2015年07月16日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第28週)

2015年7月15日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は27,678人、死亡者数は11,276になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

●7月12日までの1週間に、ギニアで13人、リベリアで3人、シエラレオネで14人、合計30人のエボラ出血熱確定患者が報告されました。確定患者の数は前週と同数であったものの、感染伝播の発生地は移動しました。数か月間で初めて、ほとんどの患者がギニアの首都であるコナクリと、シエラレオネの首都であるフリータウンから報告されました。コナクリから報告された9人とシエラレオネから報告された10人の全員が、これまでの患者との接触が登録されていたか、または既に知られている感染連鎖との疫学的つながりが確かめられました。7月12日までの1週間に報告された30人のうち1人だけが、未知の感染源からの発生でした。しかし、実際には、30人中7人(23%)という割合の患者が、現在も死後の検査だけでエボラ出血熱に陽性と判明しています。これは、患者調査の改善が進んでいるものの、早期に接触者から症状を発見することで感染伝播を最小限に押さえることを目的とした感染連鎖や接触者追跡が、いくつかの地域では課題の状態にあることを示唆しています。

●ギニアでは、患者はコナクリ、フォレカリア、フリアから報告されました。1か月以上にわたり感染伝播の発生源となっていた北部のボケ県では、患者の報告が11日間ありません。コナクリからは患者9人が報告されました。このうち7人はRatoma(ラトマ)地区の感染連鎖と関連していました。フォレカリアからは3人が報告されました。このうちの1人は医療従事者でした。医療従事者の接触源は調査中です。ギニアでの残る患者はフリア県から報告されました。ここでは40日以上患者は報告されていませんでした。この患者は追跡から漏れてしまったボケからの接触者です。

●リベリアでは、7月12日までの1週間に新たに患者3人が報告されました。6月29日以降の患者の合計は6人となりました。この国では、それまで3月20日以降、患者は報告されていませんでした。7月12日までの1週間に報告された確定患者3人は前週に報告された患者3人と同じ感染連鎖と関連する接触登録者でした。7月12日までの1週間の患者のうちの1人はMontserrado(モントセラド) 郡の隔離下にある家で症状を発症しました。ここは、首都モンロビアの近郊で、以前に患者がエボラ治療センターに運ばれていました。集団感染した患者の発生源は現在も調査中です。予備解析でのゲノム配列の結果からは、感染伝播の発生起源はリベリア国内の生存者からのウイルスの再出現である可能性が最も高いことを示唆しています。

●シエラレオネでは、患者14人がフリータウン、カンビア、ポート・ロコから報告されました。フリータウンから報告された10人のうち、8人は市内Magazine Wharf(マガジン・ワーフ)の隔離下にある家から報告されました。ここは、この数週間、感染伝播の発生源となっていました。フリータウンからの残る2人は市内の他の地域からの報告でしたが、患者はマガジン・ワーフの感染連鎖と関連していました。今週、カンビアの2つのChief(首長)支配地域から報告がありました。前週は4地域からでした。患者2人は北西部のChief(首長)支配地域Samuからで、1人は地域内での死亡者でした。カンビアからの残る患者はChief(首長)支配地域Tonko Limba(トンコ・リンバ)から報告されました。ポート・ロコでは、患者1人がChief(首長)支配地域Marampa(マランパ)から報告されました。

●7月12日には、ギニアの6県、リベリアの2郡、シエラレオネの3地域で、3,552人の接触者が監視下にありました。

●7月12日までの1週間に、ギニアのフォレカリアから新たに医療従事者1名の感染が報告されました。流行の発生以来、ギニア、リベリア、シエラレオネから876名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、509名が亡くなっています。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • 7月12日までに、ギニア、リベリア、シエラレオネでは、エボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計27,642人、死亡者は11,261人となりました(多くの患者の検査結果は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者が含まれます)。7月12日までの1週間に新たにギニアで13人、リベリアで3人、シエラレオネで14人の確定患者が報告されました。
  • 確定患者と可能性の高い患者の数はおよそ男女同数となっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人ではギニアとリベリアで約4倍、シエラレオネでは約3倍感染しやすい傾向があります。
  • 7月12日の週に、ギニアのフォレカリアから新たに医療従事者1名の感染が報告されました。ギニア、リベリア、シエラレオネから876名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、509名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**2015年5月9日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。継続されている調査と患者と死亡者を遡って行う確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。

※国別の患者数、死亡者数についても報告されています。各国毎の週別患者数の動向をみることができます。詳細については原文でお確かめください。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年7月12日の週)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:シエラレオネの西部都市地区の患者1人の位置は示されていません。この地図の中で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいは完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 15 July 2015.
http://apps.who.int/ebola/sites/default/files/atoms/files//who_ebola_situation_report_15-07-2015.pdf?ua=1[PDF形式:2.0MB]