2015年04月17日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況 (更新18)

 2015年4月16日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、サウジアラビアの国際保健規約(IHR)担当者は、2015年4月2日から12日までに死亡者2人を含む新たな中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染者4人の発生を報告しました。

症例の詳細情報
1. 82歳男性。Hail(ハーイル)市の住民で、3月26日に発症し、4月2日に入院しました。患者は改善傾向が見られなかったため、4月4日にリヤド市内の病院へ転院となりました。患者には基礎疾患があり、4月12日に死亡しました。発症までの14日間における接触者の調査が続けられています。

2. 65歳女性。リヤド市の住民で、4月3日に発症し、同日、入院しました。患者には基礎疾患があり、4月5日に死亡しました。発症までの14日間における既知のリスクファクターとの接触機会について調査中です。

3. 66歳男性。非サウジアラビア国籍のメッカ市の住民で、3月27日に発症し、4月3日に入院しました。患者には4月1日に別の疾患で民間のヘルスセンターを受診しました。現在、患者は安定した状態で、病棟の陰圧室に隔離されています。発症までの14日間における既知のリスクファクターとの接触機会について調査中です。

4. 51歳男性。非サウジアラビア国籍のジッダ市の医療従事者で、3月28日に発症し、29日に入院しました。患者には基礎疾患がありました。彼はMERS-CoV感染が検査確定した患者(4月9日付、No. 3)との接触機会がありましたが、発症までの14日間に、入院した如何なるMERS-CoV患者の世話も担当していませんでした。発症までの14日間に、その他の既知のリスクファクターとの接触機会はありません。現在、患者は安定した状態で、病棟の陰圧室に隔離されています。

 サウジアラビアの国際保健規約(IHR)担当者はまた、以前に報告されたMERS-CoV患者3人の死亡をWHOに報告しました。患者は4月9日のNo. 2、No. 5および3月20日のNo. 14です。

 これらの症例に対して、家族と医療従事者の接触者追跡が行われています。

 世界的には、WHOは、1,106人の検査確定したMERS-CoV感染の患者報告と、少なくとも421人の関連する死亡報告を受けています。

WHOからのアドバイス
 WHOは、現状および利用可能な情報に基づいて、加盟国すべてに対して、急性呼吸器感染症に関するサーベイランスを継続し、また、あらゆる異常を示す症例についても注意深く調査することを勧めています。

 医療施設でMERS-CoVが拡がる可能性を下げるには、感染予防および管理方法が重要です。他の呼吸器感染症と同様に、MERS-CoVの初期症状は非特異的なため、通常、早い時期に患者をMERS-CoVと診断できるものではありません。したがって、医療従事者は、診断にかかわらず、すべての患者に対して常に一貫した標準感染予防対策を適用する必要があります。急性呼吸器感染症の兆候を呈している患者の治療にあたる場合には、標準感染予防対策に加えて、飛沫予防対策を行うべきです。また、MERS-CoV感染の可能性がある症例、あるいは確定診断された症例の治療にあたる場合には、接触予防対策および眼の防護策を追加すべきです。さらに、エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気感染の予防対策を行う必要があります。

 今後、MERS-CoVに関して解明が進むまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫不全のある人は、MERS‐CoV感染で重篤化するリスクが高いと考える必要があります。したがって、これらの人は、ウイルスの存在する可能性がある農場、市場あるいは家畜小屋のある地域を訪れる場合、動物に近づくこと、特にラクダと濃厚接触することを避けなければなりません。動物に触れた後には必ず手洗いを行い、病気の動物との接触を避けるという一般的な衛生習慣をしっかりと守るべきです。

 食品に対する衛生習慣は守るべきものです。ラクダの生乳あるいは尿を飲むこと、また、調理不十分の肉を食べることは避けるべきです。

 WHOは、この事象に関連して入国時に特別な検査を行うことを勧めてはいません。また、現在、旅行あるいは貿易を規制することも推奨していません。

出典

WHO. Global Alert and Response (GAR).
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)- Saudi Arabia. 16 April 2015.
http://www.who.int/csr/don/16-april-2015-mers-saudi-arabia/en/