2015年07月02日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第26週)

2015年7月1日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は27,550人、死亡者数は11,235になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 6月28日までの1週間に、前週と同じ20人のエボラ出血熱確定患者が報告されました。この5週間、週毎の患者発生数は20人から27人の間にあります。ギニアでは、3県(ボケ、コナクリ、フォレカリア)から12人が報告されました。3県では全て前週にも報告がありました。シエラレオネでは、前週と同じ3地区(カンビア、ポート・ロコ、首都フリータウンを含む1地区)から8人が報告されました。感染リスクをさらに高める原因となる死亡後まで発見されなかった患者の割合が足かせとなり、接触者の追跡と監視における課題は感染連鎖を終わらせることへの努力を妨げています。
  • 6月29日に、リベリアのMargibi(マージビ)郡で、通常のサーベイランスの中でエボラ出血熱の確定患者が発見されました。3月20日以降では、初めての患者です。患者は17歳男性で、6月21日に発症しました。患者は、地域の医療施設を受診した後、マラリアの治療を受けて退院しました。しかし、彼は6月28日に死亡し、同日、安全に埋葬されました。埋葬前に採取された口腔内スワブ検体から2回連続してエボラ検査が陽性でした。人数は調査の継続により増えることが予想されますが、102人の接触者が同定されています。現段階で、感染源は判っていません。報告によれば、患者は旅行をしておらず、感染地域からの訪問者との接触もなく、葬儀への参加もありませんでした。
  • ギニアでは、6月28日の週に報告された3県全県で、感染伝播の発生地域や特徴には変化が続いているものの、過去4週間もしくはそれ以上にわたって患者の報告があります。ギニアビサウとの国境に近い北部のボケ県では、10人のうち9人が登録された接触者でした。そのうちの1人は、医療従事者です。ボケにおける残る患者は県下の海岸にあるKamsar(カミサール)からでした。この患者も医療従事者で、実質的にはハイリスク接触者の中からの発生でした。コナクリから今週報告された患者は、Dixinn自治区(地方自治区域)からで、感染源は判りませんでした。Dixinn自治区は、Matam、Matotoに続いて、この4週間に患者が報告された第3の地区になります。残る患者はフォレカリア県からの報告で、以前の患者からの接触登録者でした。
  • シエラレオネでは、カンビアとポート・ロコ地区のいくつかのChief(首長)支配地域および首都フリータウンの単一周辺地域に集中する状態が続いています。シエラレオネで発生した8人のうち、半分の4人はフリータウンの人口が密集したMagazine Wharf(マガジン・ワーフ)で発生しました。彼らは全員、前週にこの地域から報告された患者と関連していました。但し、前週の患者の感染源は判っていません。カンビアの地域から報告された患者2人はTonko LimbaのChief(首長)支配地域で自宅に隔離されていた中で発生しました。残る2人はポート・ロコの地域のChief(首長)支配地域から報告されました。このうちの1人は、MasimeraのChief(首長)支配地域から報告されており、感染源はMagazine WharfのChief(首長)支配地域と関連していました。
  • 6月28日の週にギニアから報告された12人のうち10人、シエラレオネからの8人のうち4人は、以前の患者からの接触登録者でした。患者20人のうち5人は地域社会の中で死亡した人の死後検査で発見されています。
  • ギニアのボケから2週続けて医療従事者2名の新たな感染が報告されました。シエラレオネからの新たな医療従事者の感染報告はありませんでした。流行の発生以来、ギニア、リベリア、シエラレオネから874名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、509名が亡くなっています。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計27,514人、死亡者は11,220人となりました(その多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者を含みます)。6月28日までの7日間に報告された新たな確定患者数は、ギニアで12人、シエラレオネで8人でした。
  • 確定患者と可能性の高い患者の数はおよそ男女同数となっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人ではギニアとリベリアで約4倍、シエラレオネでは約3倍感染しやすい傾向があります。
  • ギニア、リベリア、シエラレオネから874名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、509名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**5月9日までのデータです。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年6月28日の週)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 1 July 2015.
http://apps.who.int/ebola/sites/default/files/atoms/files//who_ebola_situation_report_01-07-2015.pdf?ua=1[PDF形式:1.9MB]