2015年04月23日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第16週)

2015年4月22日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は26,079人、死亡者数は10,823人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要点に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 3週間以上エボラ出血熱の確定患者数の低下傾向は維持されています。患者数ゼロに向けて低下を加速させるために、地域社会でのさらなる取り組みの強化、接触者追跡とさらに早期での患者発見に向けた改善が求められています。前週、前々週の確定患者数37人および30人に対して、4月19日までの1週間は33人でした。
  • ギニアでは、前週の28人に対し、4月19日までの1週間では確定患者21人が報告されました。シエラレオネでは、前週の9人に対し、確定患者12人が報告されました。リベリアでは、確定患者は報告されませんでした。
  • ギニアでは、4月19日までの1週間に少なくともひとりの患者が報告された県は、前週の5県に対して、4県になりました。流行地域はギニア西部に絞り込まれ、主にシエラレオネと国境を接するForecariah(フォレカリア)県に集中しており、ここでは国内で発生した確定患者の86%が報告されています。
  • シエラレオネでは、首都フリータウンを含む都市部で確定患者6人が報告されています。これは国内で発生した患者の半数を占めており、前週の4人から僅かに増加しています。ギニアと北部で国境を接するKoinadugu(コイナダグ)で感染源不明の確定患者1人が報告されました。この他に新たな確定患者が報告された地区は、西部地方のカンビア(4人)とポート・ロコ(1人)でした。4月19日までの1週間に少なくともひとりの患者が報告された県は、前週の3県に対して、4県になりました。
  • シエラレオネでの対策の指標は、モザイク模様を示しています。4月19日までの1週間に、地域において死後の検査で発見されたエボラ出血熱陽性の死亡者数は3人(カンビア1人、西部地域都市地区1人、コイナダグ1人)であり、4月12日までの1週間に登録された接触者から発生した新たな患者の割合は50%を下回る44%でした。1,467検体が収集された検体の陽性検出率は1%(12/1467件)以下で、警戒体制の高まりを反映しています。
  • ギニアでの対策の指標もモザイク模様を示しています。4月19日までの週に、エボラ出血熱で死亡した6人が地域の中から死後の検査で発見されました。前週は8人でした。登録された接触者から発生した確定患者の割合は、3週続けて50%を下回り、4月12日までの1週間(利用可能な最新の週)では46%でした。しかし、前週の29%からは上昇しています。4月19日までの週に検査された検体数は565検体で5週連続で増加するとともに、陽性検体の検出率は前週の10%から6%に低下しています。
  • ギニアとシエラレオネにおける地域社会での取り組みは着実に改善してきています。しかし、全ての感染連鎖を同定するには、さらに踏み込んだ行動が必要です。フォレカリア県では、4月12日から15日に、患者の捜索と地域での注意喚起活動が行われ、新たに12人の患者が発見されました。このうち7人は死後の検査での発見で、この週にフォレカリア県で報告された確定患者の52%を占めています。同様の活動は、コワイヤ(4月24日に開始)でも計画され、その後、Dubreka(ドゥブレカ)、コナクリ、キンディア、ボッファの各県でも実施される予定です。
  • リベリアでは、直近に確定診断された患者は3月27日に死亡し、3月28日に埋葬されました。全国全域にわたって高度に警戒体制が維持されています。4月19日までの5日間に、新たに212検体でエボラ出血熱の検査が行われましたが、確定患者の発生はありませんでした。5月9日が最後の確定患者から42日の経過日となります。
  • 4月19日までの1週間に、新たに感染した医療従事者はいませんでした。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計26,044人、死亡者は10,808人となりました(たくさんの未知の報告があります)。4月19日までの7日間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで21人、リベリアで0人、シエラレオネで12人でした。
  • 確定患者と可能性の高い患者の数はおよそ男女同数となっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約3倍感染しやすいようです。45歳以上の成人では子どもよりも3倍から5倍感染しやすいようです。
  • 流行3か国では865名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、504名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、18名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**データは4月12日から14日までが欠損しています。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図2:ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の新規および累積の診断確定および可能性の高い患者数の分布図

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 22 April 2015.
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-22-april-2015-0