2015年03月05日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第9週)

2015年3月4日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は23,969人、死亡者数は9,807人になりました。

註1:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況、感染が波及した国での対応状況に内容を絞り込んでいます。要点に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 3月1日までの1週間に新たに報告された確定患者数は、合計132人で、前週(99人)よりも増えていました。リベリアでは、今週、2014年5月26日の週以降で初めて、新たな確定患者の報告がありませんでした。ギニアとシエラレオネでは、週別の確定患者数が増加しています。シエラレオネでは、3月1日までの1週間に8つの地区で新たに確定患者が報告され、感染伝播は拡大する傾向を残しています。ギニアでは、Forecariah(フォレカリア)と首都コナクリで前週と比べて著しい患者数の増加が報告されました。
  • ギニアでは、前週の35人と比べて3月1日までの1週間に新たな確定患者51人が報告されました。(このうち)登録された接触者から発生した患者は49%にとどまり、感染源が不明の患者が発生し続けています。7県で新たな患者が報告されました。西部に隣接する3つの県から報告された新たな確定患者数は最大となっています。隣接する西部の3県とは、首都コナクリ(17人)、Coyah(コワイヤ)県(5人)とフォレカリア県(23人)です。Macenta(マセンタ)でも新たに確定患者2人が報告されています。ここは、過去4週間に確定患者が報告されていなかった地区です。コートジボアールに隣接する東部のローラ県(新規患者1人)でも、低いレベルにはあるものの感染伝播は続いています。
  • シエラレオネでは、3月1日までの1週間に8つの地区から新たな確定患者81人が報告されました。前週に報告された首都フリータウンのAberdeen(アバディーン)漁業共同体での集団発生は他の地区での流行発生にも飛び火し、注目すべきことにBombali(ボンバリ)で新たに確定患者22人が報告されました。同週に、首都フリータウンでは26人、ポート・ロコでは16人の新たな患者が報告されました。
  • リベリアでは、今週は新たな確定患者が報告されませんでした。最後に感染の連鎖が明らかとなった首都モンロビアのSt Paul’s Bridge(セント・ポール・ブリッジ)では接触者が健康監視下に置かれています。3月1日までの1週間に全国からの45本の検体でエボラ出血熱の検査が行われましたが、陽性となったものはありませんでした。
  • ギニアとシエラレオネでは、公衆の中で発生するエボラ出血熱患者の死者数は未だに多く、これは早期の患者隔離と治療の必要性が、理解も、受け容れも、行動も行われないままの状態にあることを示唆しています。ギニアでは、3月1日までの1週間に報告された確定死亡者の半数以上(32人中17人、53%)が公衆の中から報告されました。これは前週の42%(21人中9人)よりも増加しています。シエラレオネでは、3月1日までの1週間に報告されたエボラ出血熱の確定死亡者の16%が公衆からのものでした。前週は21%でした。
  • 安全性を欠いた埋葬が続いており、ギニアとシエラレオネではそれぞれに3月1日と2月22日までの数週間に、合わせて16件の安全性を欠いた埋葬が報告されています。
  • ギニアとシエラレオネでは、3月1日までの1週間に1,531本と270本の検体がそれぞれに検査されています。これらと比べて、リベリアでは45本の検体にとどまり、その数は適正数には満たないことを示唆しています。
  • 国境を越える感染伝播のリスクに留意するために、ギニア、マリ、セネガルの代表団は2015年2月25-26日に会議を開き、(検査設備の共有を含む)患者管理に対する国境を越えた協力体制の強化、地域社会ベースでの調査、リスクの伝達手段と情報の共有、及び国境を越える際のスクリーニングについて合意しました。
  • 3月1日までの1週間に、ギニアで新たに1名の医療従事者の感染が報告され、流行が始まって以来の医療従事者の感染者は839名となっています。このうち、491名が亡くなっています。

1.広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が23,900人を越え、死亡者数も9,800人(たくさんの未知の報告があります)を越えました。3月1日までの1週間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで51人、リベリアで0人、シエラレオネで81人でした。
  • 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数であることを示しています。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上の成人では約4倍になっています。
  • 流行3か国では839名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、491名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、18名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

注釈:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類・再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**累積数の減少は過去のデータの再集計によるものです。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図4:ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

図.ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

注釈:地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

2.初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国

  • マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、イギリス、アメリカ合衆国の6か国で、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。
  • イギリスでは、公衆衛生当局が2014年12月29日にスコットランドのグラスコーでエボラ出血熱患者の発生を確認しました。この患者はシエラレオネのエボラ治療センターでボランティアとして働き帰国した医療従事者です。患者は12月29日に隔離された後に、ロンドンの病院で治療を受けました。患者は1月23日にエボラ出血熱検査に対する2回目の陰性結果を得て、24日に退院しました。全ての接触者は21日の健康監視期間を完了しました。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 4 March 2015.
http://apps.who.int/ebola/sites/default/files/atoms/files/WHO%20Ebola%20Situation%20Report_04-03-2015_0.pdf?ua=1[PDF形式:1.6MB]