2015年07月06日更新 中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況 (更新46)

 2015年7月3日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、サウジアラビアの国立国際保健規約(IHR)担当者は6月19日から30日の間に、新たな中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染者6人を確認したことをWHOに報告しました。

症例の詳細情報
1. 65歳女性。リヤド市の住民で、6月15日に発症し、6月25日に入院しました。患者には基礎疾患がありました。6月27日にMERS-CoVの検査結果で陽性と判明しました。現在、患者はICUに収容され、重篤な容態です。発症までの14日間における既知のリスクファクターとの接触についての調査が進められています。

2. 40歳男性。リヤド市の住民で、6月24日に発症し、6月26日に入院しました。患者には基礎疾患がありました。6月27日にMERS-CoVの検査結果で陽性と判明しました。現在、患者はICUに収容され、重篤な容態です。発症までの14日間における既知のリスクファクターとの接触について調査が進められています。

3. 41歳男性。フフーフ市の住民で、6月19日に発症し、6月21日にMERS-CoVの検査結果で陽性と判明しました。彼は、MERS-CoVの集団感染が続く病院での勤務中にMERS-CoVに感染した確定患者の家族です。彼の家族である患者は6月23日にMERS-CoV確定患者(No.1)として報告されました。彼には基礎疾患がありました。彼は自宅隔離の状態にありましたが、症状が悪化したために6月23日に入院しました。発症までの14日間におけるその他の既知のリスクファクターとの接触はありません。現在、彼は安定した状態で、病棟の陰圧室で隔離されています。

4. 60歳女性。サウジアラビア国籍を持たないフフーフ市の医療従事者で、6月14日に発症し、6月15日に入院しました。6月19日にMERS-CoVの検査結果で陽性と判明しました。患者には基礎疾患があり、患者はMERS-CoVが集団発生している病院で働いていました。現在、彼女は安定した状態で、病棟の陰圧室で隔離されています。病院に入院しているMERS-CoV患者らとの感染機会がある可能性について調査が続いています。

5. 61歳女性。フフーフ市の住民で、5月30日に発症し、同日、MERS-CoVの集団発生が続く病院に入院しました。患者には基礎疾患がありました。6月17日にMERS-CoVの検査結果で陽性と判明しました。現在、彼女はICUに収容され、重篤な容態です。発症までの14日間におけるその他の既知のリスクファクターとの接触についても調査が進められています。

6. 52歳男性。フフーフ市の住民で、6月16日に発症しました。患者は、4月29日から別の疾患のために病院に入院していました。この病院ではMERS-CoVが集団発生していました。患者には基礎疾患がありました。6月18日にMERS-CoVの検査結果で陽性と判明しました。現在、患者は安定した状態で、病棟の陰圧室で隔離されています。病院に入院しているMERS-CoV患者らとの感染機会がある可能性について調査が続いています。

 これらの患者に対して、家族と医療機関の接触者追跡が行われています。

 サウジアラビアの国立国際保健規約(IHR)担当者は、以前に報告したMERS-CoV患者の死亡をWHOに報告しました。患者は6月23日に報告されたNo. 3です。

 WHOは、2012年9月以降、1,363人の検査確定したMERS-CoV感染の患者報告と、少なくとも487人の関連する死亡報告を受けています。

WHOからのアドバイス
 WHOは、現状および利用可能な情報に基づいて、加盟国すべてに対して、急性呼吸器感染症に関するサーベイランスを継続し、また、あらゆる異常を示す患者についても注意深く調査することを勧めています。

 感染の予防と制御の対策には、診療施設においてMERS-CoVが拡がる可能性を防ぐことが重要です。他の呼吸器感染症と同様に、MERS-CoVの初期症状は非特異的なため、通常、早い時期に患者をMERS-CoVと診断できるものではありません。したがって、医療従事者は、診断にかかわらず、すべての患者に対して常に一貫した標準感染予防対策を適用する必要があります。急性呼吸器感染症の兆候を呈している患者の治療にあたる場合には、標準感染予防対策に加えて、飛沫予防対策を行うべきです。また、MERS-CoV感染の可能性がある患者、あるいは確定診断された患者の治療にあたる場合には、接触予防対策および眼の防護策を追加すべきです。さらに、エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気感染の予防対策を行う必要があります。

 今後、MERS-CoVに関して解明が進むまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫不全のある人は、MERS‐CoV感染で重篤化するリスクが高いと考える必要があります。したがって、これらの人は、ウイルスの存在する可能性がある農場、市場あるいは家畜小屋のある地域を訪れる場合、動物に近づくこと、特にラクダと濃厚接触することを避けなければなりません。動物に触れる前後には必ず手洗いを行い、病気の動物との接触を避けるという一般的な衛生習慣をしっかりと守るべきです。

 食品に対する衛生習慣には注意深くあるべきです。ラクダの生乳あるいは尿を飲むこと、また、調理不十分の肉を食べることは避けるべきです。

 WHOは、この事象に関連して入国時に特別な検査を行うことを勧めてはいません。また、現在、旅行あるいは貿易を規制することも推奨していません。

出典

WHO. Global Alert and Response (GAR).
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)- Saudi Arabia. 3 July 2015.
http://www.who.int/csr/don/03-july-2015-mers-saudi-arabia/en/