2015年05月28日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第21週)

2015年5月27日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は27,049人、死亡者数は11,149人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 5月24日までの1週間に、エボラ出血熱確定患者数は、ギニアから9人とシエラレオネから3人の合計12人が報告されました。少なくとも1人の患者が報告された地域は、ギニア3地域とシエラレオネ2地域の合計5地域でした。前週は6地域ありました。ギニア西部のフォレカリア県からはどの地域よりも多い患者が報告され、地図上の広い地域(4つの県下の地域)に及ぶ複数の感染の連鎖と、未だに捉えきれていない感染源から続く患者の発生から、引き続き対策への最も大きな課題があることが示されています。
  • ギニアからの患者は、西部のDubreka(ドゥブレカ)県(3人)とフォレカリア県(5人)から報告され、ギニアビサウとの国境近くに位置する北西部のBoke(ボケ)県からも患者1人が報告されました。前週からの関連で、ボケとドゥブレカの患者は、それぞれ県下のKamsar(カムサ)とTanene(タエーヌ)に集中していました。フォレカリアの5人は、県下の4つの異なる地域から報告されました。4月19日にはフォレカリアで4日間の患者捜索と関心向上のためのキャンペーンが完了しました。このキャンペーン活動の間に、患者発見と地域活動のためにいくつもの訓練を受けたチームが、8,023世帯の38,557人を訪問しました。
  • ギニアからの患者9人のうち、7人は以前に接触した患者をたどることがでいました。フォレカリアからの1人は感染源がわからず、もう1人は以前の患者からの登録がされていなかった患者でした。しかし、さらなる調査でフォレカリアの患者も地理的には既に確認された感染連鎖の中にあることが分かりました。5月24日の週には、13件の安全性を欠いた埋葬が報告されました。これは4月19日末の週には埋葬が報告された375件のうち163件であったことと比べると著しい減少です。
  • ギニアのボケ県での最近の集団感染はギニアビサウに近いため、ギニアビサウから対策チームが入国地点での体制を評価するために国境方面に派遣されました。また、ボケの患者の埋葬に参加した接触者への追跡が続けられています。彼らは、ギニアビサウの漁村地区に戻って行った模様です。
  • シエラレオネでは、首都フリータウン(2人)、ポート・ロコ(1人)から確定患者3人が報告されました。フリータウンでは、北部と東部にあるKroo townとward 350 という2つの人口密集地域から報告されました。いずれの患者も以前の患者との接触が確認されており、Moa Wharfを感染連鎖の起源としていました。1人の患者は症状が現れたときには自分で隔離の対処を行い、近くのエボラ治療センターに搬送されました。もう1人の患者は、以前にMoa Wharfで発生した患者との濃厚接触がありました。この患者は、追跡調査で見失われた後、ward 350にある地域医療センターに移動していて、5月19日にマラリアとして治療を受けていました。この患者と接触のあった者全員を同定することに対策が集中的に行われています。現在、多くの濃厚接触者が自主的な隔離下にあります。ポート・ロコの患者1人はKaffu BullomのChief(首長)支配地域から報告され、ガンビアの北部地域からの感染連鎖に関係すると考えられています。ここは数週間前には感染の中心となっていましたが、5月24日まで10日連続して確定患者が報告されていません。
  • ギニアでは4月6日に、シエラレオネでは5月14日に最後の医療従事者の感染が報告されました。流行の発生以来、ギニア、リベリア、シエラレオネから869名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、507名が亡くなっています。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計27,013人、死亡者は11,134人となりました(この患者数は確定患者、可能性の高い患者および疑い患者から報告されたものです。この他にもたくさんの確認のとれない患者の結果があります)。5月24日までの7日間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで9人、シエラレオネで3人でした。リベリアでは5月9日に流行の終息が宣言されました。
  • 確定患者と可能性の高い患者の数はおよそ男女同数となっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人では約3倍から4倍感染しやすく、45歳以上の成人では子どもよりも4倍から5倍感染しやすいようです。
  • ギニア、リベリア、シエラレオネから869名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、507名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**5月9日までのデータです。リベリアでの流行は、5月9日に最後の確定患者が埋葬されてから42日が経ったことから、終息が宣言されました。現在、この国は3か月間の(感染輸入への)厳重な警戒体制に入っています。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年5月24日の週)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の境界設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 27 May 2015.
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/172637/1/roadmapsitrep_27May15_eng.pdf?ua=1&ua=1[PDF形式:2.0MB]