2015年06月10日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況 (更新33)

 2015年6月9日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、韓国の国立国際保健規約(IHR)担当者は6月7日に死亡者1人を含む新たな中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染者14人をWHOに報告しました。

症例の詳細情報
1. 72歳女性。6月2 日に発症しました。彼女は、5月12日から別の疾患のために入院していました。彼女は、最初の患者と同じ病棟にいました。6月5日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。さらなる調査が続けられています。

2. 54歳女性。彼女は、5月23日から28日にかけて別の疾患で入院していました。彼女は、後に、MERS-CoV感染と確定診断された患者と同じ病棟にいました。5月31日、彼女は自宅で隔離下にありましたが、症状が現れたため別の病院の救急室を受診しました。6月6日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。

3. 51歳男性。彼は、5月26日から28日にかけて入院していました。彼は、後に、MERS-CoV感染と確定診断された患者と同じ病棟にいました。彼は5月28日に退院し、29日に発症しました。6月6日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。

4. 63歳女性。自宅で隔離下にいる間の6月3日に発症しました。彼女は5月28日にMERS-CoV感染と確定診断された患者と同室にいた患者の介助をしていました。6月4日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明し、6月5日に設備の整った国立の施設に搬送されました。

5. 36歳男性。5月30日に発症しました。5月27日に、彼は父親の見舞いに訪れました。そこは、6月4日にMERS-CoV感染が確定診断された患者(No.1)がいた同じ区域でした。6月1日から3日にかけて、彼は別の病院に入院し、6月6日に検査結果が陽性と判明しました。

6. 45歳男性。6月2日に発症しました。彼は5月26日から6月1日にかけて、後に、MERS-CoV感染と確定診断された別の患者と同じ病棟に入院していました。6月3日に、彼は治療のために別の診療所を受診しました。6月4日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。

7. 57歳男性。5月27日に別の疾患での治療のために病院を受診しました。このとき、彼は6月4日にMERS-CoV感染が確定診断された患者(No.1)と同じ区域にいました。6月3日に、彼は症状を発症し、翌日退院しました。彼は、6月5日に隔離され、6月6日にMERS-CoVの検査結果で陽性と判明しました。

8. 55歳男性。6月2日に発症しました。5月27日に、彼は入院した母親を見舞っていました。そこは何人かのMERS-CoV確定患者が報告された病院でした。彼は、6月5日に隔離され、同日MERS-CoVの検査結果で陽性と判明しました。

9. 44歳男性。6月5日に発症しました。5月27日に、彼は別の疾患のために病院を受診していました。このとき、彼はMERS-CoV感染が確定診断された患者と同じ区域にいました。6月6日にMERS-CoVの検査結果で陽性と判明しました。さらなる調査が行われています。

10. 37歳女性医療従事者。彼女は6月1日に発症しました。彼女は、5月27日に、何人かのMERS-CoV確定患者が報告された病院の救急室で仕事をしていました。6月4日に、彼女は隔離され、6月6日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。

11. 55歳男性。彼は6月2日に発症しました。彼は5月27日から28日にかけて、同じく5月27日から28日にかけてMERS-CoV感染と確定診断された患者が入院していた同じ病院の区域内に入院していました。6月5日に、彼は隔離下に置かれ、6月6日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。

12. 32歳男性医療従事者。5月30日に発症しました。彼は、5月28日から29日にかけて何人もがMERS-CoV感染と確定診断された救急室を受診していました。6月6日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。さらなる調査が行われています。

13. 58歳女性。6月3日に発症しました。彼女は5月27日から5月28日にかけて何人かがMERS-CoV感染と確定診断された救急室を受診していました。彼女は5月31日に自主的に自宅での隔離を始めました。6月6日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明しました。

14. 75歳男性。6月4日に発症しました。彼は5月27日から5月28日にかけて何人もがMERS-CoV感染と確定診断された救急室を受診していました。このとき、彼はMERS-CoV感染が確定診断された患者がいた同じ区域にいました。6月5日に、彼は死亡しました。6月5日にMERS-CoVの検査結果で陽性であることが判明しました。

 これらの患者に対して、家族と医療機関の接触者追跡が行われています。

 これまでに、死亡者5人を含む合計64人のMERS-CoV患者が韓国の国立国際保健規約(IHR)担当者から報告されました。64人の中の1人は中国でも確認され、中国の国立国際保健規約(IHR)担当者からも報告された患者です。

 2012年9月以降、WHOには、世界で1,218人の検査確定したMERS-CoV感染の患者報告と、少なくとも449人の関連する死亡報告を受けています。

WHOからのアドバイス
 WHOは、現状および利用可能な情報に基づいて、加盟国すべてに対して、急性呼吸器感染症に関するサーベイランスを継続し、また、あらゆる異常を示す症例についても注意深く調査することを勧めています。

 医療施設でMERS-CoVが拡がる可能性を下げるには、感染予防および管理方法が重要です。他の呼吸器感染症と同様に、MERS-CoVの初期症状は非特異的なため、通常、早い時期に患者をMERS-CoVと診断できるものではありません。したがって、医療従事者は、診断にかかわらず、すべての患者に対して常に一貫した標準感染予防対策を適用する必要があります。急性呼吸器感染症の兆候を呈している患者の治療にあたる場合には、標準感染予防対策に加えて、飛沫予防対策を行うべきです。また、MERS-CoV感染の可能性がある症例、あるいは確定診断された症例の治療にあたる場合には、接触予防対策および眼の防護策を追加すべきです。さらに、エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気感染の予防対策を行う必要があります。

 今後、MERS-CoVに関して解明が進むまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫不全のある人は、MERS‐CoV感染で重篤化するリスクが高いと考える必要があります。したがって、これらの人は、ウイルスの存在する可能性がある農場、市場あるいは家畜小屋のある地域を訪れる場合、動物に近づくこと、特にラクダと濃厚接触することを避けなければなりません。動物に触れた後には必ず手洗いを行い、病気の動物との接触を避けるという一般的な衛生習慣をしっかりと守るべきです。

 食品に対する衛生習慣は守るべきものです。ラクダの生乳あるいは尿を飲むこと、また、調理不十分の肉を食べることは避けるべきです。

 WHOは、この事象に関連して入国時に特別な検査を行うことを勧めてはいません。また、現在、旅行あるいは貿易を規制することも推奨していません。

出典

WHO. Global Alert and Response (GAR).
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)- Republic of Korea. 9 June 2015.
http://www.who.int/csr/don/09-june-2015-mers-korea/en/