2015年02月18日更新 麻しんの流行発生-アメリカ大陸

2015年2月13日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、2015年1月1日から2月8日の間に、ブラジル、カナダ、メキシコおよびアメリカ合衆国の国際保健規約(IHR)担当者から、汎米保健機構/世界保健機関(PAHO/WHO)に147人の麻しんの発生の報告がありました。このうち、アメリカ合衆国ではたくさんの州で麻しん患者が発生しています。

註:この記事の多くは2月12日に掲載した「アメリカ大陸における麻しんの流行」と重なりますが、新たにメキシコでの患者発生に関する情報を加えて、WHOが改めて発信しています。

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では、2015年1月1日から2月6日までに17州とワシントン特別区から121人の麻しん患者の発生が報告されました。

報告された17の州と特別区は、アリゾナ(7)、カリフォルニア(88)、コロラド(1)、コロンビア特別区(1)、デラウエア(1)、イリノイ(3)、ミシガン(1)、 ミネソタ(1)、ネブラスカ(2)、ニュージャージー(1)、ニューヨーク(2)、ネバダ(2)、オレゴン(1)、ペンシルベニア(1)、サウスダコタ(2)、テキサス(1)、ユタ(2)、ワシントン(4)です。

報告された患者の年齢は、12か月未満から59歳まで(中央値19歳)におよんでいます。大半の患者である103人は、カリフォルニア州のアミューズメントパークを2014年12月17日から20日の間に訪れたことと繋がりがあります。流行は、おそらくは海外で麻しんに感染した旅行客が感染中にアミューズメントパークを訪れたとから始まりました。しかし、感染源は特定されていません。

カナダ

カナダでは、2つの独立した麻しん発生について調査中です。

  • 2月3日に、ケベック州の社会保健庁のラノディエール地域公衆衛生課に、2015年始めから8人の麻しん疑いの患者が報告されました。これらの疑い患者は宗教的理由でワクチンを接種していない同一家族から発生しました。彼らは、現在の合衆国での流行とつながっています。
  • 2月2日に、オンタリオ州トロント公衆衛生局から2歳未満の子ども2人と大人2人、別々の家族から麻しん患者を検査で確認したことが報告されました。

これまでのところ、感染源は特定されておらず、これらの患者間での交流や接触は確認されていません。2組の発生に対して感染者と接触した者の追跡が行われています。

メキシコ

メキシコの国際保健規約(IHR)担当者は、合衆国に旅行歴のある麻しんの輸入感染患者2人を報告しました。最初の患者は、メキシコのバハ・カリフォルニア・スル州に住む22か月の女児です。2014年12月16日から18日にカリフォルニアを旅行しており、12月30日に皮疹が現れました。2番目の患者はヌエボ・レオン州に住む37歳の麻しんワクチン接種を未接種の女性です。彼女の最近の旅行歴は2014年12月26日から31日にサンフランシスコを訪れただけでした。国と地元の保健担当局は、適切な予防処置と感染対策を実施しています。これまでのところ、メキシコで新たな患者は登録されていません。

ブラジル

ブラジルでは、2013年から2015年にかけてペルナンブーコ州の北部とセアラー州で麻しんの流行が続いていることが報告されています。最初、麻しんウイルスは2013年3月19日にペルナンブーコ州で検出されました。それ以来24の市町村から、麻しん感染が確認された患者は、2014年3月14日までに死亡者1人を含む合計224人が報告されています。ほとんどの感染者は1歳未満の子どもでした(110/224人、44.6%)。遺伝子型はD8でした。

この流行は、2013年12月25日に最初の感染者が報告されてから、セアラー州に隣接する州にも拡がりました。2015年2月5日までに、31市町村から合計718人の感染が確認され、報告されています。直近の患者での皮疹の始まりは2015年1月19日でした。これまでのところ死亡者は報告されていません。感染者のほとんどは5歳未満でした(37.1%)が、15歳から29歳の若年者が続いていました(33.2%)。12市町村で51人の患者が調査中ですが、直近の疑い患者での皮疹の始まりは2015年2月2日でした。遺伝子型はD8でした。

加えて、セアラー州Fortaleza(フォルタレザ)に旅行した患者1人が報告されました。患者は40歳の男性で、ロライマ州に住んでいます。


麻しん(はしか)は、麻しんウイルスが、空気感染、飛沫感染、接触感染によって人から人にうつるウイルス感染症です。その感染力はウイルスの中で最も強く、麻しんを発症している人と同じ部屋にいただけで(空気)感染することがあります。また、免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症します。成人の方が重症化する傾向があり、肺炎や脳炎などの重い合併症を起こします。

麻しんは予防接種で予防することができます。予防効果を確実にするためには、2回の接種が必要です。現在、1歳と小学校入学前1年間の子どもに対して、計2回の定期予防接種が行われています。麻しんの流行がみられる地域へ海外渡航される前には、母子健康手帳などで、予防接種歴を確認してください。麻しんに罹ったことがない方で、麻しんの予防接種を受けたことがない又は1回しか受けていない方、または予防接種を受けたかどうかがわからない方は、流行地へ渡航する前に、早めに医師に相談してください。

FORTH感染症情報

麻しん(はしか)

出典

WHO.Global Alert and Response(GAR). 13February2015
Measles –The Americas
http://www.who.int/csr/don/13-february-2015-measles/en/