2015年02月03日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況 (更新3)

2015年2月1日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、カナダの国立国際保健規約(IHR)担当者から2015年1月27日に鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染した患者1例を検査確認したとの報告がありました。また、1月30日に、最初の報告例と中国を旅行した同行者も鳥インフルエンザA(H7N9)に感染していたことを検査で確認したとの報告がありました。

症例の詳細情報

これらの患者は、中国を一緒に旅行した後、香港経由でブリティッシュコロンビア州に帰国しました。彼らは、家禽類との直接の接触ではないものの、旅行中に生きた家禽類との接触機会がありました。

最初の症例は、1月14日に発症し、15日に受診しました。インフルエンザAの陽性が確認されたため、患者は5日間の抗ウイルス薬の処方を受けました。1月26日に、患者はインフルエンザA(H7N9)に陽性であることが判明しました。

第2の症例は、1月13日に発症し、同日、受診をしました。患者は基礎疾患を持っていました。1月19日に、患者は5日間の抗ウイルス薬の処方を受けました。1月29日に、患者はインフルエンザA(H7N9)に陽性であることが確認されました。

何れの患者も入院することなく、急性呼吸器症状から回復しました。両者とも自宅に留まることに同意していました。

公衆衛生上の対策

両者の家族内接触者に対して及び医療関係の接触者に対して追跡と監視が続けられています。

両者と乗り合わせた搭乗客については、2人が搭乗した時点では潜伏期間内にあり、発症していなかったことから追跡は行われていません。

WHOは鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況の厳重な監視を続けており、リスク評価を行っています。これまでのところ、全体的なリスク評価は変わっていません。

WHOからのアドバイス

WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、養鶏場への立ち入り、生きた家禽類をさばく市場での動物との接触、家禽類を処理する場所への立ち入り、家禽類や動物の排泄物で汚染されている可能性のあるあらゆる物品との接触、を避けることを勧めています。また、渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全に注意する衛生習慣を維持すべきです。

WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨していません。鳥インフルエンザが懸念される地域の渡航中又は帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザへの感染を鑑別診断として考えておくべきです。

WHOは、国際保健規則(2005)に基づき、重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続し、通常と異なる傾向がみられた症例については慎重に検討を重ねることを各国に促しています。さらに、国民の健康・医療の整備に向けた活動を続けていくことを求めています。

中国に滞在される方は、今後も情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしてください。入国の際に、発熱、咳、喉の痛みなどの症状がある場合には検疫所にご相談ください。

出典

WHO, Global Alert and Response(GAR).
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus - Canada, 1February2015
http://www.who.int/csr/don/01-february-2015-avian-influenza/en/