2015年05月21日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第20週)

2015年5月20日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は26,933人、死亡者数は11,120人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 5月17日までの1週間にギニアとシエラレオネから報告されたエボラ出血熱確定患者数は、35人でした。この1か月で最大の患者数となっています。これは、前週に報告された9人と比べて、紛れもない増加です。感染伝播の地理上の地域も最近の数週と比べて拡がりを示し、患者が報告された地域はギニア3地域、シエラレオネ3地域の6地域となっています。未だに残る感染連鎖の発見、封じ込めと流行の終局を確かなものにするために、地域社会における取り組みの改善、患者の調査、目的を定めた活発なサーベイランスに対する対応能力の強化が続けられています。
  • ギニアでは、前週は7人でしたが、確定患者27人が報告されました。患者の大半は西部のDubreka(ドゥブレカ)県(11人)とフォレカリア県(11人)から報告されました。残る5人は北西部のBoke(ボケ)からの報告です。ここはギニアビサウとの国境近くに位置します。ボケの患者は県下の沿岸にあるKamsar(カムサ)で集団発生し、初期調査では、彼らの感染連鎖がコナクリからであることが示唆されています。ドゥブレカから報告された11人は、県下のTanene(タエーヌ)からでした。集団の正確な感染源は分からないものの、患者追跡調査からは、ほとんどの確定患者と4人の疑い患者が4月中旬にドゥブレカで別の感染の可能性の高い患者の葬儀に参加したことに関連していました。ここが感染源であったと考えられています。患者調査と地域での積極的な接触者追跡は地域社会で関わりをもつことの難しさを示しました。フォレカリアの11人は、県下の10のうち6つの地域に分布していました。ギニアで報告された27人のうち9人は感染源が分からず、未だにいくつもの地域で発見されていない感染連鎖が存在し続けていることが示されています。
  • ギニアのボケ県での最近の集団感染はギニアビサウに近いため、ギニアビサウから対策チームが入国地点での体制を評価するために国境方面に派遣されました。また、疫学調査チームが国境を越える接触者への追跡を確実に行うために動員されました。
  • シエラレオネでは、首都フリータウン(4人)、カンビア(1人)、ポート・ロコ(3人)から確定患者8人が報告されました。フリータウンではMoa Wharf地域に近い北部の街で近隣の3人が集団感染しました。前週には、シエラレオネで患者が報告されたのはこの地域だけでした。カンビアの患者1人はMagbemaのChief(首長)支配地域から報告されました。ここは最近まで感染連鎖の中心であった地域でした。ポート・ロコの患者3人はカンビアのKaffu BullomのChief(首長)支配地域からの感染連鎖と関係していました。8人のうち4人は、以前の患者との接触が登録されていました。残りのうち3人は接触者登録がされていませんでした。しかし、さらなる調査で以前の患者と接触機会があったことが判明しました。フリータウンから報告された残る患者は、地域の中での死亡者で、死後の検査で判明しました。感染源は不明ですが、この患者はMoa Wharf地域にいたことが分かっています。
  • 最後の医療従事者の感染は4月6日にギニアから報告されました。しかし、新たな医療従事者の感染が5月14日にシエラレオネで検査確認されました。この医療従事者は、症状を発症したときフリータウン近くのエボラ治療センターで働いていたシエラレオネ人です。この症例は、最近イタリア人医療従事者がイタリアに帰国する前に働いていた同じ施設です。両者がどのようにエボラ出血熱患者と接触することとなったのかの調査が続けられています。現在イタリアで、ハイリスクの接触者と考えられている13人が健康監視の下にいます。流行の発生以来、ギニア、リベリア、シエラレオネから869名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、507名が亡くなっています。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計26,933人、死亡者は11,120人となりました(この患者数は確定患者、可能性の高い患者および疑い患者から報告されたものです。この他にもたくさんの確認のとれない患者の結果があります)。5月17日までの7日間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで27人、シエラレオネで8人でした。リベリアでは5月9日に流行の終息が宣言されました。
  • 確定患者と可能性の高い患者の数はおよそ男女同数となっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約3倍から4倍感染しやすく、45歳以上の成人では子どもよりも4倍から5倍感染しやすいようです。
  • ギニア、リベリア、シエラレオネから869名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、507名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**リベリアでは、5月9日に最後の確定患者が埋葬されてから42日が経ったことから、エボラ出血熱流行の終息が宣言されました。現在、この国は3か月間の(感染輸入への)厳重な警戒体制に入っています。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年5月17日の週)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:ギニアのフォレカリア県下のMaferinya(マフルニャ)の患者1人は表示されていません。地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 20 May 2015.
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/171812/1/roadmapsitrep_20May15_eng.pdf?ua=1&ua=1[PDF形式:2.0MB]