2015年01月08日更新 エボラウイルス病の発生状況 (第1週)

2015年1月7日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラウイルス病の発生状況は以下のとおりです。エボラウイルス病の患者数は20,747人、死亡者数は8,235人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の流行発生状況、医療従事者での流行発生状況、感染が波及した国での対応状況に内容を絞り込んでいます。要点に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • ギニアでは、報告される患者数は上下動を続けており、減少傾向は示しておりません。エボラウイルス病は国内で地理的な広がりを続けており、Fria(フリア)県で初めて2例の患者が発生しました。リベリアでは、患者発生数は低水準に減り続けています。シエラレオネでは、西部地域で深刻な流行が続いていますが、患者数の増加は抑えられた兆しがあります。
  • UNMEER(国連エボラ緊急対応ミッション)は流行3か国においてエボラウイルス病の隔離と安全かつ敬意をもった埋葬の対応率100%という目標は達成しました。
  • 流行各国は患者を隔離し治療するために、確定患者と可能性の高い患者に2床以上のベッドを充てられる十分な受入れ能力を備えました。しかし、ベッドと患者の地理的な不均等分布、報告に上がらない患者の存在は、いくつかの地域では100%の隔離と治療というUNMEERの目標が達成されていないことを示唆します。各地域に合わせた受入れ能力を確かなものにするために、さらに小さな治療施設の配置を急ぐことが、益々重要になってきています。
  • 同様に、各国は、報告に上がらない死亡者では100%の安全な埋葬というUNMEER の目標はされていないけれども、死因がエボラウイルス病と分かっている患者については全てを埋葬する受入れ能力が十分に整いました。
  • UNMEER の2つの目標に加えて、厳密な接触者の追跡、検査施設の利用への整備、地域社会での啓発といった、他にもいくつかの重要な対策があります。
  • 流行3か国では、多くの地域で患者に対する接触者の数が予想されるよりも少人数にとどまるものの、登録された90%以上の接触者が健康監視下におかれていることが報告されています。
  • 現在、流行国には感染の確認ができる23か所の施設があります。さらに、要請に応えるために5か所を超える施設の開設が予定されています。
  • 入院患者の中での致死率(信頼のある記録に基づく全入院患者から計算された結果)は、流行3か国でおよそ60%です。
  • これまでに、流行国からは820人の医療従事者の感染が報告されています。このうち、488人が亡くなっています。
  • 安全な埋葬から接触者の追跡まで、エボラウイルス病対策のあらゆる要素が、対策を主導するために感染が流行する地域で積極的に社会貢献する人々の手に委ねられています。UNICEFはエボラウイルス病対策に対する地域社会で参加する力の先頭に立っています。これまでのところ、ギニアの38地域のうち33地域で、リベリアでは全地域で、シエラレオネでは14地域のうち8地域で地域社会での参加活動の状況をみる拠点を設置しました。

1. 広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラウイルス病患者(確定症例、可能性の高い症例、疑い症例を含む)が20,000を超え、死亡者数も8,000を超えました。死亡者数は、また低く見積もられています。
  • 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示しています。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では3倍(33人vs.98人)、45歳以上の成人では4倍(33人vs.125人)になっています。
  • 10万人あたりの患者発生数は、ギニアでは26人、リベリアでは206人、シエラレオネでは170人となっています。

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の症例数および死亡者数

図.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数および死亡者数

注釈:データは各国の保健省からの公式情報をWHOの各国事務局が報告したものです。これらの数値は集計の検討によって変わることがあります。*再分類された疑い症例と可能性の高い症例の割合が高いために報告が見送られています。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図4:ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

図.ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

注釈:データは各国からの状況報告に基づいています。地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。*ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリからのデータは過去21日間の診断確定症例によるものです。

医療従事者の感染状況

  • 2015年1月4日までに、合計838名の医療従事者がエボラウイルス病に感染しました。このうち495名が亡くなっています。
  • 先週の678人からの大幅な増加は、シエラレオネで流行の発生から確認された患者の追加によるものです。これらの患者は最近2週間に感染したものではありません。

表6:医療従事者の患者数および死亡者数

図,医療従事者の患者数および死亡者数

注釈:データは保健省により報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続して行われている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。(文書記載と表の数値が異なりますが、原文とおりに記載しています。)

2.初期の症例が生じた国、あるいは限局的な伝播が生じている国

  • マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
  • イギリスでは、公衆衛生当局が2014年12月29日にスコットランドのグラスコーでエボラウイルス病患者の発生を確認しました。この患者はシエラレオネのエボラ治療センターでボランティアとして働き帰国した医療従事者です。患者は隔離された後に、ロンドンの病院で治療を受けています。感染防御対策として、公衆衛生当局は可能性のある接触者全員について調査を行っています。ハイリスクの接触者は見つかっていません。
  • マリでは、現在までに8人の患者が報告され、6人が死亡しています。最近の7症例は首都Bamako(バマコ)で発生しており、10月24日に死亡したKayes(カイ)での最初の症例とは関係がありません。最後の確定患者における2回の陰性結果が12月6日に得られ、同11日に退院しました。最初の症例とバマコで発生した症例に関係した接触者は全員が21日の健康監視期間を終えました。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmap.Situation report. 7 January 2015.
http://www.who.int/csr/disease/ebola/situation-reports/en/?m=20150107#