2015年03月23日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況 (更新15)

 2015年3月20日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、サウジアラビアの国際保健規約(IHR)担当者は、2015年3月3日から3月10日までの間に5人の死亡者を含む中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)に感染した新たな患者15人の発生を報告しました。

症例の詳細情報
1. 72歳女性。Buridah(ブライダ)市の住民で、2月23日に発症し、3月2日に入院しました。患者には基礎疾患がありました。発症までの14日間における既知のリスクファクターとの接触に対する調査が続けられています。患者は3月9日に死亡しました。

2. 61歳男性。リヤド市の住民で、別の疾患で2月22日からの入院中、3月7日に発症しました。患者は他にMERS-CoV感染が検査確認された患者がいる同じ病院に入院しました。これらの患者との疫学的な繋がり、配置された医療従事者についての調査が続けられています。現在、患者は安定した状態で、病棟の陰圧室に隔離されています。

3. 48歳女性。リヤド市の住民で、別の疾患で1月19日からの入院中、3月4日に発症しました。患者は発症までの14日間に、他にMERS-CoV感染が検査確認された患者がいる同じ病院に入院しました。これらの患者との疫学的な繋がり、配置された医療従事者についての調査が続けられています。現在、患者はICUに収容され、重篤な容態です。

4. 37歳男性。サウジアラビア国籍をもたない(非アラビア国籍)リヤド市の医療従事者で、3月7日に発症し、3月8日に入院しました。患者には基礎疾患がありました。発症までの14日間にMERS-CoV感染が検査確認された患者が治療を受けている病院に入院しました。これらの患者との疫学的な繋がりについての調査が続けられています。現在、患者はICUに収容され、重篤な容態です。

5. 48歳女性。リヤド市の医療従事者で、3月7日に発症し、同日入院しました。患者には基礎疾患がありました。発症までの14日間における既知のリスクファクターとの接触に対する調査が続けられています。患者はICUに収容され、重篤な容態です。

6. 61歳男性。リヤド市の住民で、2月27日に発症し、3月5日に入院しました。患者には基礎疾患がありました。発症までの14日間における既知のリスクファクターとの接触に対する調査が続けられています。患者は3月9日に死亡しました。

7. 57歳男性。Hafouf(フフーフ)市の住民で、3月4日に発症し、3月6日に入院しました。患者に基礎疾患はありません。発症までの14日間における既知のリスクファクターとの接触に対する調査が続けられています。患者はICUに収容され、重篤な容態です。

8. 56歳男性。リヤド市の住民で、3月4日に発症し、3月5日に入院しました。患者には基礎疾患がありました。彼はMERS-CoV感染が検査確認された患者(2月23日報告のNo.11)との接触者です。発症までの14日間に他のリスクファクターとの接触はありません。現在、患者は安定した状態で、病棟の陰圧室に隔離されています。

9. 48歳女性。非サウジ国籍のリヤド市の医療従事者で、3月3日に発症し、3月5日に入院しました。患者に基礎疾患はありません。彼女は発症までの14日間にMERS-CoV感染が検査確認された患者が治療を受けている病院で働いていました。これらの患者との疫学的な繋がりについての調査が続けられています。患者には発症までの14日間に他に知られたリスクファクターとの接触はありません。現在、患者は安定した状態で、病棟の陰圧室に隔離されています。

10. 59歳女性。Khurmah(フルマ)市の住民で、2月23日に発症し、2月28日にジッダ市内で入院しました。患者には基礎疾患がありました。また、患者はラクダとの直接の接触機会を持ちませんでしたが、患者の家族に、頻繁にラクダと接触し、ラクダの生乳を飲んでいる者がおりました。患者には発症までの14日間に既知のリスクファクターとの接触はありません。現在、患者はICUに収容され、重篤な状態です。

11. 53歳男性。リヤド市の住民で、2014年7月13日から別の疾患で入院中、3月3日に発症しました。患者は発症までの14日間にMERS-CoV感染が検査確認された患者と同じ病院に入院しました。しかし、これらの患者との直接の接触はありません。患者は発症までの14日間に他に知られたリスクファクターとの接触もありません。患者は3月5日に死亡しました。

12. 44歳男性。非サウジ国籍のShaqra(シャクラー)市の住民で、2月23日に発症し、2月25日に入院しました。患者に基礎疾患はありません。患者は頻繁にラクダと接触し、ラグダの生乳を飲んでいました。患者には発症までの14日間に他に知られたリスクファクターとの接触はありません。現在、患者はICUに収容され、重篤な状態です。

13. 30歳男性。非サウジ国籍のOnizah(ウナイザ)市の住民で、3月2日に発症し、同日入院しました。患者に基礎疾患はありません。発症までの14日間の既知のリスクファクターとの接触に対する調査が続けられています。患者は3月8日に死亡しました。

14. 69歳女性。リヤド市の住民で、別の疾患で2月20日に入院中、3月3日に発症しました。患者は発症までの14日間にMERS-CoV感染が検査確認された患者と同じ病院に入院しました。これらの患者との疫学的な繋がり、配置されていた医療従事者についての調査が続けられています。現在、患者は安定した状態で、病棟の陰圧室に隔離されています。

15. 70歳女性。リヤド市の住民で、2月24日に発症し、2月25日に入院しました。患者には基礎疾患がありました。しかし、患者は発症までの14日間に既知のリスクファクターとの接触はありません。患者は3月4日に死亡しました。

 サウジアラビアの国際保健規約(IHR)担当者は、以前に報告されたMERS-CoV患者5人の死亡をWHOに報告しました。患者は3月11日に報告されたNo.8、3月6日に報告されたNo. 5、2月23日に報告されたNo. 36、38、2月16日に報告されたNo. 2です。

 これらの症例に対して、家族と医療機関の接触者追跡が行われています。

 世界的には、WHOは、1,075人の検査確定したMERS-CoV感染の患者報告と、少なくとも404人の関連する死亡報告を受けています。

WHOからのアドバイス
 WHOは、現状および利用可能な情報に基づいて、加盟国すべてに対して、急性呼吸器感染症に関するサーベイランスを継続し、また、あらゆる異常を示す症例についても注意深く調査することを勧めています。

 医療施設でMERS-CoVが拡がる可能性を下げるには、感染予防および管理方法が重要です。他の呼吸器感染症と同様に、MERS-CoVの初期症状は非特異的なため、通常、早い時期に患者をMERS-CoVと診断できるものではありません。したがって、医療従事者は、診断にかかわらず、すべての患者に対して常に一貫した標準感染予防対策を適用する必要があります。急性呼吸器感染症の兆候を呈している患者の治療にあたる場合には、標準感染予防対策に加えて、飛沫予防対策を行うべきです。また、MERS-CoV感染の可能性がある症例、あるいは確定診断された症例の治療にあたる場合には、接触予防対策および眼の防護策を追加すべきです。さらに、エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気感染の予防対策を行う必要があります。

 今後、MERS-CoVに関して解明が進むまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫不全のある人は、MERS‐CoV感染で重篤化するリスクが高いと考える必要があります。したがって、これらの人は、ウイルスの存在する可能性がある農場、市場あるいは家畜小屋のある地域を訪れる場合、動物に近づくこと、特にラクダと濃厚接触することを避けなければなりません。動物に触れた後には必ず手洗いを行い、病気の動物との接触を避けるという一般的な衛生習慣をしっかりと守るべきです。

 食品に対する衛生習慣は守るべきものです。ラクダの生乳あるいは尿を飲むこと、また、調理不十分の肉を食べることは避けるべきです。

 WHOは、この事象に関連して入国時に特別な検査を行うことを勧めてはいません。また、現在、旅行あるいは貿易を規制することも推奨していません。

出典

WHO. Global Alert and Response (GAR).
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)- Saudi Arabia. 20 March 2015
http://www.who.int/csr/don/20-march-2015-mers-saudi-arabia/en/