2015年08月27日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第34週)

 2015年8月26日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は28,041人、死亡者数は11,302人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 8月23日までの1週間に、エボラ出血熱確定患者3人が報告されました。全員がギニアからの報告です。シエラレオネからは2週間連続で確定患者の報告がありませんでした。総じて、患者発生数は4週間連続で確定患者3人を維持しています。さらに、健康監視の下にいる接触者の人数は、8月16日時点で800人を超えていましたが、8月23日時点ではギニア4県およびシエラレオネ2地区で約600人に減っています。最近、患者が集団発生したシエラレオネのトンコリリでの接触者は全員が21日間の監視期間を完了しました。しかし、さらなる感染伝播の深刻なリスクは残っています。今週、ギニアの患者3人は全員が首都コナクリから報告され、彼らは実質的にハイリスクの接触者の中から発生しました。地域の中で死後の検査で発見された1人の患者は、この6週間、コナクリで連絡が取れなくなっていた35人の接触者のうちの1人でした。
  • 8月23日の週にギニアから報告された患者3人全員が、首都コナクリのRatoma(ラトマ)から発見されました。1人目の患者は40歳代前半の男性タクシー運転手で、接触者の登録はされておらず、コナクリで仕事をしていたのは短期間ですが、症状が現れていたと考えられています。接触の可能性のある乗客の追跡への努力が続けられています。結果的に、民間診療所でタクシー運転手を治療し、接触者として登録された医療従事者の男性もエボラ出血熱の検査に対して陽性でした。これまでに、民間診療所からの接触者と家族で40人以上が確認されました。残る1人は40歳代前半の女性で、コナクリで接触者の登録がされていましたが、連絡が取れなくなっていました。調査では、彼女は死亡する前にDubreka(ドゥブレカ)県の伝統治療師に会うためにコナクリから移動していたことが示唆されています。彼女は、結果的に、地域の中での死後の検査でエボラ出血熱陽性の死亡者として発見されました。8月23日において、コナクリ、コワイヤ、ドゥブレカ、フォレカリアの4県で600人が監視の下にいます。前週は、3県で約800人でした。
  • リベリアでは、8月23日の週に新たな患者の報告はありません。リベリアでは、全ての接触者が21日間の監視期間を完了しました。リベリアで最後のエボラ出血熱患者2人は、治療を終え、7月23日に2回目のエボラ出血熱検査での陰性結果を得て退院しました。8月23日の週には約800件のエボラ出血熱に対する検査が行われており、監視の強化が続けられています。
  • シエラレオネでは、8月23日の週に新たな患者の報告はありません。確定患者の報告のない2週目になりました。エボラ出血熱と診断され治療を終えた患者が、8月24日にエボラ出血熱の検査で2回の陰性結果を得て、退院しました。健康監視下にある接触者の数は、8月19日にはトンコリリ、西部都市地区、西部郊外地区の3地区で72人でしたが、8月23日には西部都市地区(フリータウン)と西部郊外地区で29人に減りました。トンコリリでの患者の集団発生に関係する接触者は全員が監視期間を完了しました。
  • 8月23日の週には4週間ぶりに、新たな医療従事者の感染が報告されました。患者は、ギニアのコナクリからの報告です。今回の流行の開始以来、ギニア、リベリア、シエラレオネで合計881名の医療従事者の確定感染者が報告されました。そのうち512名が亡くなっています。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • 8月23日までに、ギニア、リベリア、シエラレオネではエボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計28,005人、死亡者が11,287人となりました(多くの患者の帰転は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者が含まれます)。8月23日までの1週間には、ギニアで新たな確定患者3人が報告されました。
  • 確定患者の合計は男女で近いものとなっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人ではギニアとリベリアで約4倍、シエラレオネでは約3倍感染しやすい傾向があります。
  • 8月23日までの1週間に、新たに医療従事者1人の感染が報告されました。ギニア、リベリア、シエラレオネから881名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、512名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**2015年5月9日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。継続されている調査および患者と死亡者の遡及的な確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年8月23日)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:この地図の中で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その地域間で完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 26 August 2015.
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/183400/1/Ebolasitrep_26Aug2015_eng.pdf?ua=1[PDF形式:2.05MB]