2015年06月17日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況 (更新38)

 2015年6月16日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、韓国の国立国際保健規約(IHR)担当者は、6月13日から16日の間に、新たに中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)患者28人と死亡者8人が発生したことを報告しました。

韓国の流行発生についての追加情報
 これまでに、死亡者19人を含む154人のMERS-CoV患者が報告されました。154人のうちの1人は中国で確認され、中国の国立国際保健規約(IHR)担当者からも報告された患者です。

 患者の中央値は56歳(16歳から87歳まで)で、過半数の患者(60%)は男性でした。患者14人(9.3%)は医療専門職でした。

 韓国とWHOとのMERS-CoV専門家合同会議は、現在はウイルスが医療施設周辺に密集しており、住民社会の中で流行している証拠はないことを確認しました。

公衆衛生上の取り組み
 韓国政府は、患者と接触者の管理活動を強化しています。6月16日までに、5,586人の接触者(このうち5,238人が自宅での隔離、348人が施設での隔離)が同定されました。今後数週間のうちに新たな患者の発生を減らそうとする、これらの取り組みは、患者が発生しなくなるまで続けられる必要があります。

 韓国政府は、国内の韓国人および韓国語を母国語としない住民のために公式の情報を提供しています。情報は、教育活動、ホットライン電話番号、政府ウェブサイトを含む、あらゆる通信手段で提供されています。

世界での発生状況
 WHOは、世界で2012年9月以降に1,321人の検査で確定したMERS-CoV感染患者の報告と、少なくとも466人の関連する死亡者の報告を受けています。

WHOからのアドバイス
 WHOは、現状および利用可能な情報に基づいて、加盟国すべてに対して、急性呼吸器感染症に関するサーベイランスを継続し、また、いかなる異常な症状を示す患者についても注意深く調査することを勧めています。

 感染の予防と制御の対策には、診療施設においてMERS-CoVが拡がる可能性を防ぐことが重要です。他の呼吸器感染症と同様に、MERS-CoVの初期症状は非特異的なため、通常、早い時期に患者をMERS-CoVと診断できるものではありません。したがって、医療従事者は、診断にかかわらず、すべての患者に対して常に一貫した標準感染予防対策を当てはめる必要があります。急性呼吸器感染症の兆候を呈している患者の治療にあたる場合には、標準感染予防対策に加えて、飛沫予防対策を行うことも必要です。また、MERS-CoV感染の可能性がある患者、あるいは確定診断された患者の治療にあたる場合には、接触予防対策および眼の防護策を追加すべきです。さらに、エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気感染の予防対策を行う必要があります。

 今後、MERS-CoVに関して解明が進むまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫不全のある人は、MERS‐CoV感染で重篤化するリスクが高いと考える必要があります。手を洗う習慣のように、一般的な衛生習慣には注意を払うべきです。

 WHOは、警戒体制をとりながら、発生状況を監視しています。住民社会で人から人へ持続的に感染が伝播していることの証拠は得られておらず、WHOは、この事象に関連して渡航や貿易を制限することを勧めてはいません。感染の影響を受けた国からの、また、影響を受けた国へ行く、渡航者において、MERS-CoVに対する注意を向上させることは、公衆衛生におけるよい実践となります。

 韓国でのMERS-CoVに関する緊急流行発生ニュース(Disease Outbreak News:DONs)を週2回(基本は火曜日と金曜日)に発信することにしています。このニュースでは、個々の患者の詳細に焦点を当てるのではなく、流行の発生状況の展開と疫学的な傾向に焦点を当てていきます。

出典

WHO. Global Alert and Response (GAR).
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)- Republic of Korea. 16 June 2015.
http://www.who.int/csr/don/16-june-2015-mers-korea/en/

参考

WHO. Outbreaks and emergencies.
Middle East respiratory syndrome coronavirus(MERS-CoV).
http://www.wpro.who.int/outbreaks_emergencies/wpro_coronavirus/en/