する際に必須の総合訓練と医療を行う前に個人用防護具を使用する者の全員を指導することが医療従事者と患者を保護する基本になると考えられています。

2.  初期の症例が生じた国、あるいは限局的な伝播が生じている国
 現在までに、マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国の5か国では、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています(表6)。

表6:マリ、スペイン、米国におけるエボラウイルス病症例の患者および死亡者数141127_WHO_ebola_roadmap_table6.jpg

 合衆国でのデータはリベリアからのエボラ患者の治療にあたっている間に国内で感染し医療従事者2名とギニアで感染した1名を含んでいます。データは保健省により報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続して行われている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。

 マリでは、現在では8人(診断確定7例、可能性の高い例1例)の患者が報告され、6人が死亡しています。首都Bamako(バマコ)から新たに報告された複数の症例は、10月24日に死亡したKayes(カイ)での最初の症例とは関係がありません。最初の症例に関係した接触者は全員が21日の健康監視期間を終えました。11月24日の時点で、バマコで発生した患者に関係する接触者288人のうち285人の観察が確認されています。

 スペインでは、マドリッドで患者の治療中に感染した医療従事者が2度の検査陰性を経て、病院から退院して以来36日が経ちました。これにより、スペインは2回目の検査で陰性を確認された日から42日が経ち、新規症例の報告がなければ、終息を宣言することになります。医療に従事していた接触者83名全員が既に21日の健康監視期間を完了しています。

 アメリカ合衆国では、死亡者1名を含む4例の感染がありました。ニューヨークの医師とテキサスの看護師2人は2回のエボラ検査陰性の結果を得て退院しました。すべての患者が退院し、この国では全ての接触者が21日間の健康監視期間を完了しました。

 ナイジェリアでは20症例が発生し、8例が死亡しました。セネガルでは1例の感染が発生しましたが、死亡には至りませんでした。両国では感染対策が成功し、セネガルおよびナイジェリアでのエボラウイルス病の流行は、2014年10月17日および10月19日に、それぞれに終息が宣言されました。

出典

WHO, Situation reports: Ebola response roadmap,
Situation report, 26 November 2014
http://www.who.int/csr/disease/ebola/situation-reports/en/?m=20141126