2015年07月01日更新 太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告 (更新5)

2015年の第21週から第25週に報告されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報をまとめて掲載いたします。

註1:発生時期に時間差がありますので、詳細は原文でお確かめください。
註2:[ ]の数字は報告週です。

太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告システム(PSSS)では、伝染性感染症の発生を示唆する情報の報告をしています。データは、急性発熱と発疹、下痢、インフルエンザ様疾患、遷延性の発熱の4つの症状群について、太平洋地域の23か国200以上の医療施設から収集されています。PSSSは、伝染性感染症に対する極めて貴重な早期警報ツールとしての、また、太平洋諸島の地域と国々、WHO、太平洋共同体のようなその他の国際機関との間で定期的に連絡をとる機構制度としての役目を果たしています。

  • 急性発熱と発疹:[21,25]フランス領ポリネシア、[21,24]パラオ
  • 下痢:[21]ニウエ、[21-24]トンガ、[23,25]ミクロネシア連邦、[23]ピトケアン諸島、[24]トケラウ
  • インフルエンザ様疾患:[22]ニウエ、[22,23]アメリカ領サモア、[22-25]トンガ、[23]バヌアツ、[23]ピトケアン諸島、[25]キリバス
  • 遷延性発熱:[22-25]トンガ、[23]ピトケアン諸島、[24,25]キリバス

疾患別の発生状況

チクングニア熱

  • [25]チクングニア熱の流行が、クック諸島、マーシャル諸島で続いています。[24]ナウルでも続いていました。[23]キリバスでは、毎週の患者数がかなり減ってきました。
  • [クック諸島]:[25] 2014年10月から合計726人の患者が報告されています。[25] 2015年6月21日の週に患者29人、[24] 6月14日の週に31人、[22]5月31日の週に44人、[21]5月24日の週には33人が、報告されました。
  • [マーシャル諸島]:[25]検査によって38人の感染が確認され、2015年4月初めから6月21日までに合計981人が報告されました。[22]2015年2月以降、6月4日までに患者629人が報告されています。
  • [ナウル]:[23]フランス領ポリネシアにあるLouis Malarde研究所(ILM)によりRT-PCR法によって53人のデング様疾患のうち21人がチクングニア熱と確認されました。

デング熱

  • [24] アメリカ領サモアで流行が発生しています。トンガ(デング熱3型)とフィジー北部(デング熱2型)の患者数は減ってきました。
  • [フィジー]:[22]北部衛生区域Macuata地方で発生していた集団感染は報告数が減少してきています。フランス領ポリネシアのILMによってデング熱2型が同定されました。
  • [トンガ]:[23]Labplus(Auckland,NZ)によりデング熱3型が確認されました。毎週の患者数は減少してきています。
  • [フランス領ポリネシア]:[25]第25週の報告では、2015年6月14日の週に、新たに患者27人が確認されました。[24]第24週の報告では新たに患者21人が確認され、過去3週間にわたり増加しています。デング熱1型が検出されました。タヒチ住民(80%)と報告された全患者(70%)の大半が15歳以下の患者でした。[22] 5月24日の週に患者28人が、[21] 5月17日の週に20人が、報告されました。5月には患者4人が入院しました。
  • [アメリカ領サモア]:[25]デング熱3型が13人確認されました。[22]調査の中で、デング熱に関連する死亡が報告されました。

ジカウイルス症

[ソロモン諸島]:[22]流行が続いています。2015年2月から5月24日の週までに患者が310人になりました。週毎の患者数は減ってきています。

レストスピラ症

[フランス領ポリネシア]:[24] 2015年6月7日現在、過去4週間に患者19人が報告され、増加が続いています。

麻しん

[バヌアツ]:[21] 9人の麻疹疑いの患者が発生しています。疑似患者5人はErakor(エラコア島)、3人はEratap(エラタップ)、もう1人はRentabau地域からです。これらの地域では繰り返し調査が行われていますが、新たな患者は発生していません。ほとんどの患者が災害対策期間中にワクチンを接種された6か月から59か月よりも高い年齢でした。全年齢層での免疫力の隙間を埋めるために、今後数か月にわたり全国キャンペーンが行われます。

心配な場合には早めの受診を

  • 海外で発熱などの症状が出たら、早目に医療機関を受診してください。
  • また、帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が良くならない場合は、お近くの医療機関を受診してください。受診方法については検疫所や保健所でも相談することができます。
  • 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

出典