2015年05月29日更新 米国におけるラッサ熱

 ラッサ熱は、アレナウイルス科のラッサウイルスにより起こる急性ウイルス性出血熱疾患です。ラッサ熱の大部分は、農村地域の家屋周辺に生息するネズミの尿や糞から皮膚の傷や粘膜面を介して、または、ほこりに混じったウイルスを吸入して人に感染します。体液を介して人から人へ感染することもあります。また、ヒト-ヒト感染や実験室感染が、特に適切な感染制御策がとられていない病院環境で起こることもあります。西アフリカの一部のげっ歯類集団で流行しています。突然の発熱・頭痛・咽頭痛が主な症状です。重症化すると、吐血や下血などの出血症状が出現し、高率で死亡します。予防するためのワクチンはありません。

 5月28日付けでWHOから公表された情報によりますと、5月25日に米国疾病管理予防センター(CDC)とニュージャージー州保健部はPAHO/WHOにラッサ熱の死亡例を報告しました。リベリアから米国に帰国した患者が、5月25日に診断されました

症例の詳細情報

 患者は、5月17日にリベリアからモロッコ経由でジョン・F・ケネディ国際空港に帰国しました。患者は、リベリアの出発時には発熱しておらず、飛行中も下痢、嘔吐、出血等の症状はなく、米国到着時にも発熱はありませんでした。5月18日、患者は、咽頭痛、発熱、倦怠感の症状を訴え、ニュージャージーの病院を受診しました。病院の話によれば、患者は最近の旅行歴について質問されましたが、西アフリカへの旅行のことを話しませんでした。同日、患者は帰宅しました。5月21日に、患者は症状が悪化したため、再度、病院を受診しました。その後、ウイルス性出血熱のため専門治療センターに転院しました。5月24日に検体がCDCに提出され、5月25日にラッサ熱の検査で陽性の結果がでました。エボラ出血熱やその他のウイルス性出血熱は陰性でした。患者は5月25日に死亡しました。

この地域へ行かれる方は十分注意してください

旅行者がラッサ熱に感染するリスクは非常に低いですが、げっ歯類との接触が頻繁にみられる可能性がある人、田舎で余暇を過ごす人、職業的な活動をする人などは注意が必要です。
げっ歯類は尿や便中にウイルスを排泄しますので、地域感染症としてラッサ熱のある国への旅行者は、げっ歯類に触ったり、近づいたりしないようにしましょう。

 また、現地を訪れた方で、発熱や頭痛・咽頭痛などの症状がみられる場合には、速やかに現地の医療機関を受診してください。

 滞在後およそ3週間程度までに同様の症状がある場合には、最寄りの検疫所(健康相談室)にご相談下さい。

FORTH 感染症情報:ラッサ熱

出典

WHO. Global Alert Response. 28 May 2015.
Lassa Fever - United States of America
http://www.who.int/csr/don/28-may-2015-lassa-fever-usa/en/

参考

FORTH最新ニュース
ラッサ熱について (ファクトシート)(2015年3月17日)
http://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2015/03171304.html