2015年03月10日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況 (更新13)

 2015年3月9日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、ドイツの国際保健規約(IHR)担当者は、3月7日、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染患者1人の発生を報告しました。

症例の詳細情報
・65歳男性。アラブ首長国連邦アブダビから帰国したドイツ市民です。患者は、2月10日に発症し、1週間後に集中治療室(ICU)に収容されました。MERS-CoV感染が2本の検体から確認されました。最も新しい検体は3月5日に採取されました。現在、患者は重篤ですが、安定した状態です。

患者が治療を受けている病院では、2月23日以降、必要ありと推奨される全ての感染予防と制御のための対策が取られています。この患者と接触の可能性のある全ての接触者に対して追跡調査が続けられています。これまでのところ、新たな患者は発生していません。 

 世界的には、WHOは、1,041人の検査確定したMERS-CoV感染の患者報告と、少なくとも383人の関連する死亡報告を受けています。

WHOからのアドバイス
 WHOは、現状および利用可能な情報に基づいて、加盟国すべてに対して、急性呼吸器感染症に関するサーベイランスを継続し、また、あらゆる異常を示す症例についても注意深く調査することを勧めています。

 医療施設でMERS-CoVが拡がる可能性を下げるためには、感染予防および管理方法が重要です。他の呼吸器感染症と同様に、MERS-CoVの初期症状は非特異的なため、通常、早期に患者をMERS-CoVと診断できるものではありません。したがって、医療従事者は、診断の有無にかかわらず、すべての患者に対して常に一貫した標準感染予防対策を行う必要があります。急性呼吸器感染症の兆候を示している患者の治療にあたる場合には、標準感染予防対策に加えて、飛沫予防対策を行う必要があります。また、MERS-CoV感染の可能性がある症例、あるいは確定診断された症例の治療にあたる場合には、接触予防対策および眼の防護策を追加すべきです。さらに、エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気感染の予防対策を行う必要があります。

 今後、MERS-CoVに関して解明が進むまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫不全のある人は、MERS‐CoV感染で重篤化するリスクが高いと考えるべきです。これらの人は、ウイルスが存在する可能性のある農場、市場あるいは家畜小屋のある地域を訪れる場合、動物に近づくこと、特にラクダとの濃厚接触を避けなければなりません。動物に触れた後には必ず手洗いを行い、病気の動物との接触を避けるという一般的な衛生習慣をしっかりと守るべきです。

 食品に対する衛生習慣は守るべきものです。ラクダの生乳あるいは尿を飲むこと、また、調理不十分の肉を食べることは避けるべきです。

 WHOは、この事象に関連して入国時に特別な検査を行うことを勧めてはいません。また、現在、旅行あるいは貿易を規制することも勧めていません。

出典

WHO. Global Alert and Response (GAR):
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)- Germaney. 6 March 2015
http://www.who.int/csr/don/9-march-2015-mers-germany/en/