2015年09月03日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第35週)

 2015年9月2日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。エボラ出血熱の患者数は28,109人、死亡者数は11,305人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 8月30日までの1週間に、エボラ出血熱確定患者3人が報告されました。ギニアから2人、シエラレオネから1人です。シエラレオネの患者は2週間の空白を経て、最初の患者です。全体の傾向として、患者発生数は5週間連続で確定患者3人を維持しています。さらに、健康監視の下にいる接触者の人数は、8月23日時点で約600人でしたが、8月30日時点では約450人に減りました。このうち、400人以上がギニアにいます。シエラレオネで観察中の48人は、全員がカンビアの西部地区で新しく報告された患者と関係しています。ここは、ギニアと国境を接しています。迅速対応チームが、患者に関係し、さらなる局所伝播の可能性のある地域に配置されています。今週のギニアの患者2人は、首都コナクリの市内と近郊での発症でした。患者の1人は地域内で長い間、症状を現したままでした。隔離されたハイリスクの患者が結果として短期的に患者発生数の増加につながるリスクが依然として存在しており、迅速対応チームが、このような如何なる患者にも対処できるように警戒をしています。
  • 8月30日の週にギニアから報告された患者2人は、首都コナクリのRatoma(ラトマ)地区内および近郊から発見されました。1人目の患者は、9か月の女児で、接触者の登録がされておらず、家族によって首都コナクリのRatoma(ラトマ)地区に連れて来られる前、コナクリ郊外のドゥブレカにいたときに症状を発現しました。彼女はエボラ治療センターに入院する前に死亡しました。2人目の患者は、56歳男性で、8月18日にラトマから報告された患者の接触者として登録されていました。8月30日の時点で、健康監視中であったギニアの410人のうち、289人がコナクリ、26人がドゥブレカ、95人がフォレカリアにいました。前週は、コナクリ、コワイヤ、ドゥブレカ、フォレカリアの西部4県で600人の接触者がいました。
  • リベリアでは、8月30日の週に新たな患者の報告はありません。リベリアでは、全ての接触者が21日間の監視期間を完了しています。リベリアで最後のエボラ出血熱患者2人は、治療を終え、7月23日に2回目のエボラ出血熱検査での陰性結果を得て退院しました。8月30日の週には約800件のエボラ出血熱に対する検査が行われており、監視の強化が続けられています。
  • シエラレオネでは、8月30日の週に新たな確定患者が報告されました。2週間の空白を経て、初めての患者となります。患者は60歳代の女性で、死後のエボラ検査で発見されました。彼女はカンビアのTonko Limba(トンコリンバ)首長支配地区Sella Kafta村で発症し、死亡するまで地域内で治療を受けていました。ギニアのフォレカリア県と国境を接するカンビアでは、48日間、確定患者の報告はありませんでした。この地域には、直ちに迅速対応チームが配備されました。この構図では、さらに増えることが予想されますが、8月30日の時点で48人の接触者が確認されました。感染源は現在も調査中です。現在、VSV-EBOVワクチンの第3相有効性試験がギニアからシエラレオネに拡張されています。カンビアの確定患者に関係する接触者および接触者の接触者には、ワクチンが提供されることになっています。シエラレオネでは、この他の感染連鎖に関係する接触者は、追跡期間を完了しました。
  • 8月30日の週に、新たな医療従事者の感染は報告されていません。今回の流行の開始以来、ギニア、リベリア、シエラレオネで合計881名の医療従事者の確定感染者が報告されました。そのうち513名が亡くなっています。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • 8月30日までに、ギニア、リベリア、シエラレオネではエボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計28,073人、死亡者が11,290人となりました(多くの患者の帰転は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者が含まれます)。8月30日までの1週間には、ギニアで新たな確定患者2人、シエラレオネで確定患者1人が報告されました。
  • 確定患者の合計は男女で近いものとなっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人ではギニアとリベリアで約4倍、シエラレオネでは約3倍感染しやすい傾向があります。
  • 8月30日までの1週間に、新たな医療従事者の感染は報告されていません。ギニア、リベリア、シエラレオネから881名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、513名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**2015年5月9日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。継続されている調査および患者と死亡者の遡及的な確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年8月30日)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:この地図の中で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その地域間で完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 2September2015
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/183955/1/roadmapsitrep_2Sept2015_eng.pdf?ua=1[PDF形式:2,129KB]