2015年02月26日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第8週)

2015年2月25日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は23,729人、死亡者数は9,604人になりました。

註1:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況、感染が波及した国での対応状況に内容を絞り込んでいます。要点に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 2月22日までの1週間に報告された新たな確定患者数は、合計で99人でした。ギニアでは、新たに35人の確定患者が報告されました。患者は感染連鎖を辿ることのできない感染源から発生し続けています。感染はシエラレオネでも拡がり続けており、新たに63人の確定患者が報告されました。Bombali(ボンバリ)で新たに確定診断された20人の集団は、以前に報告された首都フリータウンのAberdeen(アバディーン)漁業共同体での集団発生に関連したものです。首都フリータウンでは同じ期間に新たに確定患者14人が報告され、いまもフリータウンでもその他の地域でも感染連鎖を辿ることのできない感染源から発生しています。リベリアでは、2月22日までの7日間に報告された新たな確定患者は1人で、僅かではありますが流行が続いています。この患者は首都モンロビアで追跡中の接触者から発生したもので、感染源を辿ることができます。
  • 地域社会との効果的な関わりは、いくつもの地域で課題として残っています。ギニアでは、2月22日までの1週間に約1/3の県で少なくとも1件の安全保安上の事例が報告されました。これらは、噂や誤った情報がしばしばエボラ出血熱の拡大に対する対策への努力と結びつくことで生じています。ギニア、シエラレオネにおける新たな16人の確定患者は、地域社会の中での死亡した患者を死後に検査したもので、これは未だに治療を求めることができない、または、治療に消極的な人々が相当数いることを示しています。これらの患者は感染の連鎖を辿ることができる接触者として発見され、迅速に診断され、隔離され、そして症状が現れた後には直ぐに治療されることが理想ですが、実現には至っていません。ギニアとシエラレオネでは、安全性を欠いた埋葬が19件と15件それぞれに報告されました。
  • ギニアから報告された新たな確定患者数のほとんどは、隣接する北部の3県、首都コナクリ(確定患者6人)、Coyah(コワイヤ)県(8人)とForecariah(フォレカリア)県(16人)からです。しかし、コートジボワールに隣接する東部のローラ県でも新たに確定患者1人が報告されています。この県では発生患者が上下しています。北部のマリ県でも、新たに確定患者1人が報告されています。
  • シエラレオネでは、全国で12月から1月末までに患者発生数の急激な減少が続いています。(それでも)、流行の拡大は続いており、8地域で新たな確定患者が報告されました。いまも患者の多くが感染源を辿ることのできない感染源から発生しています。
  • 所轄保健省に結果を報告する検査について、2月22日までの22日間に集められた検体の84%から98%が1日以内に検査されました。現在、どの程度早く結果が患者に伝えられているかについてのデータはありません。
  • 2月22日までの1週間に新たに3名の医療従事者の感染が報告されています(ギニア2名、シエラレオネ1名)。流行が始まって以来、837名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、490名が亡くなっています。

1. 広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が23,500人を越え、死亡者数も9,500人(たくさんの未知の報告があります)を越えました。2月22日までの1週間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで35人、リベリアで1人、シエラレオネで63人でした。
  • 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示しています。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上の成人では約4倍になっています。
  • 流行3か国では837名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、490名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、18名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

注釈:データは各国の保健省からの公式情報です。これらの数値は再分類・再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図4:ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

図.ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

注釈:地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国

  • マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
  • イギリスでは、公衆衛生当局が2014年12月29日にスコットランドのグラスコーでエボラ出血熱患者の発生を確認しました。この患者はシエラレオネのエボラ治療センターでボランティアとして働き帰国した医療従事者です。患者は12月29日に隔離された後に、ロンドンの病院で治療を受けました。患者は1月23日にエボラ出血熱検査に対する2回目の陰性結果を得て、24日に退院しました。全ての接触者は21日の健康監視期間を完了しました。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 25February2015.
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/153582/1/roadmapsitrep_25Feb15_eng.pdf?ua=1&ua=1[PDF形式:1.8MB]