2015年04月02日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第13週)

2015年4月1日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は25,178人、死亡者数は10,445人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況、感染が波及した国での対応状況に内容を絞り込んでいます。要点に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。今回より、「初期の症例が発生した国、あるいは限局的な感染の伝播が生じた国」についても絞り込みの対象としました。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 3月29日までの1週間に新たに報告されたエボラ出血熱の確定患者数は、前週の79人よりも僅かに増えて、合計82人でした。ギニアでは、患者数が前週の45人に対して57人に増えました。これは、シエラレオネで確定患者数25人にとどまり、4週連続で減少したことを相殺してしまいました。リベリアでは、この期間での新たな確定患者は報告されませんでした。
  • ギニアでの患者数の増加に加えて、流行が伝播している地域も増加しました。3月29日までの1週間に、前週の3県に対して、ギニアの7県で少なくとも新たな確定患者1人が報告されました。この7県のうちFria(フリア)とSiguiri(シギリ)の2県では、これまでの50日以上の中で初めての新たな確定患者の報告でした。マリとの国境に近いシギリ県では、30日以上を経て新たな確定患者がギニア西部以外で初めて報告されました。
  • シエラレオネでは、首都フリータウンとその周りの北部と西部の5地域から10人の新たな患者が報告されました。ボンバリの周辺地区で1人、カンビアで5人、ポート・ロコで6人、西部の地方でも3人の患者が報告されています。ギニアとシエラレオネでは、3月29日までの1週間に確定患者が報告された地域は、前週の10に対して12に上ります。
  • ギニアでの対策の指標はモザイク模様を示しています。3月29日までの週に、エボラ出血熱で死亡した35人中15人(43%)が地域で死後の検査で発見されました。前週は37人中10人(27%)でした。この増加はフォレカリアで地域との疎通性が改善してきたことによるものかもしれません。登録された接触者から発生した確定患者の割合は、3月15日の週の38%に対して3月22日の週には53%に増加しました。3月29日の週に、安全性を欠いた埋葬数は前週の26件に対して20件でした。
  • 45日間の緊急対策の強化が、ギニアのフォレカリア、コワイヤ、Dubreka(ドゥブレカ)、ボッファおよびキンディアの各県で宣言されています。首都コナクリでは、流行感染地域での移動の制限、エボラ出血熱の患者が発見された民間病院や診療所の一時閉鎖や隔離、親族だけが参加する埋葬の制限も対象となっています。45日の緊急対策期間には、すべての遺体についてエボラ出血熱の検査が実施されます。
  • リベリアでは、最近確定された患者が3月27日に死亡しました。感染源を特定するための調査が続けられています。患者と接触のあった185人には1日2回の健康監視が行われています。全国で頑強な警戒体制が維持されています。3月29日までの週には、エボラ出血熱に対する278検体の検査が実施されましたが、確定患者はでませんでした。
  • シエラレオネでは、3月29日までの週に確定患者の67%が登録された接触者から発生しました。前週は84%でした。この期間での安全性を欠いた埋葬は1件でした。地域でエボラ出血熱が死因と確認された患者の割合は、前週の56人中7人(13%)に対して3月29日までの週は52人中8人(15%)で僅かながら増えています。頑強な警戒体制が維持されています。前週の57人と比べて、3月29日までの週には100人以上の疑い患者が報告され(検査され)ています。疑い患者の多く(52件)が自宅待機していた3日のうち後半2日間には報告されました。3月29日までの週で、検査された検体1,606件のうちエボラ出血熱陽性率は2%でした。
  • 3月29日までの1週間に、新たにギニアで7名、シエラレオネで1名の医療従事者の感染がありました。これで、流行が始まって以来の流行3か国で報告された医療従事者の感染者総数は861名に達し、死亡者は495名になっています。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計25,178人となり、死亡者も10,000人を超えています(たくさんの未知の報告があります)。3月29日までの7日間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで57人、リベリアで0人、シエラレオネで25人でした。
  • 確定患者と可能性の高い患者からの層別解析では、患者数はおよそ男女同数となっています。10万人あたりの患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約3倍、45歳以上の成人では3倍から5倍になっています。
  • 流行3か国では861名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、495名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、18名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図2:ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註1:地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

註2:原文の図6には患者が最後に確認された日からの日数が示されています。発生地域と終息してきている地域が色分けされています。原文をご参照ください。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 1 April 2015.
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/160376/1/roadmapsitrep_1Apr2015_eng.pdf?ua=1&ua=1[PDF形式:2.0MB]