2015年03月12日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況 (更新6)

2015年3月11日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は3月9日に、17人の死亡者を含む新たに鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染者59人を検査で確認したことをWHOに報告しました。報告された患者の発生期間は、2015年1月21日から2月25日までです。59例における発症の疫学週数のうちわけは以下のとおりです。

  • 第4週(1/19-1/25) : 5人
  • 第5週(1/26-2/1) :13人
  • 第6週(2/2-2/8)  : 9人
  • 第7週(2/9-2/15) :15人
  • 第8週(2/16-2/22):14人
  • 第9週(2/24-2/25): 3人

59例のうち、44人(75%)が男性でした。大半(49人、83%)が生きた家禽との接触機会又は生きた家禽を扱う市場との接点が報告されていました。各2人ずつからなる3つの家族内感染が報告されました。6人のうちの4人は家禽との接触機会又は生きた家禽を扱う市場との接点がありました。後の2人のうち1人は家禽との接触の機会はなく、残る1人は現在調査中です。患者は、安寧省(4人)、福建省(1人)、広東省(35人)、貴州省(1人)、湖南省(2人)、江蘇省(3人)、江西省(1人)、上海(1人)、浙江省(11人)の9つの省からでした。

中国政府は以下のサーベイランスと感染制御対策をとっています

  1. 1. 疫学および病因学的な監視と状況分析の強化
  2. 2. 患者管理と治療の強化
  3. 3. 市販の生きた家禽市場の消毒、感染症が発生した場所での生きた家禽の取り扱いの閉鎖、および集約化された屠殺や冷凍製品の推進のようなさらなる対策の強化。
  4. 4. 社会の場への情報の提供

一方、WHOは鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況の厳重な監視を続けており、リスク評価を行っています。

鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染者は、今後も周辺地域で散発的に発生することが予想されます。もし、流行地域から国境を越えて旅行する者がいれば、旅行中又はその到着後に他の国で感染者が発見されるかもしれません。もし、このような事例が発生しても、このウイルスは、簡単に人から人への直接感染を起こす能力はなく、地域レベルで感染が拡がるとは考えられていません。

WHOからのアドバイス

WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、養鶏場への立ち入り、生きた家禽類をさばく市場での動物との接触、家禽を解体する場所への立ち入り、家禽や動物の排泄物で汚染されているとみられるあらゆる物品との接触を避けることを助言しています。また、渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣を維持すべきです。

WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨してはいません。鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航中又は帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザへの感染を鑑別診断として考えておくべきです。

WHOは、国際保健規則(2005)に基づき、重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続し、慎重に通常と異なる傾向がみられた症例については検討を重ねることを各国に促しています。さらに、国民医療の事前計画の活動を続けていくことを求めています。

中国に滞在される方は、今後も情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしてください。入国の際に、発熱、咳、喉の痛みなどの症状がある場合には検疫所にご相談ください。

出典

WHO, Global Alert and Response(GAR).
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus – China. 11 March 2015
http://www.who.int/csr/don/11-march-2015-avian-influenza-china/en/