2015年02月16日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況 (更新8)

 2015年2月13日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、フィリピンの国立国際保健規約(IHR)担当者は、2015年2月12日に中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染者1人の発生を報告しました。

症例の詳細情報
 31歳女性。サウジアラビアのリヤドで働いていた医療従事者でした。1月26日に発症し、発症時には病院で働いていました。彼女は、過敏性症状(肺臓炎)患者として治療を受けました。2月1日に、彼女はフィリピンのマニラに家族とともに帰国し、自宅に戻りました。そして、2月2日に地元の民間病院に治療のために入院しました。彼女は急性気管支炎と診断されましたが、検査でMERS-CoV感染が確定されたために、2月10日に熱帯医学研究所(RITM)に転院となりました。現在は、発熱はなく、安定した状態です。

 フィリピンの保健省(DoH)は、家族と医療機関における接触者の追跡調査を精力的に行っており、当該マニラ便のすべての搭乗者に対しても積極的に追跡調査を行っています。確認された接触者は診察が行われ、最後に接触が確認された日から14日間健康監視下に置かれています。発症した場合には、すべての接触者はRITMで隔離されることになります。

 WHOは、世界で978人の検査確定したMERS-CoV感染の患者報告と、少なくとも358人の関連する死亡報告を受けています。

WHOからのアドバイス
 WHOは、現状および利用可能な情報に基づいて、加盟国すべてに対して、急性呼吸器感染症に関するサーベイランスを継続し、また、あらゆる異常を示す症例についても注意深く調査することを勧めています。

 医療施設でMERS-CoVが拡がる可能性を下げるには、感染予防および管理方法が重要です。他の呼吸器感染症と同様に、MERS-CoVの初期症状は非特異的なため、通常、早い時期に患者をMERS-CoVと診断できるものではありません。したがって、医療従事者は、診断にかかわらず、すべての患者に対して常に一貫した標準感染予防対策を適用する必要があります。急性呼吸器感染症の兆候を呈している患者の治療にあたる場合には、標準感染予防対策に加えて、飛沫予防対策を行うべきです。また、MERS-CoV感染の可能性がある症例、あるいは確定診断された症例の治療にあたる場合には、接触予防対策および眼の防護策を追加すべきです。さらに、エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気感染の予防対策を行う必要があります。

 今後、MERS-CoVに関して解明が進むまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫不全のある人は、MERS‐CoV感染で重篤化するリスクが高いと考える必要があります。したがって、これらの人は、ウイルスの存在する可能性がある農場、市場あるいは家畜小屋のある地域を訪れる場合、動物に近づくこと、特にラクダと濃厚接触することを避けなければなりません。動物に触れた後には必ず手洗いを行い、病気の動物との接触を避けるという一般的な衛生習慣をしっかりと守るべきです。

 食品に対する衛生習慣は守るべきものです。ラクダの生乳あるいは尿を飲むこと、また、調理不十分の肉を食べることは避けるべきです。

 WHOは、この事象に関連して入国時に特別な検査を行うことを勧めてはいません。また、現在、旅行あるいは貿易を規制することも推奨していません。

出典

WHO. Global Alert and Response (GAR):
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)- The Philippines. 13 February 2015
http://www.who.int/csr/don/13-february-2015-mers/en/