2015年06月25日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第25週)

2015年6月24日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は27,479人、死亡者数は11,222になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 6月21日までの1週間に、前週の24人に対して、20人のエボラ出血熱確定患者が報告されました。5月末以降、週毎の患者発生数は20人から27人の間を推移しています。一方、感染源の分からない患者の発生、地域社会の中で死亡した人への死後検査で初めて発見される患者の発見は続いています。ギニアでは、前週に報告された同じ4県(ボケ、コナクリ、ドゥブレカ、フォレカリア)から12人が報告されました。シエラレオネでは3地区(カンビア、ポート・ロコ、首都フリータウンを含む1地区)から8人が報告されました。フリータウンでは、2週間以上の空白の後で初めて確定患者が報告されました。
  • ギニアでは、過去3週間、患者は同じ4県から報告されているものの、これらの県の中で伝播を続ける感染経路の場所は変化しており、いくつかの事例では拡大しています。
  • ギニアビサウとの国境に近い北部のボケ県では、主な感染源が県下の海岸沿いのKamsar(カミサール)から県下の中心街に近いボケ中心部へと移りました。特に懸念されることは、6月21日の週にボケから報告された2人の患者が医療従事者であったことでした。
  • 今週、コナクリから報告された単発の患者は、市内のMatam(マタム)で発生し、感染源は不明でした。2週間以上前にコナクリから報告された3人の患者が、たくさんのハイリスクかつ未追跡の接触者を生み出したと見込まれています。
  • 数か月にわたって患者が発生しているフォレカリア県では、県下3地域にわたって伝播を続ける複数の感染経路が極めて複雑な状態を作り上げています。6月21日までの1週間にフォレカリアから報告された患者5人のうち3人は、感染源が不明または特定できない感染源からの発生でした。これらの患者3人のうち2人が発生した県下のBenty(ベンティ)では、3月中旬以降は確定患者が報告されていませんでした。これら2人の患者と恐らくは県下の隣接地域の患者と関係するもう1人の患者は、地域社会の中で死亡した人の死後検査で発見されています。
  • ギニアと比べて、シエラレオネの患者はカンビアとポート・ロコ地区のいくつかのChief(首長)支配地域での集団発生で、感染経路が過去3週にわたり地理的に絞られてきています。しかし、6月21日の週には、患者2人がポート・ロコのMarampa(マランパ) Chief(首長)支配地域から3月以降で初めて報告がありました。2人の患者は出産時に死亡した母親とその生まれた子で、たくさんのハイリスク接触者を生み出しています。首都フリータウンを含む1地区で発生した患者2人も、2週間以上の空白の後での初めての報告でした。この2人の患者は市街の人口が密集したMagazine Wharf(マガジン・ワーフ)で発生しました。1人の患者は以前の患者との疫学的な繋がりがあるものの、2人ともたくさんのハイリスクの接触者と関わっています。
  • 6月21日の週には、以前の患者との接触の登録があったのは、ギニアから報告された患者12人のうち6人、シエラレオネから報告された8人のうち4人だけでした。患者20人のうち4人は地域社会の中で死亡した人の死後検査で発見されています。6月21日において、ギニア4県では2,003人の接触者の監視が行われ、シエラレオネでは3地区で1,023人の接触者が監視下に置かれています。
  • ギニアでは、2か月以上にわたり医療従事者の感染がありませんでしたが、ボケから医療従事者2名の新たな感染が報告されました。シエラレオネでは5月14日以降で初めて新たな医療従事者1名の感染が報告されました。流行の発生以来、ギニア、リベリア、シエラレオネから872名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、507名が亡くなっています。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計27,443人、死亡者は11,207人となりました(その多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)。6月21日までの7日間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで12人、シエラレオネで8人でした。リベリアでは5月9日に流行の終息が宣言されました。
  • 確定患者と可能性の高い患者の数はおよそ男女同数となっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人ではギニアとリベリアで約4倍、シエラレオネでは約3倍感染しやすい傾向があります。
  • ギニア、リベリア、シエラレオネから872名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、507名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**5月9日までのデータです。リベリアでの流行は、5月9日に最後の確定患者が埋葬されてから42日が経ったことから、終息が宣言されました。現在、この国は3か月間の(感染輸入への)厳重な警戒体制に入っています。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年6月21日の週)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 24 June 2015.
http://apps.who.int/ebola/sites/default/files/atoms/files//who_ebola_situation_report_24-06-2015.pdf?ua=1[PDF形式:2.1MB]