2015年09月24日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第38週)

 2015年9月23日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。これまでのエボラ出血熱の総患者数は28,331人、死亡者数は11,310人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 9月20日までの1週間に、エボラ出血熱確定患者2人が報告されました。両者ともにギニアからでした。患者発生数は、今年の7月末以降、毎週10人を下回る状態が続いています。この間、ウイルスの感染伝播は、地理的にギニア西部とシエラレオネのいくつかの小さな地域に限定され、感染の流行は明らかに第3期へ移行してきています。感染の影響を受けた地域社会での迅速かつ正確な患者調査と接触者追跡、早期の隔離と治療、および効果的な関わり方を改善することが、現在の患者発生数を低レベルに減らすことに重要な役割を果たしてきました。これらの既存の取り組みの上に、エボラ出血熱に対する政府官庁間の協力体制の調整が行われ、第3期の取り組みが洗練されたものとなれば、患者発生数はゼロへと向かい、エボラ出血熱の流行は収束を維持することが保証されるでしょう。(感染伝播に活動性のある地域やウイルスを保有した動物宿主からの)ウイルスの再侵入や生存者からのウイルスの再出現を早期に発見するための調査活動能力の強化、生存者の快適な生活を守る包括パッケージの一部としての検査やカウンセリングの対応能力の改善、および(ワクチンから迅速診断検査法に至るまでの)革新的な技術の使用度の増進が、第3期の対策の枠組みの中心となります。したがって、今後、数週間のうちに、これらの追加される第3期対策へのモニタリングと評価に重点が置かれることが強調されていきます。
  • ギニアでは、14日間連続して確定患者ゼロの後、9月20日の週には、新たに確定患者2人が報告されました。患者は、首都コナクリのRatoma(ラトマ)地区からフォレカリアに移動した後に死亡した10歳の少女と、コナクリのDixinn地区でエボラ出血熱に陽性と確認された24歳の女性です。2人の患者は8月の終わりにエボラ出血熱で死亡した可能性の高い患者と疫学的に強い繋がりがあるものの、登録された接触者ではありませんでした。2人の確定患者から分析されたエボラウイルスの遺伝子配列を照合した調査結果からは、彼らはラトマの感染連鎖の一部であることが示唆されています。これはギニアで現在(過去21日間)でも活動性が知られる唯一の感染連鎖です。
  • シエラレオネからは、9月20日の週に新たな確定患者の報告はありませんでした。前週、ボンバリから死後の検査で16歳の少女がエボラ陽性と確認されましたが、この患者に関連して700人以上の接触者が確認されています。彼女の感染源の調査は未だに結論が得られていませんが、予備調査の結果では、生存者が感染源であったことが示唆されています。
  • 現在、感染の影響を受けていない地域におけるエボラ出血熱の再侵入もしくは再出現を速やかに検出することを確保するために厳重な調査活動の対策は不可欠です。9月20日の週にギニアでは、合計719検体が稼働する検査室8か所で検査されました。収集された検体の地理の分布の分析からは、ギニア34県のうち21県では、1週間以上エボラ出血熱の生死が疑われる患者から如何なる検体も収集していないことが示されました。同じ期間に、シエラレオネでは全14地方から1,887検体が集められ、稼働する検査室9か所で検査されました。リベリアでは、全国3つの稼働する検査室が受入能力は全検体を検査するには十分ではないものの、9月20日の週に全国から1,435検体が集められました。3か国での調査活動は、第3期の枠組みに沿って強化されることになります。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

  • 9月20日までに、ギニア、リベリア、シエラレオネではエボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計28,295人、死亡者が11,295人となりました(多くの患者の帰転は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者が含まれます)。9月20日までの1週間に、新たな確定患者2人が報告されました。全員がギニアからです。
  • 確定患者の合計は男女で近いものとなっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人ではギニアとリベリアで約4倍、シエラレオネでは約3倍感染しやすい傾向があります。45歳以上の成人ではギニアで約5倍、リベリアとシエラレオネで約4倍となっています。
  • 9月20日までの1週間に、新たな医療従事者の感染は報告されていません。ギニア、リベリア、シエラレオネから881名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、513名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

図.エボラ出血熱の発生状況

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**2015年5月9日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。継続されている調査および患者と死亡者の遡及的な確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。リベリアでは、人でのエボラウイルス流行の終息が2015年9月3日に宣言され、現在、90日間の高度警戒の調査活動に入っています。

図2:確定患者が報告された地図上の分布図(2015年9月20日)

図.確定患者が報告された地図上の分布図

註:この地図の中で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域についてもその統治状況に関して、あるいはその国境や境界の設定に関してWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その地域間で完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

出典

WHO.Situation reports:Ebola response roadmapSituation report. 23September2015
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/185279/1/ebolasitrep_23Sept2015_eng.pdf?ua=1[PDF形式:2,100KB]