2015年06月05日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況 (更新29)

 2015年6月4日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、韓国の国立国際保健規約(IHR)担当者は6月1日から3日にかけて死亡者1人を含む中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染者15人をWHOに報告しました

症例の詳細情報
1.  40歳男性。5月20日に発症しました。彼は、5月15日から17日にかけて、最初の患者と同じ病院に入院していました。彼は、5月25日から27日にかけて別の病院に入院しました。5月28日から30日には、第3の病院にも入院しました。彼は、5月30日に症状が悪化したため治療のために隔離設備の整った国立医療センターに搬送されました。5月31日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。

2. 45歳男性。5月22日に発症し、同日入院しました。彼は、5月15日から16日にかけて、最初の患者と同じ病棟に入院していた父親の見舞いに訪れていました。5月31日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。現在、彼は安定した状態です。

3. 77歳女性。5月20日に発症しました。彼女は、5月4日から16日にかけて、最初の患者と同じ病棟に入院していました。彼女は5月30日に病院を受診し、31日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。現在、彼女は安定した状態です。

4. 60歳男性。5月28日に発症しました。彼は、5月16日から17日にかけて、最初の患者と同じ病院に入院した家族の世話をしていました。31日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。現在、彼は安定した状態です。

5. 40歳男性。5月23日に発症しました。彼は、5月15日から17日にかけて、最初の患者と同じ病棟に入院していました。彼は、隔離設備の整った国立医療センターに搬送され、5月31日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。現在、彼は安定した状態です。

6. 59歳女性。5月23日に発症し、5月29日に症状が消失しました。しかし、症状が再び現れたため、彼女は隔離設備の整った国立医療センターに入院しました。31日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。彼女は、5月15日から17日にかけて、最初の患者と同じ病棟に入院した夫の世話をしていました。現在、彼女は安定した状態です。

7. 39歳女性。5月27日に発症しました。彼女は、5月15日から17日にかけて、最初の患者と同じ病棟に入院した息子の世話をしていました。その後、彼女は隔離設備の整った国立医療センターに入院しました。31日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。現在、彼女は安定した状態です。

8. 73歳男性。5月31日に発症しました。彼は、別の疾患のために5月27日から病院に入院していました。彼には基礎疾患があり、5月28日から30日にかけてMERS-CoV感染者と確定診断された上記No.1の患者と同室でした。6月1日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明し、直ちに隔離設備の整った国立医療センターへ転院となりました。

9. 78歳男性。5月31日に発症しました。彼は、別の疾患のため病院に入院していました。彼には基礎疾患があり、5月28日から30日にかけてMERS-CoV感染者と確定診断された上記No.1の患者と同室でした。6月1日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。現在、彼は安定した状態です。

10. 57歳女性。彼女は、5月15日から17日にかけて、最初の患者と同じ病棟に入院していました。彼女には基礎疾患があり、ICUに入院しましたが、6月1日に死亡しました。

11. 43歳男性。5月21日に発症し、28日に入院しました。彼は、5月13日から18日にかけて、最初の患者と同じ病棟に入院した息子を見舞っていました。6月2日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。現在、彼は安定した状態です。

12. 55歳男性。6月1日に発症しました。彼には、基礎疾患があり、5月4日から28日にかけて、最初の患者と同じ病棟に入院していました。6月2日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。現在、彼は安定した状態です。

13. 58歳男性。5月29日に発症しました。彼は、5月15日から17日にかけて、最初の患者と同じ部屋に入院していた妻を見舞っていました。彼には基礎疾患があり、6月2日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。現在、彼は安定した状態です。

14. 77歳女性。彼女は、6月2日にMERS-CoVの検査で陽性と判明しました。彼女は4月25日から別の疾患のために入院していました。5月15日から17日にかけて、最初の患者と同じ病棟にいました。

15. 60歳男性。5月30日に発症しました。彼は、5月22日から別の疾患のために入院していました。5月28日から30日にかけてMERS-CoV感染者と確定診断された上記No.1の患者と同室でした。6月2日にMERS-CoVの検査で陽性と判明しました。

 これらの患者に対して、家族と医療機関の接触者追跡が行われています。

 韓国の国立国際保健規約(IHR)担当者は以前に報告されたMERS-CoV患者1人の死亡をWHOに報告しました。5月30日に報告された6番目の患者です。

 これまでに、死亡者2人を含む合計30人のMERS-CoV患者が韓国の国立国際保健規約(IHR)担当者から報告されました。30人の中の1人は中国でも確認され、中国の国立国際保健規約(IHR)担当者からも報告された患者です。

 世界的には、WHOは、1,179人の検査確定したMERS-CoV感染の患者報告と、少なくとも442人の関連する死亡報告を受けています。

WHOからのアドバイス
 WHOは、現状および利用可能な情報に基づいて、加盟国すべてに対して、急性呼吸器感染症に関するサーベイランスを継続し、また、あらゆる異常を示す症例についても注意深く調査することを勧めています。

 医療施設でMERS-CoVが拡がる可能性を下げるには、感染予防および管理方法が重要です。他の呼吸器感染症と同様に、MERS-CoVの初期症状は非特異的なため、通常、早い時期に患者をMERS-CoVと診断できるものではありません。したがって、医療従事者は、診断にかかわらず、すべての患者に対して常に一貫した標準感染予防対策を適用する必要があります。急性呼吸器感染症の兆候を呈している患者の治療にあたる場合には、標準感染予防対策に加えて、飛沫予防対策を行うべきです。また、MERS-CoV感染の可能性がある症例、あるいは確定診断された症例の治療にあたる場合には、接触予防対策および眼の防護策を追加すべきです。さらに、エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気感染の予防対策を行う必要があります。

 今後、MERS-CoVに関して解明が進むまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫不全のある人は、MERS‐CoV感染で重篤化するリスクが高いと考える必要があります。したがって、これらの人は、ウイルスの存在する可能性がある農場、市場あるいは家畜小屋のある地域を訪れる場合、動物に近づくこと、特にラクダと濃厚接触することを避けなければなりません。動物に触れた後には必ず手洗いを行い、病気の動物との接触を避けるという一般的な衛生習慣をしっかりと守るべきです。

 食品に対する衛生習慣は守るべきものです。ラクダの生乳あるいは尿を飲むこと、また、調理不十分の肉を食べることは避けるべきです。

 WHOは、この事象に関連して入国時に特別な検査を行うことを勧めてはいません。また、現在、旅行あるいは貿易を規制することも推奨していません。

出典

WHO. Global Alert and Response (GAR).
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)- Republic of Korea. 4 June 2015.
http://www.who.int/csr/don/04-june-2015-mers-korea/en/