2015年06月15日更新 アメリカ大陸での狂犬病への注意喚起

 2015年6月12日付で汎米保健機関(PAHO)より狂犬病に対する注意喚起情報が発表されました。

 狂犬病は、家畜にも野生動物にも感染する狂犬病ウイルスが原因で、動物の唾液が咬傷や掻傷から侵入することによって起きる感染症です。潜伏期間は2週間から8週間程度で、稀に短いと10日ほど、長ければ数年を経て発症します。最初の症状は不安、頭痛、微熱、倦怠感や咬傷部の感覚の変化(知覚障害)などですが、症状が現れたときにはほぼ確実に死に至ります。そのため、咬まれた後は、その状況の深刻度に応じてワクチンと免疫グロブリンの両方が投与されます。発症を予防する最善の方法は、特にイヌを含むペットにはワクチンを接種することと、狂犬病への感染のリスクのある個人には発症前に予防投与を適時、適切に行うことです。

 本記事では、その情報より旅行者に関係する情報を抜粋して掲載いたします。さらに詳しい情報については原文をご参照ください。

発生状況
 アメリカ大陸ではイヌから感染する狂犬病患者がいなくなりつつありますが、いくつかの国の地域ではイヌから感染する狂犬病患者の報告が続いています。2014年初めからこれまでに、ボリビア6人、ハイチ3人、グアテマラ2人、ブラジルおよびドミニカ共和国でも各1人の患者が報告されました。

 また、イヌにおける狂犬病への感染は、これまでに報告されたことがなかったアルゼンチン北部(フフイとサルタ)、ブラジル(マットグロッソ・ド・スル)、パラグアイ(サン・ロレンツォ)や、ペルーのアレキパのように10年以上も前にイヌの狂犬病からの解放が宣言された地域からも報告されています。これは、狂犬病からの解放が宣言された地域で狂犬病ウイルスがイヌにおいて再侵入した初の事例です。

 それでも、狂犬病は完全に予防できる病気です。狂犬病患者の発生は、イヌへの狂犬病ワクチン接種活動、医療体制の一環としての健康と調査と感染制御の推進事業の失敗、そして医療を受けられる環境の欠如に関係しています。この注意喚起で述べられる患者は、都市部および国境地域に集中している、貧困や、好ましくない環境に関係しています。もし、これが医療をいつでも受けられる環境からの制限を反映しているとすれば、これに対して保健当局は迅速に対応する必要があります。

狂犬病ウイルスに暴露されたならば誰もが暴露後予防投与を受けるべきものです。
 狂犬病患者の予防は獣医学と公衆衛生サービスが共同で関わることに努めなければなりません。人には、暴露前と暴露が疑われた後に投与するワクチンがあります。動物にも狂犬病を予防する安全かつ有効なワクチンがあります。

出典

WHO/PAHO Epidemiological Alert. Rabies. 12 June 2015.
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=30659&lang=en