2015年01月29日更新 エボラウイルス病の発生状況 (第4週)

2015年1月28日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラウイルス病の発生状況は以下のとおりです。エボラウイルス病の患者数は22,092人、死亡者数は8,810人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の流行発生状況、医療従事者での流行発生状況、感染が波及した国での対応状況に内容を絞り込んでいます。要点に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • エボラウイルス病流行の対策は、その焦点が流行の減速から流行の終局へと移行しており、第二段階に移動しました。この目標を可能な限り早急に達成するために、患者発見の能力を確実なものにする早急な基盤の構築、患者の管理、安全な埋葬、および地域社会の参加をより効率よく進めることに重点が移されてきました。
  • 流行が深刻な3か国から毎週報告される新たな確認患者数が、2014年6月29日までの週以来、初めて100人を下回りました。1月25日までの週に流行3か国から報告された患者数は、ギニアで30人、リベリアで4人、シエラレオネで65人の、合計99人でした。
  • リベリアとシエラレオネでは患者発生数は減少が続いています。(しかし)ギニアでは、患者発生数が30人に上り、前週よりも20人も上回る数が報告されています。
  • セネガルと国境を接するギニア北部のマリ県(国名のマリとは異なります)では、初めての患者発生が報告されました。
  • ギニアでは、1月18日の週において確定患者と可能性の高い患者20人のうち6人(30%)が登録された接触者の中から発生しました。リベリアでは、1月25日の週における新たな確定患者4人のうち2人(50%)が登録された接触者の中から発生しました。シエラレオネでは同種の情報は利用できていません。(当面の)目標は新たな患者の発生が100%登録された濃厚接触者からの発生になることです。それは、それぞれの伝染の連鎖に追跡と遮断ができたことを意味します。
  • 1月25日までの21日間に、患者の検体が回収されてから検査結果の伝達を通して各国保健相に報告されるまでの平均時間は、ギニアでは0.7日、リベリアでは0.5日、シエラレオネでは0.8日でした。目標は検体の回収から24時間以内に結果を得ることです。
  • 入院患者での致死率(信頼のある記録に基づく全入院患者から計算された結果)は、流行3か国でおよそ54%から62%の間です。流行発生から、改善の傾向は見られていません。
  • 流行3か国において全ての医療施設で最低限遵守すべき感染の予防と管理(IPC)についての見極めが行われています。これは全ての医療施設がこのような基準に対応できることを目的としています。最低限のIPC基準に対応できる施設の割合に関するデータはまもなく利用できるようになります。
  • 流行3か国からは816名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、488名が亡くなっています。1月25日までの週にはギニアとシエラレオネから医療従事者の感染の報告はありません。リベリアでは、前週の感染者は0名でしたが、今週は2名の感染が報告されました。
  • ギニアでは、1月21日までの週に県下レベル27地域で協力拒否についての安全保安上の事例またはその他の形態が1例以上報告されました。同週に、リベリアでは2地区からシエラレオネでは4地区から1例以上の同様の事例が報告されました。

1. 広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラウイルス病患者(確定症例、可能性の高い症例、疑い症例を含む)が22,000を超え、死亡者数も8,800を超えました。1月25日までの7日間に、ギニアで30人、リベリアで4人、シエラレオネで65人の新たな患者発生が報告されています。
  • 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示しています。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上の成人では約4倍になっています。
  • 流行3か国では816名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、488名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、18名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の患者数および死亡者数

図.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数および死亡者数

注釈:データは各国の保健省からの公式情報です。これらの数値は再分類・再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図4:ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

図.ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

注釈:地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

2.初期の症例が生じた国、あるいは限局的な伝播が生じている国

  • マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
  • イギリスでは、公衆衛生当局が2014年12月29日にスコットランドのグラスコーでエボラウイルス病患者の発生を確認しました。この患者はシエラレオネのエボラ治療センターでボランティアとして働き帰国した医療従事者です。患者は12月29日に隔離された後に、ロンドンの病院で治療を受けています。患者は1月23日にエボラウイルス病検査に対する2回目の陰性結果を得て、24日に退院しました。全ての接触者は21日の健康監視期間を完了しました。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 28 January 2015.
http://apps.who.int/ebola/en/ebola-situation-report/situation-reports/ebola-situation-report-28-january-2015